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祝・新作発表記念 ー首都高バトルの思い出を振り返ってみるー Part.2 「DC版 首都高バトル」

※「Akioの動画配信」様より掲載させて頂きました。

伝説はここから始まった。今日まで多くのファンを抱える「首都高バトル」の礎を築き上げたのは、この作品だと言っても過言ではない。何より、自身の思春期にこれほどまで影響を与えた作品はそう多くはないし、結果的にあ昨年の「衝撃のホワイトドッグ」物語の復活も含め、未だに自身の人生にすら影響を与え続けてすらいる。

この作品を知ったきっかけは、たまたま何かの番組で放送されたTVコマーシャルであったと思う。首都高バトル自体は、前記事で触れた「ドリフトキング 首都高バトル」で実質関わりが休止してしまったのだが、全く異なる印象の作品に進化したように見えたこと、あるいはこの当時から徐々に改造車文化への関心を強めていったことも相まって、これは絶対に購入しなければという思いを強く抱いたのだろう。そして数年の空白期間を経て、あの「首都高バトル」シリーズに帰ってくることになる。

迎えた運命のその日…さすがに日時や状況などまでは詳細に思い出すことはできないものの、まだ購入して1年も経過しないピカピカのドリームキャストにディスクをセットし、久々に戻ってくることとなった首都高バトルの世界、これは…ああ、本当に期待通りであったし、むしろ期待以上の作品に遭遇してしまった…!小学生ながらに、その完成度の高さと底知れぬ世界観の魅力に、どっぷり浸かってしまうこととなる。

作品に関する詳細な解説は、以下の「ゲームカタログ@wiki」様をご参照頂きたい。

まずは、作品に溢れる世界観が素晴らしい。タイトルロゴも、メニュー画面も、どことなく全体的に漂う淀んだ漆黒の世界観も、何もかもが全て絶妙に「演出」されている。不穏ながらスタイリッシュに纏められたデザインは、それまでの作品とは明確にコンセプトを異にするリブート感に溢れていた。

次に、車の改造が非常に楽しい。率直に、非常に楽しかったのだ。自身が初めてシリーズ作品に触れた「ドリフトキング」では、本格的な要素が散りばめられた作品ではあったものの、残念ながら外装の「変化」を愉しむことは叶わなかった。エアロパーツの装着こそ可能であるはずなのに、改造においてもっとも実感を伴う「外装の変化」が楽しめなかった点は寂しくもあったのだが、

この作品では変化を伴うエアロパーツ、及びホイールの導入が始まり、しかも(一部最新車両やカスタム化を除き)組み合わせを幾通りも楽しむことすら出来る…!これは本当に、当時のレースゲームとしても非常に画期的で、尚且つ多くのファンを熱狂させた要素であったと思う。逆に、チューンアップに関しては「グレード制」を取り入れたことで、シンプルに性能の向上が図られる形となり、自動車への細かな知識がなくとも、ゲームの攻略に集中できる形になったのも個人的には有難かった。

何より、この作品を語る上で絶対に避けて通れないのが、「ライバル」及び「チーム」という要素である。プレイヤーはライバルたちとのバトルにおいて勝利を重ね、最終的にチームリーダーから勝ち星を得ることで首都高完全制覇に近づいていくのだが、これは後作の方向性をも決定づけた非常に重要な要素でもある。2行ほどの紹介文と搭乗車種に留めた、比較的少ない情報量のプロフィールながら、そのわずかに思える情報の中に詰め込まれた各々の個性に、小学生ながらに人物像への想像を膨らませていったものだった。

では、具体的にその個性とはどのようなものであったか。

ハチロク系のチーム「Rolling Stones」は某缶コーヒーのラベルにちなんだ粋なサンプリングが見え隠れし、後半に登場するくノ一チームの「Cupid Arrows」はホンダ系のコンパクト車で固められ、最高速を追求する「Free Way」は日産スカイライン・GT-Rの集団、ロータリー系の「R.R.」のモデルは頭文字Dの高橋兄弟…他にも、VIP色のする高級セダン系のチームであったり、シルビアで固められたドリフトチームなど、車種とキャラクターの個性を見事に絡めた創作性が垣間見えたのも、自動車好きとしては嬉しい粋な演出であった。尚、この作品のみ「リーダー」と「メンバー」のロゴが微妙に異なっていたが、2からは諸事情で廃止されてしまったようだ。

自身はこの作品から採用されたものだと思い込んでいたが、実際はシリーズを通じて用いられていた「通り名」にも、クリエイターの方々の遊び心の伝わる名前が多く、中には当時は分からなかった元ネタも、大人になってその含意を理解するところとなり、当時の製作者の皆様の「作家性」に興味深く触れることもできる。個人的に印象的だったのはTokyo Jungleというチームの「MJ6Feet6」というライバルで、当時は数字とアルファベッドの組み合わせによる「暗号を示唆するような不思議な名前」だと思うに留まっていたのだが、後に「元実業団のバスケ選手」というプロフィールが示唆するに、NBA界のレジェンド「マイケル・ジョーダン」へのオマージュであると判明した際に、走り屋や自動車といった分野に留まらない引用センスに驚かされた。

もちろん、各段階をクリアした際に登場する「ボス」も個性的である。Devas(デーヴァ=神様,、@Wiki様では四天王と紹介)とDevils(悪魔)という、合計8名の猛者がプレイヤーを待ち受けるのだが、後のシリーズにおける彼らの「変化」も、作品の紡ぐ物語の一部として見事に織り交ぜられている。余談だが、「12時過ぎのシンデレラ」という通り名…後にヒップホップアーティストの童子-T氏が同名の楽曲をリリースした際、まさか首都高バトルからの…!?と勘ぐってしまったのだが、元ネタは昔の歌謡曲だったと知り…また1つ、自身の中でトリビアを増やしてしまった気分になったのは言うまでもない…(笑)

本作に登場する「ライバル」が、実は「ドリフトキング 首都高バトル」や「首都高バトルR」、さらには「かっとびチューン」という作品から引き継がれていることを今更ながら知ることとなったので、@wiki様の該当ページも併せてご覧頂ければ、よりシリーズを興味深く考察頂けると思う。しかし、こうした「長年シリーズをサポートするユーザー」への演出、本当に「粋」しか感じられない。

※上記ページに、自身の「衝撃のホワイトドッグ」に関する記事を掲載頂いたユーザー様、本当にありがとうございます。

また、本作では新たにSP(スピリットポイント)モードという、既存のスタート・ゴール制度の代替として、1対1のバトル中に「SP」を先に失った方が負けという画期的なシステムが採用された。恐らく、格闘ゲームを参考に構築されたのだろうが、これが既存のレースゲームとは全く異なる面白さをもたらすことになり、しかもそれはアーケードゲームの金字塔「湾岸ミッドナイト」でも、若干の修正こそあれど今も原型をとどめて引き継がれている。

そして、ライバルたちも「首都高(1では環状線のみ)」というフィールドで、プレイヤーとのバトルを待機する存在となり、発見次第「パッシング」する形でバトルが開始されるのだが、これはRPG的な要素からヒントを得たのだろう。何より、所謂「アザーカー」も含め、「実際の首都高」を走ることのできる感覚を得られたのも、個人的に画期的過ぎてひたすらにはしゃいでいたのも忘れられない。

要するに、後にシリーズの中で確立する、非常に多くの革新的な要素が一挙に採用されたのが「首都高バトル」である。それは、非常に大胆なリブートであり、新しいシリーズの幕開けを宣言するものでもあったのだろう。事実、この再スタートは見事に功を奏し、後に現時点での最新作である「X」、またはアプリ版としての「Xtreme」まで、各々のシステムに対しては多かれ少なかれ修正こそあれど、原則としては引き継がれていくことになる。

首都高バトルは、明らかに既存のレースゲームの遊び方を変えた画期的なシリーズの1つであった。それは、冒険要素を取り入れることで、既存のレースゲーム支持層のみならず、幅広いプレーヤーからの人気を獲得した「チョロQ」シリーズや、車の運転に振り切った大胆な作風で、業界に大いなる衝撃を与えた「グランツーリスモ」シリーズに匹敵するくらいの革新であったと思うし、どちらも遊び心に溢れるが故に、今も多くの皆様に変わらず愛され続けている点でも共通している。

次回は首都高バトル2について触れていくことになる。この作品もまた、革新的な要素が多く導入されたシリーズきっての名作である。

☆追記 @wiki様の解説を眺めて思ったこと

該当サイトに掲載の「オンラインを介して入手できた隠し要素」であるが、実を言うと不運にも当時は「インターネットの常時接続」が実家に導入されておらず(「衝撃の13歳」のネットデビューは、ADSLによる同時接続導入後の2001年)基本的に未成年であった自身が単独で接続できる機会は勿論、そもそも通信料や電話回線の独占等の問題で、DCを通じてインターネットの世界に触れる機会すら極めて稀であったため、一度も触れる機会を得られぬまま終了してしまったのは残念であった。その意味で、DCがもたらした要素は非常に革新的ではあったが、こうした特典難民も生まれることになってしまった側面もあったのかもしれない。

あるいは、これはDCでリリースされたレースゲーム作品全般に当てはまることではあるのだろうが、現在でこそグランツーリスモ7においても採用される「トリガーキー」による疑似ペダル操作が導入された点も、確かに今振り返ると興味深い点であるように感じられる。一方で、コントローラーのバネの耐久性故に、破損してしまうケースにも遭遇してしまったので、導入は「若干早すぎた」のかもしれない。

他にも、先に少し触れている「首都高バトルRのライバルの再登場」や「北米版限定車種」の解説も非常に興味深いので、皆様もぜひご覧いただきたい。


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