【車保有の意義と最適な売却方法】を考察する
はじめに
下記において、都会と田舎の物価について触れるにあたり、都会の物価高の主要な要因は住居費にあると指摘しました。しかし、車を手放すことで、その物価の差はある程度解消できるのではないかと考えます。
田舎においては、車は生活に欠かせないものです。田舎暮らしは一般に家賃が安いため、生活費も低いとされますが、車の所有を考慮に入れると、その評価は必ずしも正しいとは言えないでしょう。
ここでは、車にかかる費用と最適な売却方法について検討してみたいと思います。
車にかかる費用
車にはどの程度、費用がかかるのでしょうか。一般家庭を想定して簡単に試算してみましょう。
新車を400万円で購入し、現在所有している車を100万円で売却すると仮定します(つまり300万で新車を購入するのと同義)。法定耐用年数である6年をローン期間とし、金利を2%とすると、月の支払いは約47,000円です。月のガソリン代は14,000円、駐車場代は10,000円程度でしょう。保険料を5,000円(年60,000円)、車検代4000円(2年ごとに100,000円)とすれば、月の合計出費は約80,000円に達します。多くの家庭では夫婦で2台の車を保有するため、合計月額は160,000円となります。
これが医者の家庭で一般的な外車(ベンツのEクラスやAUDIのA5など)を選択する場合、この価格はそのまま倍増します。さらに、外出先での駐車代や修理費用も考慮すると、費用はさらに増えることになります。
もちろん中古車を選択に入れれば、その分費用を抑えることができますが、6年間の使用を考えるとその分売却価格も低下するため、この想定を大きく逸脱することは無いかと思います。
以上からも明らかなように、車の所有は非常に経済的な負担がかかることがわかります。そのため、車を手放すことで、都会の高い家賃を十分に補うことができると言えるでしょう。
最適な売却方法
結論として、車を売却し、都会に移るのが合理的だと考えます。ここでは、過去の経験を踏まえて、素人でもできる最も効率的な売却方法を提案します。以下にその手順を詳述します。
1.売却のタイミングを計画的に選定する
商品は基本的に需給バランスによって規定されるため、需要が高い時期、つまりディーラーが車を仕入れたいタイミングに合わせて売却を行うのが最適です。
例えば、決算期やボーナス時期前を狙うと、ディーラーの需要が高まり、査定額が引き上げられる可能性があります。一般的な決算期である3月、6月、9月、12月や、繁忙期であるボーナス時期前の5月や11月が狙い目と言えるでしょう。
2.複数社から同時に査定を受ける
これは不動産売却にも共通する考え方ですが、買い手と売り手の間には情報の非対称性があることに注意する必要があります。
私も含め、車業界に属していない方は、車の相場観を持ち合わせている方は少ないでしょう。1社、2社での査定では掴むことができず、安値で手放すといった失態に繋がる恐れがあります。したがって、査定は最低でも4社以上に依頼することをお勧めします。また、他社を意識させることで需要を刺激する効果もあります。
私が実践した方法は、4社以上のバイヤーに同時に査定に来てもらい、他社のバイヤーの前で査定を行うというものです。これにより、競合を強く意識させることができます。そして、目の前でオークションを行います。一般的にディーラーが車を売却する場合オークションで出品を行い、最高値で売るのが通例ですので、それを個人でも行うのです(事業として行っていない限り、オークションに個人が出品することは基本的に不可能です)。
一部のバイヤーは、この方法に対抗するために個別で価格提示をさせて欲しいと訴えてくるかもしれませんが、そこは強い意志を持って却下してください(複数社の相見積もりをしている場合、売り手の方が立場的に強いのです)。
このオークションで最も高い値段で売却することを伝え、各社には最大限、買取額を引き上げてもらいます。私は以前、10年物のインプレッサを売却しました。正規ディーラーでの査定額は8万円程度でしたが、この方法を用いたところ、一気に32万円まで引き上げることができました。
複数社で査定する場合はまとめて一度に行うのが、かかる時間が少なくてすみ、効率的です(高く売ることだけにとらわれ、自分の時間が奪われ、時給換算すると結果的に損をしてしまったとなれば、それは本末転倒です)。
3.査定後に再度交渉を試みる
これで最終価格としてもいいですが、さらにひと手間加えます。最後のあがきのようなものです。
査定後に各担当者に自分の携帯番号を伝え、もう一度社に戻って最終価格よりも高くできないか提案し、再度査定額をショートメッセージで送るように伝えます。その中で最も高い査定額に決定するわけです。
友人にこの技を伝えたところ、友人はさらに少し細工を加えていました。一番高い査定額を提示したメッセージ(a)をコピーして知り合いにその額よりも少し高い値段(約5%増し程度)に書き換えて、自分にメッセージ(A)を送ってもらいます。そのメッセージ(A)をスクショし、残りの会社に送るわけです。さらに高い価格がつけばそれで終了、もしつかなければ先ほどの(a)の価格に落ち着けばいいわけです。若干、詐欺的要素も含みますが、かなり狡猾なテクニックだと感心しました。
以上の手順を踏むことで、効率的かつ最大限の価値を引き出して車を売却することが可能と考えました。
自分の場合は最終35万円にて着地しました。元々の8万円からの上昇を考えると、その差額に対して投資した時間はわずか2時間程度であり、時給換算では13.5万円ほどという、非常に割のいい取引となりました(しかも、これは非課税なので、額面での給与換算をすると、時給30万円弱にもなります)。
(番外)売却前の修理は行わない
また、売却前に左後方のドアを内輪差で傷つけてしまうといった自損事故がありましたが、保険金だけ請求し、実際に修理は行いませんでした。
もちろん、車体の傷は売却価格に影響しますが、傷による価格低下分よりも修理代の方が割高になるケースが一般的です。そのため、修理を行わない方が得策です。
保険の等級が低下し、保険料が上昇する可能性はありますが、今後車の保有予定が無い場合、保険料の上昇は全く問題になりませんので、積極的に保険を使うことをお勧めしますただし、故意の自損事故での保険金請求は不正行為(モラルハザード)に該当しますので、注意が必要です。
おわりに
投資の基本は「安く買って高く売る」といわれますが、一般に、安く買うことのみに注力している方が多いように思います。「買いは算術、売りは芸術」という有名な投資格言があるように、売りの重要性は非常に高いのです。
車をはじめ、時計や不動産などは金額が大きい分、売却時に少し工夫をするだけで、比較的容易に高いリターンを期待できます。コストのかからない簡易的な方法なので車の売却を考えている際は是非一度参考にしてみてください。