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可能性自体をもっと楽しんでみませんか?

2024年本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』を読んだ。

久々にこんなにさっぱりとした小説を読んだ。


前提として、僕は、推理しながら読むミステリーや、伏線があって最後に謎が明らかになっていくファンタジー、登場人物の心情が濃やかに表現されている物語、そういう"刺激の強い"本が好きだ。読んでいてとても心が揺さぶられる。
(というかほとんどの日本の物語がそういう属性を持っている気がする、、、)

『成瀬は天下を取りにいく』は、そういう本たちとは異なり、とても"さっぱり"としている作品だった。

こんなにも何も考えず、爽やかに楽しめる作品が、今でもあるのか!
と、僕は純粋に思った。

僕とは真反対に、常に飄々と生きる成瀬の生き様を追って見ていくうちに、すぐに成瀬のファンになった。


成瀬の生き方を見て、僕も「"可能性それ自体"を楽しめる」性格だったらなあと考えてみた。

できるなら、成瀬のような生き方をしたいものだが、、、
これは多分先天的なものなのでしょうがない。

登場人物の一人、大貫かえでが思ったことと同じことを僕も思っていたのだ。

こんなふうに目標とも夢とも野望ともつかないようなことを気安く口に出せたらどんなに楽だろう。

大貫かえで

ただ、僕は成瀬に「可能性自体を楽しむという生き方もあるよ」と教えてもらったことで、もっと楽に生きていこうと思うようになった。

何かに興味を持っても、実際にそれに手を出さずに終わることが多い。
結局やっても大した成果はあげられないのだろうと自分の中で完結してしまう。

そうやって自分の可能性を閉じていないだろうか?

とりあえずなんでも、一回全力でやってみる。
それで、思い通りの結果が出るかはわからない。
でも、その経験が自分の未来につながっていく。

成瀬はそういう「可能性自体を楽しむ」生き方をしていたのだ。


「とりあえずやってみればいいではないか。」

僕と同じように、成瀬に背中を押してもらった人が何人もいるんだろうな。

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