見出し画像

翔英、自分の家に帰る

短かったようで長かった実家への帰省が終わり、私は帰る事に。
帰る日には、家族ぐるみで仲良しの家族がお見送りに来てくれて、みんなでわいわいしながら飛行場へ。

職場と彼氏へのお土産を物色していると、一緒に飛行場へ来てくれた仲良しの主婦の人たちが、
「お土産ばなんか買ってやるけん選ばんね!」
と言ってくれる。
「そんな、いいよぉ!」と言っても、
「遠慮せんちゃよかとよ!」
と、背中をバンっと叩かれた。
ありがたく、彼氏と一緒におつまみにしようと思って購入予定だった角煮をお願いした。

彼女たちからすると、昔の私は「友達の子供」ぐらいの存在だったのだと思う。
私の実家はよく人が集まる家だったから、昔から交流があったんだけれど、私の存在が彼女たちの中で変わったのはいつからだろうか。

おそらく、私が家を出て、社会でもまれにもまれている時だと思う。
実家に帰省すると、必ず誰かが遊びに来てくれた。
そんな時、彼女達と会話をすると、昔と話の内容が変わっている事に気づく。
「最近、学校はどうなのー?」
という、温かい視線からの会話をしていたけれど、最近は対等な視線からの会話をすることが増えた。
彼女たちの中できっと私という存在が、「子供」から「大人」になっていったんだと思う。
それが私にとってとても嬉しい。
昔はすごく大人だと思っていた人たちが自分を「大人」だと認識してくれている。
自分の培ってきた価値観や経験が、付き合い方を少しづつ好転させているのが、「ちゃんと成長しているよ」と言われているような気がするのです。

次回帰省した時も、お土産と楽しいお土産話を沢山準備しておこうと思う翔英です。

―――――――飛行機の中の風景――――――――――

帰りの飛行機の中、珍しく通路側の席を予約した。
帰りは一人であるし、通路側の方が早く機内から出られると思ったからだ。
いつもは窓際の席ばかり予約しているから、早めに搭乗できていたけれど、通路側は最後ということで、待ち時間だけで手持ち小説の1章を読み終えてしまった。

機内に入る。
すでに優先搭乗の人が着座しているので、通路は通りやすかった。
左右に3つづつ並ぶ席たちの中から自分の席を見つけて着座する。
すっかり飛行機にも乗り慣れたもので、飲み物、小説、機内モードにしたスマホをバックから取り出すと、前のシートのポケットにねじ込み、シートベルトをつける。
そしてまた、小説の世界に没頭した。

少しすると、隣に座っている男性のことが気になった。
イケメンだからとか、体臭がきついとかではなく、肘が当たるのだ。
「ちょっと、そこは私の領域でしょう」
と思ってみてみると、彼はすでに夢の中だった。寝ているなら仕方ない、と私は溜飲を下げた。
そしてまた、私は小説の世界に再び没頭する。

そうすると、そのうち、左の視界にちらちらと赤い物が映る。
私は、思わず気になって、本から顔を上げた。
左目に捉えた赤いものがなんなのか、窓際の席を見る。
私が座っている3人座りのシートの1番左側、窓側は女性だった。
女性は靴を脱ぎ、左足だけ体育座りのように、シートに乗せる。
その左足の爪には、赤いペディキュアが施されていた。

窓から差し込む光
窓から除く開放的な青
そこに映える赤い爪

なんだか、いけないものでも見てしまったように扇情的な光景だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?