キャンプ
また2人でキャンプに行こうね!
と言って10年の月日が経った。
僕は今女子高生の格好をして商店街を歩いている。
恥ずかしいだなんて思ったことは一度もない。
商店街には雑貨屋、古本屋、八百屋といろんなお店が並んでいる。
商店街の先にお墓がある。僕はそこへ向かった。
10年前キャンプに行くのを約束した子のお墓だ。その子はキャンプの帰り道事故で亡くなった。
その子はとても明るい子で僕は女子高生の格好をしてたくさん笑わせた。
たくさんたくさん笑わせた。たくさんたくさんたくさん、たくさん。笑わせた。
キャンプの帰り道その子から告白された。
僕もその子の事が大好きだった。
でも、恥ずかしくて言えなかった。
だから「時間をください」と言った。
その子は「分かった」と言いニコッと笑顔を見せ帰ていった。
その夜、僕は告白の返事をLINEでした。
朝になった。LINEを確認すると既読が付いていない。既読が付かないまま10年が経った。
その子が亡くなったのを知ったのは、8年前その子の友達のインスタグラムだ。
僕は今でも10年前のキャンプの帰り道の事を後悔している。
あの時「大好きだ」と伝えていれば、事故に遭わなかったかもしれない。
あの時一緒に帰っていれば事故に遭わなかったかもしれない。
僕はもう後悔なんてしたくないと思った。
僕は「今」思ってる事。「今」やりたい事。「今」伝えたい事。全てやった。
僕はあの頃からずっと、女子高生の格好をしている。
今でも君を笑わせる。