唐獅子図屏風
え、なあに?あたしたち?
ええと、何者って言われても…。
大きくてビックリ?うん、それは良く言われる。
あ、彼?彼はうーんと、パートナー?って言うのかな。
すごいでしょ、ムッキムキで。
外向けには、つよっつよなんだけど、あたしには結構心配性でね、
いろいろ言ってくるわけ、あっち危ないんじゃないかとかさ。
ちょちょちょっと止まって、とかね。
あ、声、渋いんよ?
でもねえ、そんな心配したって仕方ないっていうか、
心配したら、”そうなる”って思うんだけど。
それに此処って、なあんにもないところなんだけど、
あたしたちみたいに鍛えてると、なんにも怖くないし、
むしろ居心地いいんだよね。
彼、どこでも、いつでも心配してるの、あたしのこと。
でも、そういうところも可愛いって思ってるんだ、実は。
だからつい、もっと心配させてやりたくなっちゃう。
愛しくて哀れなわたしの唐獅子さん。
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「唐獅子図屏風」狩野永徳
15世紀後半 224.2×453.3cm
宮内庁三の丸尚蔵館
*R*
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