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緊張する理由

緊張する理由。なぜ人は緊張するのか。その具体的な説明を考えてみます。結論としては、「執着してる」から。

まず緊張してる状態を考える。緊張している時は体が硬くなる。どこかに力が入る。なぜ硬くなるかを考えると、そうして体に力を入れることで、いつでも戦闘、あるいは逃走できるようにしている。常に力を入れられる状態でいた方が、起こることに素早く対処できる。あらゆることが危機に繋がる可能性のある状況なら、最初から力んでいた方が対応しやすい。そうして「いつなんどき危機的状況に陥るかわからない」という状況を回避するために、緊張する。

それは生物の本能。つまり緊張は、何かに対する「こうなったらどうしよう」という危機的状況の想定(妄想)から身を守るために起こっている。

では、その妄想は何が起こさせているか。それは恐怖心。先程も書いたように、死なないためには身を守る必要があります。危機的状況に対処できなければ死に繋がる。生命としては生きることを継続したいので、死んでもらっては困る。だから恐怖や不安を生み、危機的状況の回避を考えさせ、生き延びようとしている。

例えば、「人前」という状況への強い意識(執着)→「良く魅せたい」という思い→「よく魅せたい」ということは、同時に、「よく魅せられない可能性もある」ということ→その可能性に恐怖→恥ずかしい思いをするかもしれない(妄想)→そうなると傷つくかもしれない(妄想)→自分が傷つくことは生きる上で避ける必要がある(本能)→いつでも避けられるように緊張(本能)

このようにして緊張につながっていく。

じゃあその恐怖心は何が生み出してるのかというと、上の例で書いた、特定のものに対する過剰な意識。つまり執着。その執着から「こうでなければならない」ということを考える。そして同時に、そうではない状況を想定する。その想定が現実になってしまうと自分の身を脅かしかねないので、緊張する。

なので根本的には、何か緊張を引き起こすものに対して執着しないことが対策だと思います。意識することは別にいいんです。それだけでは恐怖心は生まれない。単に人がいるだけじゃ怖くない。人がいるだけで怖かったら街中を歩けない。でも「人がいる」という状況を意識しすぎると、「この中に犯罪者がいるんじゃないか」とか、「襲われるんじゃないか」とか色んな可能性を見つけてしまう。普段からそうならないのは、「その可能性もあるっちゃあるけど、考えても仕方なくね」と経験からわかっているからです。だから「どっちでもいい認定(執着しない)」さえできばそれでいい。

最近、室伏広治さんの「ゾーンの入り方」という本を読んだんですが、室伏広治さんはアテネオリンピックの際、観客の大歓声で集中ができない状況があったらしい。そんな時、「星を見たい」と思ったそう。そして地面に寝っ転がり、夜空を見上げた。そうして夜空を見ていると、そのうち歓声が聞こえなくなってきた。そうしてハンマー投げに集中できたそう。

この集中ができない状況は、自分が置かれている状況に執着していたから起こったと考えられる。「大勢の観客がいる。歓声をくれている」という状況を強く意識していた。「応援してくれているからいいパフォーマンスを」などと考えていたのではないかと思います。だから上手く集中できなかった。でも星を見るという行動をすることで、観客に対する意識が薄れた。その状況に執着しなくなった。だから集中できるようになった。

緊張も同じことです。「緊張したらどうしよう」とか、「失敗したらどうしよう」と、目の前のこと以外のことを考えてしまう。その結果、力む。なので、緊張を取る方法はそもそもその状況を特に意識しないこと。

意識しないことというのは、「意識しないようにしようと思え〜」ってことじゃないです。「~してはいけない」、「~しなくちゃいけない」と思ってると執着が継続する。なら、「してもいい」と思えれば執着は緩む。「緊張してもいい」、「失敗してもいい」、「負けてもいい」。とにかく、そのことはどっちでもいいと思えるようになること。本当にそう思えたら、どうなってもいいんだから執着する必要もなくなる。「落ち着こう」と思っても同じことです。今度は「落ち着かないといけない」ことに執着する。

それを普段から取っていく方法は、「~しなくちゃいけないと思っているのはなぜか」、「なぜ~してはいけないと思っているか」そういうことを考えてみる。自分を理解してみる。そう考えていき、「別にしなくちゃいけない(してはいけない)ってことはないか」と理解できれば執着はなくなる。これはトラウマを解消することと同じです。

だから場数を踏むっていうのは単純に強い。場数を踏むと失敗もあるし、成功もあるし、その場で対応することもある。そうしてその状況の実感を伴った経験値を得ることで、「そんな気にする必要ないな」と感じ、執着から外れることが多いからです。

多いと書いたのは、そういう経験をしても執着してしまう人はいるからです。それは普段から不安や恐怖が強いから。

不安や恐怖心が強い人は、普段から体にも力が入りがちです。そういう人はしっかり睡眠を取ったり、お風呂にゆっくり浸かったり、落ち着けるような場所に行ってみたりすると普段の緊張が少しずつ緩んでいきます。

少し話が逸れましたが、まとめると、執着が恐怖心を生み、恐怖心が妄想を生み、妄想が緊張を生む。なので執着を解消していこうという話でした。


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