
「帰ってきた首都高バトル」Part.6 ーホンダ車が収録できない「本当の障壁」?ー
実を言うと、とある海外のユーザーの方が早期リリース版を解析されリスト化されていた、「ホンダ車収録データ」に関する記事を既に執筆していたのだが、非公式の解析に基づく情報を積極的に拡散することへの憚りと葛藤が生じてしまい、先に「久遠のポラリス」に関する記事を公開させて頂く形で、実質的にお蔵入りとさせて頂いていた。万が一、自身の記事が遠因となり、ホンダ車の収録の実現が遠のくことになってしまっては、多くのファンの皆様や元気株式会社様にも、大変なご迷惑をおかけしてしまうことにもなるので…。
一方、そのホンダ車に関する衝撃的な事実?情報?が、あのワイルドスピードのスープラでお馴染みの「BOMEX」社のブログに、どことなく示唆的に記述されていたことを、レースゲームに関連する情報を配信されている、「okd」様が提供される動画内のコメント欄で知り得ることとなったので、今回はそのことについて触れさせていただきたい。
※上記動画は、okd様による「首都高バトルにおけるMODのガイドライン」を開設されたものとなっております。併せてご覧いただければ幸いです。
※上記に掲載の記事は、BOMEX様のブログで公開されたものとなります。併せてご一読頂ければと思います。また、以降はあくまで「許諾が下りたという情報を元にした仮定の話」として書き進めていきますので、その点もご了承頂ければ幸いです。
①許諾は既に実現済み?だが…収録の実現しない「複雑な事情」
単刀直入に概要をお伝えするのなら、本田技研工業からの使用許諾は既に実現しているものの、諸々の障壁(海外展開における事案?)故に、提供が実現しえない状況が続いている…とのことである。公式発表ではないので、あくまで参考資料としてご認識いただきたいのだが…要するに、冒頭で触れた「ホンダ車(収録リスト)」は見切り発車の上で制作されたデータではなく、実際に公式が許諾を得て制作されたものである可能性が非常に高いことが実質判明したのだが、まさか企業間の事案ではない部分で障壁が生じていたであろう可能性は、自身にとっても予想外のことであった。勿論、BOMEX社のホンダ車向けパーツへの、諸々の手続きも完了しているとのこと。
具体的にどの地域での、そしてどのような障壁であるのかは不明ではある上に、現段階では収録を確約するものではない故に、過剰な期待は避けるべきではあるのだろうが…一先ずホンダ車の収録が実現に向けて進められている、という事実が知り得ただけでも、実現を待望されていた多くのファンの皆様にとっては、一定の励みになったのではないのだろうか。勿論、衝撃のホワイトドッグのトラウマを、未だに拭いきれない自身にとっても例外ではない(笑)
ちなみに、何故にBOMEX様側からこうした発信が行われたのか…それは投稿者様も言及されている通り、収録の実現しない現状が、本田技研及び関連企業様へのクレームに繋がることを懸念されていたからとのこと。実際に、収録の実現しない現状を心苦しく思われている、ホンダの関係者の方もいらっしゃるので、そうしたことは控えてほしいと文末に添えられている。自身もホンダの企業倫理を理解する立場として、今は冷静に推移を見守っていきたいし、ファンの皆様にもそうあっていただきたい。
②収録が実現しない「海外での障壁」とは?
ところで、実現を阻む「海外進出の際に直面した障壁」とは、一体どのような事情なのだろうか。例えば、国内事情であるのなら…大阪環状線での暴走行為を問題視する大阪府警からの圧力、という構図も考えられるが、これは表現の自由に反する検閲に該当しそうな事案である上に、特定の企業を狙い撃ちする点でも問題があるように思えるので、既に収録が実現している「湾岸ミッドナイト」での実例も含めて、その可能性は低いのではないだろうか。そもそも、阪神高速の収録の前にHマークの収録が実現しない点で、ホンダの企業倫理は大阪府警の介入以上に厳しいのだろうから…(汗)
となると、残るは海外での障壁ということになるが…米国では類似製品にホンダ車が既に登場しているため、その可能性も低そうである。それに、2018年のインディカーでのフェルナンド・アロンソ選手への一件を考慮するに、恐らく現地法人よりも本社からの意思決定が優先される組織系統だと仮定すれば、既に本社から許諾を得ている現地車種(新型NSXは米国ホンダの制作)の提供を、現地法人が拒否するような障壁が発生するとも思えない。
参考までに、先に触れたアロンソ選手とホンダに関する記事を掲載させて頂きたい。簡潔に説明すると、USホンダ側とアンドレッティチームのアロンソ選手へのラブコールに対し、マクラーレン時代での関係悪化故に、青山の本社が拒否権を行使したのではないかという内容であるが、要するに本社が決定権を有する構図を理解するための参考資料である。そんな両者も、2026年には「アストンマーティン・ホンダ」で再びタッグを組むことになるとは…!
一方、同じく配信が実現している中国に関しては、今のところ考察の対象として議論自体が少ないように思えるが、多くの日本車企業は中国市場への進出に当たり、現地企業と合弁会社を設立している点は気になるところだ。もしかして…この合弁会社からの許諾が実現しない?という話なのだろうか。恐らくは、完全な子会社であるUSホンダとは異なり、合弁会社としての拒否権が行使されている…と考えれば、確かに障壁である可能性は考えられるのだが、異国の高速道路を舞台とした作品に、しかも本社からの許諾が実現している事案に対し、果たして合弁会社側がそこまで許諾を渋るような事例など、ありうるのだろうか…?
ちなみに、首都高バトルは「米国」と「中国」でも配信されている、とは公式による発表だが、下記に掲載の「インタビュー記事」を覗かせて頂くと、イギリスや台湾といった地域でも既に入手可能であるようだ。BOMEX様のブログ記事が言及されている「海外での障壁」とは、こうした地域での話なのだろうか…?
下記のインタビュー記事は非常に興味深いので、皆様も是非ご一読頂きたい。自身も改めて1つの記事で書き連ねていきたい。
③許諾の先行事例「湾岸ミッドナイト」から考察する
では、もう一度原点に立ち返り考察していこう。そもそも、完全に封鎖されたサーキットとしての舞台設定ではなく、所謂「首都高」を舞台にしたゲームで、現時点でホンダ車の収録が実現しているのは、先日新作も発表された「湾岸ミッドナイト」と「首都高バトルXtreme」である。同じく収録が実現している「レーシングバトル」に関しては、完全に封鎖された首都高サーキットという設定故に、この場では考察の対象外とさせて頂きたい。
Xtremeについてはゲーム性の違い故に、今回の事情とは異なるのだろうが、首都高バトルのシステムを数多く引き継ぐ故に共通点が多い湾岸ミッドナイトでは、新旧NSXやS2000といったスポーツカーを中心に収録されているものの、社を象徴するシビックの登場は、今のところ実現してしないようである。それが単にゲーム性や世界観にそぐわない故の判断なのか、あるいは先の大阪府警云々や自動車保険料云々の事情なのかは不明であるが…開発が進められているという最新作では実現するのか、気になるところではある。
さらに、収録車種も外装の変更は不可となっており、実質的に「改造車」としての収録は行われていないことになるが、この実例を考慮するのなら、公道を舞台としたレースゲームにおける外装の変更に、難色が示されている…それが障壁となっている可能性も考え得るだろう。
一方で、操作性は異なれど同様の舞台背景である「首都高バトルXtreme」では、諸々の外装変更が実現しているようなので、シリーズで判断が異なることとなり、障壁というよりは妙な矛盾が生じてしまう形となる。見切り発車で外装パーツのデータ取りを行えば、その労力が無駄骨になる点を考慮しても、予め許諾は得ていたのだろうと考えるほうが自然であるから、そうした事情とはやはり異なる「障壁」であると、考えるべきなのかもしれない。
今回のBOMEX様での言及については、あくまで一つの情報として冷静に理解する姿勢こそがベストだとは思うのだが、ホンダ車の収録に向けての灯は途絶えていなかった事実を知り得ただけでも、衝撃のホワイトドッグのトラウマを抱える自身としては、本当にありがたい話なのである。改めて、進捗を見守る形にはなってしまうが、レースゲームとしてのシリーズ初となる、ホンダ車収録が問題なく実現することを願いたい。