テイトのクラウドファンディング【ほぼ無料】
【前提のあらまし】
ミュージックテイトという新宿にあるCDショップがあり、そこでは落語会がよく開催されていたそうです。コロナ禍の影響もあり、経営不振で閉店しかけたところで、2022年夏にクラウドファンディングを行いました。「若手落語家の勉強の場を残そう!」みたいなことで1,200万円を目標にし、見事達成(2022年9月30日クラファン終了)。ところが、1年も経たずに倒産。
【単純な笑福亭たまの感想】
まあ、わかってたよね・・・。
こうなるのは思た通りやわな。
クラファンに参加した人たちは、破綻するのも織り込み済みで参加してたと思ってたんですけど・・・。
ところが、SNSを見ると、落語ファンの方々の失望やお怒りの雰囲気がありましたので、これについて記事にしてみました。この記事の核心は、
私からの
「落語ファンの方々への希望」と
「落語ファンの方々への御注意」です。
一番大事なことは…
ミュージックテイトの店長を責めるべきではないということです。
(法律的に犯罪をおかしていないなら、問題はないということです。犯してたら別ですが…)
※もちろん、皆さん、色んな考えがあるでしょうが、
これは、あくまで私からの「落語ファンの方々への希望と御注意」です。
以下、その理由を書いていきます。
もちろん破産した会社の社長の監督責任はあるにせよ、
店長が「悪意をもって」クラファンをしたとは思えないからです。
先に結論を書くと、今回の件は、
店長の「考えが足りなかった」だけだからです。
(単純に「見通しが甘かった」だけだからです。)
「資金使途=2年分の家賃」とうたってクラファンをしたのに、別のことにお金が使われていたことについて、ひょっとすると法律的にアウトなのかもしれません。ただ、途中で移転問題が出たりで、当初の資金使途ではなく、他の経費(名目は落語と演芸の発展のため)に使用すると書いてたので、法律的にセーフなのかもしれません。その部分については専門家でないのでわかりません。
ただ、破産した時に、結局「演芸以外のためにもお金を使っていた」ということについて、失望や不満や怒りを持つ人もあったようです。
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しかし、これは結果論だと私は思っています。
今回、店長は「クラファンのお金を家賃に当てれば営業継続ができる」と装い、皆を騙しにかかったのではなく、おそらく「家賃さえ払えれば営業継続ができると、少なくとも店長本人は思っていた」のだと思います。
また応援を呼び掛けた噺家や落語ファンも、深く考えずに、お金を出せば何とかなると思っていたのだと思います。
はっきり言って同じくらいの「浅はかさ」です(笑)
今回の件について「悪質」と捉える向きもありますが、「悪質ではない」=「悪意なし」と思います。
そもそも、今の世の中は「悪質=悪意があった」か、「考えが足りなかった(悪気はない)」かは、わからないです。
もしも景気が良くなって営業継続できてたら、誰も文句は言うてないと思います。もしも成功した場合、「考えが足りてた」ことになりますから、「考えが足りてなかったどうか(見通しが甘かったか)」は、あくまで結果論です。商売というのはそういう側面があると思います。
↑
商売においては、「考えが足りなくて失敗」はありますし、「考えが足りてなくても運で成功」もあります。そして「考えが足りてなくて、運で成功した」場合、「そういう運の要素も考えられてた」みたいな話になるだけですから、結局「考えが足りてたかどうか」は結果論とも言えます。
【クラファン開始時の笑福亭たま】
それこそ、当時、私は
「クラファンの文章などやSNSのやり取りを見て、店長の経営的な考えが足りてないのは明らかなので、お金はドブに捨てるようなもん。でもそれでもお金を渡すというのも1つの選択。皆の善意が集まれば何とかなるという淡い期待に皆が思いをはせてる状況なので、どうなるかは結果論」
と落語会で喋っていました。そして、
「私は1年で破綻すると予測してますが、一方で、募金せぇへんかったら何か自分が悪人みたいな気がするでしょ…。そんな感じで私のお客さんも募金せなアカンて思たらアカンので・・・。私のお客様が良心の呵責にさいなまれないように、私が皆さんのかわりにお金を払って、ドブに捨てときましたから、皆さんは募金しないで下さい」とアナウンスしました。
今回の事件は、本当に単純に、「悪質」ではなく、「悪気なく考えが足りてなかった(店長だけでなく、クラファン参加した全員)」だけだと思います。
(ただ、クラファンの内容が詐欺に当たるのかどうかについては、悪意があろうがなかろうが関係なく、法律的な問題かと思います)
その意味で、私個人としては、店長本人には「元気でまた顔を見せて欲しい・落語ファンであってほしい」という気持ちを私は持っています。また、出来たら皆様もそういう気持ちを持って欲しいです。
大元の企業本体は店長への監督責任があるので、企業本体への何らかのアクションや感情を持つのは問題ないですが、もしもSNS等で、店長が精神的に追い詰められて何かおかしなことになった場合、それこそ問題です。
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逆に、キツイコメントを発した人たちは、
「悪質=悪意があった」か、「考えが足りなかった(悪気はない)」か
という尋問を受けることになります。ですので、皆さん、新たな事件を生むことにならないように、「考えが足りない」行動はやめてほしいです。
破綻するなどは、最初から分かり切ってたはずですから(笑)
それでも、当時1,200万円のお金が集まった時は、正直ビックリしました。「こんなにもアホがおるのか」と。。。(すいません!)
↓
一方で、ミュージックテイトの話をマクラで私がした時に、落語会のアンケートに「たまさん、人間は理屈では無く、情で動くものです」と書かれていました。
そして、その当時、私は、
「自分の後継者を育成するて言うてるけど、その本人の店が経営不振やのに、どうやって育成できるねん」
というツッコミを当然入れてましたが。。。常識的に考えて、
「後進育成をしようとする経営不振の店主が行う経済活動がうまく行く訳がない」というふうに、普通の人間なら理解すると思います。
しかし、それでも多くの人がお金を送り、1,200万円ものお金が集まったのです。私からすれば、当然、「最悪、店が破綻するのも織り込み済みで参加してるんやな」と思っていました。
(今のSNSの雰囲気を見ると、一部の人はそうでない感じですが…。また多くの噺家もこれについて何の感慨も抱いてなさそうです・・・「ダメになっちゃったね。ははは」ぐらいの感じ。)
ただ、私としては、当時
「普通に考えたら経営破綻するけど、1,200万円が集まるとは驚き=私個人としては、そんな大金が集まるとは思わなかった。ひょっとすると、こんな感じで皆さんの思いが集まったら上手くいくのかもしれないなぁ・・・世の中、何があるかわからんし」
みたいな感じでした。結局のところは、「結果論」だからです。
私としては、今回の件は、皆さん、深刻に考えずに、
アホなことを皆でやったということで笑う方が良いと思います。
「アホやったなぁ・・・夢見てなぁ」という感じで。
これをキッカケにミュージックテイトの店長が落語を楽しく聞けなくなるのが嫌なのです。私の中では落語ファンが少しでも減るのが凄い嫌なのです。
【あの時、どうすれば良かったのか?】
では、ここからは、あの時「どういうクラファンの内容にすれば良かったのか?」という話をしていきます。
以下で、
「どういうクラファンにすれば、確実に1,200万円を演芸のために使うことができ、今なお落語会が継続できたのか」という論理的解決案
を提示します。一方で、
「しかし、その論理的解決案のクラファンを掲げた場合、集金という目標は達成しなかった可能性が大きい」という話とその理由
についても記事にしていきます。ある意味、裏を返せば、
「ミュージックテイトのクラファンが1,200万円を集めることが出来た理由」
でもあり、
「今回のクラファンのお金が消滅すべくして消滅した理由」
にもなってるというお話です。以下、有料です。
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