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人が純粋な没入をするには

没入とはその世界の一員になることだと定義したい。
その世界の他にも世界があるのだということを忘れ去っている状態である。

そういう意味で、我々は今住んでいる世界に没入している。(これが実は夢であるとか、もしかしたら、、、ということは昔散々考えられてきたが、外に何か世界があるということを我々が知覚するのは我々が有限な存在ゆえに不可能である。)

外に何か別の世界があると知覚していない(できない)という点で、我々はこの世界に没入していると言える。

ディズニーの世界に没入する。
数学の世界に没入する。
マリオの世界に没入する。
映画の世界に没入する。
小説の世界に没入する。
鬼ごっこの世界に没入する。

人は没入している時、外の世界が全く認識されない。それは自分自身にも適用される。没入している時、外の世界の自分(メタの自分)は存在しないのだ。

そこには主体としての自分のみが存在し、没入世界の外の存在が見えていないゆえに、元の現実世界に引き戻された時には、没入世界で自分がやっていたことが急に恥ずかしく思えてしまうことがある。(友達と遊ぶのが楽しくてかなりはしゃいでしまっていた時に、ふと気づいたら周りの人が結構こちらを見ていたとか。)

人には人の没入しやすいもの、没入しづらいものが存在する。

例えば、ディズニーにあまり没入できない人がいる。
いつもディズニーの外の世界の存在が思い出されるのだろう。その原因が仕事なのかなんなのかはわからないが、いずれにしてもその人にとってディズニーは、"合わない"のだろう。(ディズニー価格という言葉は、現実世界を基準にした言葉であり、ディズニーに没入していない人の言葉である。)

映画を見ていて、こんなの現実じゃありえないだろとか言っている人もいるが、これも映画の世界の外の現実世界から見ていてその世界に没入していないから言える言葉である。

人それぞれに、入り込みやすい世界の感じが存在するのだ。個人差がある。
あるひとは、アート的な世界に没入しやすかったり。
あるひとは、学問的な世界に没入しやすかったり。
あるひとは、テーマパーク的な世界に没入しやすかったり。
、、、

だからこそ、万人が揃って没入することのできる世界などこの現実世界以外に作り得ない。だからこそ、顧客に楽しんでもらおうというサービスを作るのならば、作ろうとしているサービスが構築するような世界に没入しやすい傾向にある人に、高い確率で没入体験をしていただけるような設計の仕方をしなければいけない。

これは、その世界を他の世界からどれだけ隔離することができるかということに他ならない。

そのためには、
その世界自体の完成度を高くすること
その世界を他の世界から隔離すること
没入の邪魔をする「ノイズ」を最小限にすること
が考えられる。

これらの3つの要素についてそれぞれもう少し具体的に考えてみたい。

まず、その世界自体の完成度を高くすることであるが、これはそのままの意味で、サービス自体が表現したい世界の完成度をこだわって作り上げることを意味している。ディズニーで言えば、そもそものパークの完成度。映画鑑賞の文脈で言えば、そもそもの映画の完成度がこれに該当する。

次に、その世界を他の世界から隔離することについて具体例を挙げたい。ディズニーの園内からは、外の建物が全く見えないように工夫されている。土を高く盛り、木を植えたりなどすることでそれを実現しているようだ。映画鑑賞においても、映画館は外からの光が漏れてこないようにドアの位置などが工夫されていることが思い出される。こういった、他の世界が物理的に隔離されているような工夫が実はあったりするのだ。

さて、最後に没入の邪魔をする「ノイズ」を最小限にすることであるが、ここでいう「ノイズ」とは、没入しようとしている人がその世界に入り込むのを妨げる、細かい違和感や不快感を指す。
例えば、ディズニーでいえば、待ち時間が極端に長かったり、食事が思ったよりも不味かったりすると、そういう綻びからお客さんは外の世界を思い出してしまう。映画館においても、椅子の座り心地が悪かったり、隣にうるさいお客さんがいたりすることで、その時点でその映画体験は台無しになってしまう。

どんなに完璧に世界観を作り上げ、周りの世界からの隔離を図ったとしても、あくまでものその世界は現実世界の中の世界であるため、ノイズによってその人はそのサービスの中の世界の一員であるという夢から覚めてしまう。

夢を見ている時、人はその夢の世界に完全に浸っている。その夢を覚ますような邪魔を極限まで減らしていかなければならないということである。

正直ここまであまり集中力がない中書いてきたので、もうあまり考えが広がらない。今回はここらへんで一旦終わろうと思う。さらに深い考察はまたの機会に。

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