仮想現実落語界【小説】

今回、初めて短編小説を書いてみました。
今回はフィクションをお送りします。

当たり前ですが、以下の物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※いつもは1万字とかあるのに、小説やのに5,000字ぐらいです。
(私の前文を抜いた小説本編は3,800字程度です…)

※小説に行く前に、前段として、少し私の考えを書かせて頂きます。

吉原馬雀さんが三遊亭圓歌師匠を提訴した事件で、一般社団法人落語協会がHPにて声明を発表しました。 
今回の事件は、まず落語界全体にとって「不幸な出来事」だと私個人は考えております。

私のnoteの記事「落語家の修行とパワハラ【一部無料】」でも書きましたが、師弟制度と協会のコンプライアンスは全く別の問題です。

落語協会や落語芸術協会や上方落語協会が、

「弟子というのは師匠に対して、殴られても構わないという心構えを持つべきだ」

などと公に主張したら大問題です(笑)
(これらの団体は一般社団法人あるいは公益社団法人だからです。)

一方で、落語家個人の考えとしては、

「弟子というのは師匠に対して、殴られても構わないという心構えを持つべきだ」

というのが大半なようにも思います。
しかし、落語家は日本国民ですので、誰であっても「殴るのは良くない(不法行為になる)」のです。

一見すると、

「殴るのは良くない」ということと
「殴られても構わないという気持ちを持つこと」

は矛盾したように感じてしまいますが、実際は両立します。
つまり、昔は

「師匠は殴っても良い」&「弟子は殴られても構わないという気持ちを持つべき」

というスタイルでしたが、現代においては、

「師匠は殴ってはいけない」&「弟子はたとえ殴られたとしても構わないという”気持ち”を持っていることが多い」(持つべきとは少し違う)

というスタイルなだけです。
殴らない師匠の下の弟子は、結局「殴られたらどうなるか」については、
今も昔も「わからない」という話です。

また一般社団法人落語協会さんが出した声明について、「師匠が弟子に暴行暴言をしてはいけない」となぜハッキリと明言しないのか、疑問を持つ人もいたかと思います。
これでは、以下のように勘ぐる人が現れたかもしれません…。

落語協会公式の声明として、

「弟子というのは師匠に対して、殴られても構わないという心構えを持つべきだ」

などという声明を出すのは当然不適切だとはわかっているが、
協会理事は全員が噺家なので、噺家個人の思想として

「弟子は師匠に殴られても構わないという心構えを持つ必要は無い」

などとは口が裂けても言いたくなかった・・・のではないか?ということです。そう勘繰られても仕方ないような気がします。
(どちらかと言えば本来は協会としても
「弟子というのは師匠に対して、殴られても構わないという心構えを持つべきだ!それが師弟制度だからです!」と言いたかったのではないか?
と勘繰られてしまいます)

それで、あのような抽象的なしどろもどろな声明になったのではないかと思う人も発生しかねません。

もちろん誤解を恐れず、落語協会さんは

「弟子というのは師匠に対して、殴られても構わないという心構えを持つべきだ」とは思いますが、それはあくまで”心構え”であって、現実的な暴行暴言は日本国で禁止されておりますので、「師匠としては、殴らずとも弟子を育てる」というのが現行法に則った師弟制度だと思います

という声明でも良かったかもしれません(笑)
つまり個人の思想と、団体の思想は少しズレるということです。
※「24時間、仕事のことを考えるのが成功の秘訣」というのは個人の成功哲学としてアリですが、会社が「24時間、仕事に従事させるシステムを作る」のはブラック企業・不法行為になります。個人の思想と団体としての思想はキッチリ区別しないといけないのです。
いくら理事であれ、噺家個人の思想ではなく、「団体としての思想」を打ち出す必要があるのです。その意味で、修行とは「自発的な行動」であり、「強制される行動」ではないというのもわかります。

今回、三遊亭圓歌師匠が吉原馬雀さん(元・三遊亭天歌さん)に暴行を行った初期段階において、

「こういう形のやり取りになっていれば、皆が思う”美しい師弟関係のまま”でありながら、”コンプライアンスも守れた”のではないか?」

というふうに空想した物語を以下、書かせて頂きます。
パラレルワールドとも言うべき1つの世界をご覧ください。

当然、以下は「こんなふうだったら、良かったのに…」という私が思う小説的世界ですので、当然、物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません(?)。またこの作品によって何かを誹謗中傷しようとしたい訳ではなく、あくまで私個人が望む世界を表現いたしました。

※なお、以下の小説を読む前に、パワハラ事件についての
一般社団法人落語協会のHPの声明を読んでおいて下さい。
より一層、パラレルワールドの感覚が味わえると思います。

【小説】落語コンプライアンス重視協会

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