【MTG】UB反対論

世界選手権において、2025年以降のMTGの商品展開が発表された。

いくつか大きな発表があったが、その中で最も目を引いたのがUB(ユニバースビヨンド)関連の発表だ。

2025年は3つのコラボ商品の発売があるという。

“「うわっ」と思った方もいるかもしれません。「モダンに直接入るセット多すぎ・・・!」と。”

公式にこんな文章があったが、「うわっ」と思ったのはそこじゃないよ。

たしかにモダンに入るセットがそんなに多くても「うわっ」とはなるけれども、発売されるセットの半分が他社IP(Intellectual Property=知的財産)とのコラボであるという事実の方が強烈だ。

スタンダードに入る6セット(1.5倍になってるのも驚きだ)の内の3つはコラボ製品になると、もはやMTGをしているのかコラボ系TCGをしているのかよくわからなくなる。

米国はそう多くはないのかもしれないが、日本にはコラボ系TCGの選択肢は既にいくつかある(らしい。よく知らない)。

それ以前に、ワンピカードやポケモンカードなど、有名IPを基にしたTCGは溢れている。

確かに有名IPは強い。

TCGとしての需要に加えて、基になる作品やキャラクターの人気の一部が需要の上乗せになる。

ここ数年のポケモンカードの隆盛を見れば、ポケモンというキャラクターが持つTCGへの影響力の大きさは明らかだろう。(もちろん、導入しやすさや単価の安さなどの要素も忘れてはいけないが。)

とはいえ、MTGも同じように強力なIPを取り込んで成功するというものではない。

MTGは元々独自のキャラクターや壮大な世界観を展開し、高いゲーム性と合わせて人気を博したTCGである。

一時的に他者IPとコラボしたとして、知人間でカジュアルに遊ぶことはできても、それらのカードだけでデッキを組んでイベントに参加できるというわけではない。

スタンダードで使えます!と言っても、スタンダードでそのIPだけのデッキではまともに戦えるレベルにはならない。

継続的にそのIPのカードが印刷されるのであればまだ可能性はあるが、単発でコラボしても、そのIPから入ってきたプレイヤーはそのIPの商品を購入するかもしれないが、継続的にMTGの商品の購入する可能性は極めて低い。

アメコミが好きな人は、MarvelやスパイダーマンがMTGとコラボすると聞いて、その商品を購入するのは容易に想像がつく。

自分が好きなキャラクターを使ってゲームができるのを喜ぶだろう。

ところが、実際に遊んでみると、自分の好きなキャラクターだけで組んだデッキは仲間内で遊ぶだけならともかく、店舗のイベントに参加するには十分なデッキのポテンシャルを有していないことに気付く。

自分の好きなキャラクターで組んだデッキで毎回のように惨敗して帰ってくることになる。

勝つためには何も知らないMTG本流セットや他社IPのカードを購入してデッキを組まなければならないことに気付いたとき、その人はどうするだろう。

自分なら、自分の好きなIPとのコラボカードだけ購入し、同じような相手が居れば遊ぶかもしれないが、コレクションとして購入するだけでそのカードゲーム自体に興味を向けないと思う。

実際に、他TCGで好きなIPとのコラボが発生した時に同様の経験がある。

その時はゴジラとの国産TCGとのコラボであったが、そのコラボ相手であるカードゲームをあそぶことすらなかったし、もはやTCG自体の名前すら思い出せない。

このようなことから、単発の他社IPとのコラボを展開しても、そのセットに限ってみれば他社IPのファンを取り入れて売り上げを伸ばすことはできるかもしれないが、MTGそのものの人気の上昇にはつながらないと考えられる。

セット単体の売上の高さを見れば、間違いなくコラボセットの売上が高くなるだろう。

しかし、特定のIPとのコラボ商品が一番売れるというのであれば、指輪物語カードゲームなど、そのIPを軸にしたTCGを開発すればいいではないか。

MTGの世界を侵食する必要があるのか。

売り上げが好調だからという理由でコラボは正解であるという結果を導くのは、あまりにも視野が短期的利益に向きすぎていて、一切同意できない。

むしろその資金や開発努力をMTG本来のストーリーやゲーム性の向上に投資した方が、10年後、20年後のMTGの成長に与える効果は大きい筈だ。

MTG独自のストーリーをより魅力的なものとし、より深く永く遊びたくなるようにゲーム性を高めていくことが、必ずMTGの中・長期的な発展になると信じている。

自分自身、永くこのゲームを遊んでいきたいからこそ、中・長期的な発展を願っている。

WotCならきっと「IPだけでなく本流セットにも全力をあげている」とか宣うだろうが、リソースは有限だ。

少なくないリソースが、顧客の支払った代金が、MTGそのもののためではなく他社IPのために注がれているのである。

自分の支払った金が、MTGの発展のためではなく目先の利益のためだけに使われるのを無視できるほど無関心ではいられない。

おそらく、この話題は今後も同じような内容で何度も書くことになるだろう。

WotCの方針が変わるか、諦めてMTGから離れるその時まで。



※ここまでの文章はマローのブログが更新される前に書いたものです。



おまけ:マローのブログについて

“史上最も売れたSecret LairはUBである。歴代で最も売れた統率者はUBである。史上最も売れたBOXはUBである。”

前述のとおり当然の結果である。今売れるのが大事なのではなく、永く売り続けられることを重視すべきではないか。10年後にMTGが消滅して、今の売り上げの最大化だけを考えるならやればいい。


“市場調査を行っている。市場調査でもプレイヤーはUBを欲しがっていると強く言われている。”

自分の周りのMTGプレイヤーにUBを熱心に求めている人は多くない。自分が好きな特定のIPとのコラボは喜び歓迎するが、そうでなければ無関心又は嫌悪というのが消費者心理として容易にイメージできる。UBを欲しがっているのか、自分が好きなIPとのUBを欲しがっているのか分けて考えているのだろうか。
また、その市場調査はいつものクソ長いアンケートのこと?でなければどのような対象にどうやって意見聴取してどのような結果になっているのか知りたい。
個人的には、MTGとUBを対等に比較した場合にどちらに注力してほしいかというアンケートがあれば、MTGプレイヤーはMTGに投票するのではないかと予測している。

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