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俺達に明日はない -Bonnie and Clyde-

俺達に明日はない -Bonnie and Clyde-

※『俺たちに明日はない』(Bonnie and Clyde)は、1967年製作のアメリカ映画。世界恐慌時代の実在の銀行強盗であるボニーとクライドの、出会いと逃走を描いた犯罪映画。アメリカン・ニューシネマの先駆的作品として有名。

『俺たちに明日はない』は『タクシー・ドライバー』や『勝手にしやがれ』『パルプ・フィクション』などに痺れた奴らは当然観ている。観なければならない映画である。年齢や映画の時系列など関係ない。

それにしても、なぜ多くの連中はクライム映画に惹かれ、犯罪者に憧れさえ抱くのか。ありきたりだが、人間は光と影(闇)を抱いて生きているとしかいいようがない。闇が気になるのである。闇に惹かれるのである。理性で闇を封じ込んでも、溢れる自分の闇を発散するには小説や映画などで疑似体験するしかない。
Bonnie and Clydeは銀行強盗と殺人を繰り返す紛れもない犯罪者である。だが、ソーシャル・バンディット=社会的匪賊=義賊のようなところがあるから、ある種のヒーローなのである。だから犯罪者である彼らに逃げ切ってくれと心から思うのだ。矛盾するようだが最後に何百という銃弾を浴びて沈んだ彼らにカタルシスを抱く。特異な犯罪者にだけ与えられる特権だと思ったのである。その場面が美しいと思ったからである。
25年ぶりに観た『俺たちに明日はない』はよかった。ウォーレン・ベイティもよかったが、やはりフェイ・ダナウェイじゃないか、この映画は。

Bonnie and Clyde

この映画のフェイ・ダナウェイは、品がいいんだか、悪いんだか、よくわからない雰囲気を醸し出している。
マブいスケっていうのがこの映画のフェイ・ダナウェイにぴったりはまる。昔はは、可愛いをマブいって言っていたのである。「まぶしいくらいにいい女」という解説もあるが、ニュアンスとしてはビッチ感を醸し出す姉ちゃんを、マブいとか、マブじゃん、とか言っていたと思う。
あと、はくいね、とも言っていた。何なんだ、はくいって。
エレガントなファッションで、銀行強盗をし、銃をぶっ放すのである。最高である。

Bonnie and Clyde

Bonnie and Clydeの逃避行は切ない。逃げ切れないとわかっているのに、刹那と陶酔がシェイクされたような逃避行を繰り返す心情を思うと身震いがする。

   わたしとクライドとが 人なみの暮らしをしたり

 人なみに家を借り 人なみに生活したら

 3日めには警官がやってくる 税金で買った機関銃をもって

 わたしは必死に戦う どうせとどのつまり勝つのは法律で

 先に撃たれて死ぬのは ふたりと決まっている

 でもわたしたちは知っている 死は罪のむくいなのだと

    いつか私たちいっしょに死ぬだろう力のかぎり戦い、

 傷つき、撃たれてふたりはならんで土になる 

 わたしたちの墓を見て ほっとして人は言う

 やっと死んだボニーとクライド

   わずかな人にそれは悲しみを与え、法に安堵を
 
 でもそれは、ボニーとクライドの死・・・

実在のボニー・パーカーが新聞社に送った詩である。

刹那とは、仏教の時間の概念の1つで、きわめて短い時間、瞬間、最も短い時間の単位を表す。念、念念、叉拏(しゃな)、念頃(ねんきょう)ともいう。
その長さについては諸説あり、通常、1弾指の65分の1と言われている。弾指は、指を1回弾いて出る音の長さである。

つまりBonnie and Clydeが弾指ではなく銃を放つたびに、残された彼らの命は短くなっていくということである。

死のバレエ



死のバレエは、『ゴッド・ファーザー』ソニー・コルレオーネ銃撃されるシーンに継承されたか。

ヘイズコードなどくそくらえの反逆の映画、ファッキン映画なのである。

ヘイズ・コード( Hays Code. the Breen Code や Production Codeとも呼ばれる)とは、かつてアメリカ合衆国の映画界で導入されていた自主規制条項である。アメリカ映画製作配給業者協会(のちのMPAA)によって1934年から実施され、名目上は1968年まで存続した。
《自主規制条項》
冒涜的な言葉("hell," "damn," "Gawd,"など)をいかなるつづりであっても題名・もしくはセリフに使うこと、好色もしくは挑発的なヌード(シルエットのみも含む)または作品内のほかの登場人物による好色なアピール、薬物の違法取引、性的倒錯、窃盗、強盗、金庫破り、鉱山・列車および建造物の爆破など、残酷なシーンなど、観客に恐怖を与える場面、殺人の手口の描写(方法問わず)etc.
25年前に観たとき気になっていたことがひとつある。サウンド・トラックがバンジョーをフィーチャーしたカントリー・ミュージック(ブルー・グラス?)で、凄惨で無軌道なBonnie and Clydeの行動を緩和しているような気がしてならなかった。そう、能天気に映ったのだ。そして牧歌的。
大恐慌時代の物語と時系列は合わなくても、製作当時の流行した、スペンサー・デイヴィス・グループ や、アイズレー・ブラザーズ でも、ホリーズでも、スモール・フェイセズでもいいからポップ・ミュージックをこの映画に乗せたらいいのにと思っていた。スコセッシやタランティーノの映画のように。
キャノンボール・アダレイ でもチャーリー・パーカーでもジャズもいい。マイルスでもモンクでもいいから「Straight, No Chaser」とか逃亡シーンに合致すると思う・・・・・。

25年ぶりの『俺たちに明日はない』でも当然にバンジョーの音が鳴る。結末を知っていると、その音は悲しく響く。

ブログ「Sound of Life」よりセレクト


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