見出し画像

無財の七施の実行編


第1の極意 第一印象の極意  慈眼施(じげんせ)


にこやかな笑顔でご遺族、会葬者を迎えられない葬祭業。
しかし、人はグリンプスバイトと呼ばれる相手を一瞥した際の表情によって印象を決めてしまいます。

相手をやさしく包み込む「受容の微笑み」が必要となってきます。受容の微笑みは、口元の口角が少し上がっているのはもちろんですが、相手をいつくしみ、深い眼差して見る目元が大切です。お手本としたい方が美智子上皇后様と、そして、俳優の堺雅人さんです。
仏像や仏画に半眼というのがありますが、それを現代版にしたような柔らかく目を細める形です。半沢直樹で、眼力で相手を圧倒してきた堺雅人さんですが、実は、とっても優しい目をする時の彼がすきです。

マスクをすると、目元しか見えません。大頬骨筋があがると目が細まりますが、口元が見えない表情を伝えるのは難しいですね。

慈眼施のアイメイク

目元の表情は、眉との関係が大きく影響します。ですから、アイブロウも含めてのアイメイクがとても重要になります。
歳をとってくると、アイホールが引っ込み影ができます。そうすると暗い顔つきになってしまいます。そこに間違って、ブラウンのアイシャドウなどを入れて、もっと深みを際立たせるのは間違いです。少しパールが入って光沢のあるライトブラウンやベージュ、淡いオレンジなどのアイシャドウで、目元を明るくすることです。
アイブロウは、目頭をややぼかし気味に入れるとよいです。細い眉は更けて見られますし、若いとヤンキーに見えてしまうので、自然な太さを保ちましょう。
15年ぐらい前は、やや細めの弓形眉が女性らしいと言われた時もありますが、太くても、角度を付けず、眉山から緩やかに下げる眉の書き方がベストです。
優しい表情にする場合、目と眉の間を少し離した方が優しく見えます。目の表情には眉が上がったり下がったりと眉の動きが大切になってまいります。
美容のためにと、ボトックス注射をして、おでこの表情筋を動かないようにするなんて、言語道断です。

慈眼施の表情

ご遺族の気持ちに寄り添って、少し悲しい表情をする場合は、眉はㇵの字になります。
不安な相手を勇気づけたい時など無言でうなずく場合があります。そうした時は、眉を少し上げて目をしっかり開けてみると、こちらの「お任せください」という気持ちが伝わりやすくなります。

私は、よく参列される小さいお子さんたちから、じっとガン見される時があります。子供はよく動くモノを目で追うといいますから、じっとたたずみ葬儀司会者然としている私が、実は、きょろきょろと眼球が動いているのかもしれません。正直、あちらこちらに目を配り、何か不具合はおきていないだろうか、とみているからです。だからこそ、お子様と目が合うのでしょう。
そういう時は、「わたしも見てるよ~」と大きく瞬きをしてから目を細めます。そして、視線を外します。

葬儀の仕事をしていると、喪主様の緊張がこちらにも伝わってくることがあります。
葬儀終盤の喪主挨拶の原稿を見せ、
「これで大丈夫でしょうか」
と訊いてくる喪主様もいらっしゃいます。
私は喪主様に
「原稿を見ながらで大丈夫ですよ。マイクの向きを調整しておきますね」
と声を掛けます。

葬儀が進み、導師退場後喪主挨拶の場面となりました。
「ここで、ご遺族ご親族を代表して喪主〇〇〇〇様より会葬御礼のご挨拶がございます」
と告げると、アテンダントが喪主の立ち位置にマイクを出し、挨拶を促します。
喪主様がマイクの前に進む前に、チラッと私の方を見ました。
目に不安の色がよぎっています。
私は、マスクの中で口を閉じながら口角をきゅっとあげ、少し目を細めて小さく頷きました。

この表情がどれだけ喪主様の気持ちを落ち着かせたかはわかりません。
しかし、喪主挨拶をよどむことなくし終えた喪主様の肩が下がっているのを見ると、文字通り一つの肩の荷が下りたのでしょう。

パフォーマンス学


佐藤綾子先生のパフォーマンス学を20年以上学んでいる私は、ポスチャー(Posture)姿勢が表す意味も大いに読み取ります。
緊張すると肩は上がり、緩和すると下がります。不安があると身を縮めて自分の存在を小さく小さくして目立たなくする、逆に大物と見せたいときは、肩甲骨を寄せ、胸を開き、体を左右に揺らし、幅を大きく見せて歩くなどなどあります。

パフォーマンス学は、心理学、社会学・文化人類学、スピーチコミュニケーション学、演劇学を土台にした体系的理論と、豊富な実験データによって証明された言葉の表現(言語表現)だけでなく、言葉以外の表現(非言語表現)を駆使する、実践的な技法の両輪から成り立つ学問です。
ー引用 国際パフォーマンス研究所HPよりー

パフォーマンス学を学び始めた2000年以降、私は妊娠、別居、出産、離婚を経験していますが、佐藤先生の教えが自分の道を決めるのに大きく役立ったことは明白です。

仕事だけでなく、私生活でも学びの大切さを実感している私です。

画像1

弊社20周年記念の時の佐藤綾子先生








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?