「鍵穴」:【毎週ショートショートnote裏お題】濃い古墳

太平洋のど真ん中の海底に鍵穴の形をした巨大な人工物が発見された。
著名な考古学者が調査したところによると、それは前方後円墳だという。

しかし、この古墳には謎が多かった。

海底にあるとはいえ、巨大な人工物が、なぜ今まで発見されなかったのか。
なぜこの場所にあるのか。
そもそも何のために作られた古墳なのか。
謎が謎を呼ぶが、調査団を結成し古墳の中を探索してみることにした。

海底にある古墳ということで調査は困難を極めたが、驚くべき調査結果を得た。
なんと、古墳内には無限と呼べるほどの量の、金銀財宝が収められていた。
そこからは、ご想像通り、様々な国がその財宝の領有権を主張しだした。
そして、あわや世界大戦が勃発しようとした、そのとき。

太平洋の古墳がある位置に、宇宙から何かが降ってきた。


「ん、何を持ってるんだ」

「貯金箱。もうすぐ満杯になるんだ」

全身グレーの人型をした生き物は言うと、青いマーブル模様の丸い貯金箱に鍵を差し込もうとしていた。

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