「いま、商業空間づくりで、どんなことがテーマになっているのですか?」その4 〜公園
いつもご愛読いただき、どうもありがとうございます。
このnoteを読んでくださっているあなた。
あなたは、インテリアデザイナーさんでしょうか。
おそらく、インテリアデザイナーや建築家といった、設計業務にたずさわる方々が多いのではないでしょうか。
「いま、商業空間づくりで、どんなことがテーマになっているのですか?」
クライアントから、打ち合わせや雑談の中で突然そう聞かれて、即答できますか。
「できる!」と答えたあなた。
このnoteを読む必要はありません。
「即答できないなあ」「ちょっと考え込んでしまうなあ」とお答えになった方だけ、続きをお読みください。
私たちは、日々の取材活動を通して設計者、店舗オーナー、ディベロッパーの皆さんとお会いします。
「いま、商業空間づくりで、どんなことがテーマになっているのですか」とよく聞かれます。
けれど、短い雑談の中でそれを丁寧にお話しするのは難しい。
それならば、全部このnoteに書いておこう。いつでも参照していただけるように。
そう考えて書きました。
第1回のテーマは、【デジタルテクノロジーと人間の居場所】。
https://note.com/shotenkenchiku/n/nfadff6378679
第2回のテーマは、【素材感】。
https://note.com/shotenkenchiku/n/nd768fbcbe771
第3回のテーマは、【植物】。
https://note.com/shotenkenchiku/n/n2376650cabcc
そして、今回のテーマは、「公園」です。
結論から言います。
これからの商業づくりは、「公園」が重要なデザインモチーフになってきます。
もう少し言うと、「公園」「広場」「居場所」「拠点」といったイメージが、空間づくりにおけるモチーフになります。
では、順を追って説明します。
10分で読めます。
いま、商業空間づくりにおいて最も重要なテーマは、何でしょうか。
そう聞かれた時に、最近は、こう答えています。
「商品を売り買いする以前に、誰もが気持ち良く過ごせて、複合機能を持つような拠点」を生み出すことができるか。これが重要なテーマです、と。
これをわかりやすい空間イメージで言うと、「公園」や「広場」のような空間になるわけです。
「公園」というのは、厳密に公園である必要はなく、空間モデルとしての「公園」であればよいのです。
では、「公園」を、具体的に店づくりの場において実現しようとすると、どうなるか。
例えば以下のような方法が思いつきます。
1:「Park-PFI」等の制度を利用して、自治体が運営する公園と一体化した店舗をつくる。
2:店舗の敷地内や屋上に、公園のような小さな広場をつくる。
3:店内に、複数の機能を持たせたり、自由に座れる家具を置いたりして、公園のような「無目的さ」「多目的さ」「自由さ」をつくる。
と言われても、実例を見ないと、イメージが湧きませんよね。
もう少し具体的に言います。
上記の「1」「2」に関して、「月刊 商店建築」2021年9月号で、魅力的な事例を全国から集めました。
「1」については、「特集/ますます、公園が面白い!〈Park-PFI〉で進む公園一体型の店舗開発」で詳しくお伝えします。
「2」については、「連続企画/人が集まる拠点をつくる」で詳しくお伝えします。
なお、この「月刊 商店建築」2021年9月号は、設計者、店舗オーナーの皆さんはもちろん、まちづくりプランナーや全国の自治体の皆様に向けて作りました。
この2年ほどの間に、公園と一体化した店舗が全国で続々と整備されています。
背景には、2017年に施行された「Park-PFI」制度があります。
店舗デザイナーや建築家の皆さんも、この流れを押さえておく必要があります。
具体的な公園の名称で言うと、「特集/ますます、公園が面白い!」の掲載プロジェクトは、以下です。
【東京・渋谷】
渋谷区立北谷公園/ブルーボトルコーヒー 渋谷カフェ
設計/芦沢啓治建築設計事務所
【東京・池袋】
IKE・SUN PARK/EAT GOOD PLACE
設計/グラビティナイン
【広島】
中央公園/Enlee
設計/Studio Tokyo West
【福岡】
大濠公園/大濠テラス 八女茶と日本庭園と。
設計/リズムデザイン
【神奈川・湯河原】
万葉公園/湯河原惣湯 Books and Retreat
設計/アール・アイ・エー 設計事務所岡昇平
【千葉】
稲毛海浜公園/small planet CAMP & GRILL
設計/ZNEM タカオ企画 船場 ライン
さらに、「Park-PFI」の概要もQ&A形式でまとめました。
もしあなたがクライアントから「最近よく聞く〈Park-PFI〉って何?」と質問された時に、ざっくりで構いませんが、とっさに返答できないと、今後は、かなりまずいです。
ですので、ざっと斜め読みで構いませんので、Q&A記事だけでも目を通しておいてください。
また、スターバックスコーヒーの店舗開発担当者が語る、「公園に出店する際のポイント」も必読です。
では、今、なぜ「公園」「広場」が、店舗や商業空間をつくる際のモチーフになっているのでしょうか。
それは、おそらく、こういうことです。
「入店したら、商品やサービスを購入させられそう」という雰囲気に対して、多くの人が忌避感を持っている。
そして、人が商業施設やお店に出向く時の気持ちとして、「もう、欲しい物は特にない。けれど、何か楽しい体験に出会えないかな。面白い人やモノに出会えないかな。自分にぴったり合う価値観に出会えないかな。そういうものにもし出会えたら、何か買ってもいいかも」と考えている。
あなたも、ここ数年、こんな気持ちでお店に行くことが多いのではないでしょうか。
また、店舗経営者の側からすれば、今、ECサイトに押され気味で、実店舗に客を集めることが難しい。
だから、なるべく、「入店したら、商品やサービスを購入させられそう」という雰囲気を消したい。
用事がなくても入れるような「公園」くらい入りやすい店にしたい。
そう考えているのではないでしょうか。
さらに、「公園」「広場」「居場所」「拠点」といった、現在の商業空間づくりの流れに関して、9月号では、「特集/ますます、公園が面白い!」に加えて、「連続企画/人が集まる拠点をつくる」を掲載しています。
9月号は、この連続企画の第二弾。
テーマは、「広場がつくる、自由で開かれた商業空間」です。
ここで取材したのは、上記の分類で言えば、主に「2:店舗の敷地内や屋上に、公園のような小さな広場をつくる」に該当する空間です。
もう少し具体的に言うと、ここで取材したのは、地方のプロジェクトを中心に、街に人の「溜まり」を生み出し、人の「流れ」を変えていくコミュニティー醸成型の建築です。
「連続企画/人が集まる拠点をつくる」の詳細については、以下のnote記事をご覧ください。
ここに、その意図や概要を書いてあります。
https://note.com/shotenkenchiku/n/nb280b49b1823
この連続企画は、いま私たち編集部が最も注目している「人が集まる拠点」というテーマをめぐって、半年に渡って毎月皆さんにお届けしていく、肝いりの企画です。
正直に言えば、現在進行系のこの大きなテーマに対して、私たち編集部も、「読者の皆さんにどんなプロジェクトやインタビューをお届けしたらよいか」と、迷い手探りしながらつくっている、そんな生々しき特集なんです。
なお、この9月号には、もう一つ「業種特集/テイクアウトショップ+食品系物販店」という特集が入っています。
コロナ禍において、最もホットな業態が、食品系の物販店とテイクアウトショップです。
そうした事例を多数掲載します。
まとめましょう。
これからの商業空間づくりにおいて、「公園」「広場」「居場所」「拠点」がモチーフとなってきそうです。
それを、「商店建築 2021年9月号」で凝縮して取材しました。
合わせて、こちらも、どうぞ。
https://note.com/shotenkenchiku/n/n0f74c9560789
大変ありがたいことに、発売当初から好評をいただいておりますので、もし書店で品切れになっていたら申し訳ありません。m(_ _)m
その場合は、気軽に弊社にお問い合わせください。(https://www.shotenkenchiku.com)
9月号は、以下のような方に、向いています。
●「公園」「広場」のような空間をデザインしたい設計者の方々。
●公園を活性化させ、街の魅力を向上させていきたい自治体の方々。
●空きテナントが目立ってきた商店街を活性化させる起爆剤を求めている商店会などの方々。
〈最新のデザイントレンド〉と〈長く使える設計資料〉。
それが「月刊 商店建築」の誌面です。
「立ち読みする時間がない」多忙なあなたには、定期購読がスマートで便利です。
デジタル版も無料でついてきます。
https://www.shotenkenchiku.com/user_data/subscription.php
お忙しい中、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
もし、少しでも役に立ったと感じてくださった方は、「いいね」と「お気に入り登録」をお願いいたします。〈塩田〉
「商店建築」2021年9月号
特集/ますます、公園が面白い!
連続企画/人が集まる拠点をつくる VOL.2
業種特集/テイクアウトショップ+食品系物販店
レポート/パビリオン・トウキョウ2021
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