白熱の第2巻がここに開幕!『デアデビル:ノー・デビルズ、オンリー・ゴッド』発売記念!
『デアデビル:ノウ・フィアー』から2巻目となる最新刊、『デアデビル:ノー・デビルズ、オンリー・ゴッド』が10月17日に発売されました。
前作の『デアデビル:ノウ・フィアー』刊行記念の記事では、昼は法律家、夜は法で裁けぬ悪と戦う盲目の戦士“デアデビル”とはどんなキャラクターなのか、その魅力をたっぷりと紹介させていただきました。
10月17日発売の新刊『デアデビル:ノー・デビルズ、オンリー・ゴッド』では、ヘルズキッチンから姿を消しスーツを脱いだデアデビルのその後の葛藤が描かれます。
そこで今回は、前作から引き続き登場するキャラクターに加え、新たなキャラクターについても深掘りしながら、作品の見どころをライター・翻訳者の小池顕久さんに紹介していただきます!
スーツを脱いだデアデビル……過去の因縁と新たな出会い
この度刊行される『デアデビル:ノー・デビルズ、オンリー・ゴッド』は、2023年8月に刊行された『デアデビル:ノウ・フィアー』の続刊となります(収録作品は、『デアデビル(2019)』#6-10)。
※ちなみに本作のライターのチップ・ズダースキーは、2019~2023年にかけて、『デアデビル』誌を計50号分、手がけています(『デアデビル(2019)』全36号+『デアデビル(2022)』全14号)。
本巻は、主人公であるマット・マードックがデアデビルを引退して8週間が過ぎた時点から始まります(マットがデアデビルを引退するに至った経緯は、前巻『デアデビル:ノウ・フィアー』をご覧ください)。
過去にデアデビルに関りを持った者たちは、この8週間で、様々な状況・心境の変化を迎えました。本書『ノー・デビルズ、オンリー・ゴッド』は、これら登場人物の変化と、その後に待ち受けるさらなる有為転変が見どころとなっています。
そこで今回の原稿では、これら登場人物の、物語開始時点の状況を紹介していきましょう。
文:小池顕久
マット・マードック
まず、主人公のマット・マードック。元々はデアデビルとしての活動のかたわら、弁護士・検事として活動していた彼ですが、本巻では保護観察官(犯罪者が社会復帰するためにその生活を監督・指導する職業)に転職。法を犯した人々に手を差し伸べ、彼らが更生できるよう、尽力していきます。
ですが、やがてマットは、自身がデアデビルとして犯した“過ち”が、一人の青年とその家族に不幸をもたらしていたことを知り苦悩します。その上、彼の地元ヘルズキッチン地区は、デアデビル引退を受けてギャングたちが跳梁を始めていました。 自身の罪を償うため、そして来たるべき抗争を止めるため、マットはデアデビルに復帰すべきなのでしょうか……?
なお、敬虔なカソリックであるマットは、自身に降りかかる様々な苦悩を、「神から与えられた兆し」であると受け止めますが、かといって、周囲の困難を解決するために、デアデビルに復帰すること(=暴力で状況を打破する道に戻る)は、はたして神の意志にかなうことなのかと悩みます。
そして、思い悩んだ末にマットは、とある知恵者に、「神の実存とその意志」について問いかけるのですが……(この人物の正体と、その弁えた解答については、ぜひ本書をお読みください)。
ノース刑事
前巻で初登場したコール・ノース刑事は、シカゴ市警から転属してきたばかりで、ニューヨーク市の警官の流儀(ヴィジランテの活動を容認し、協力して犯罪に立ち向かう)などどこ吹く風で、「法を犯した者に対して正義を執行する」ことにこだわる人物。結果、殺人事件の容疑者となったデアデビルを追い詰めた彼は、マットを精神的・肉体的に打ちのめし、彼を引退に追い込みます。
この一件で、彼はデアデビルに好意を持っていた警官の不況を買ったばかりか、デアデビルの情報をギャングに流していた不良警官たちからも恨みを買います。やがて彼は、一部の警官に暴行されますが、それを堂々と告発したことで、「仲間を売った奴」として、市警の大多数の警官を敵に回すことになります。
己の信じる正義を遂行したがために仲間たちから排斥され、挙げ句、デアデビルを憎むギャングから喝采を浴びることとなったノース刑事。そんな彼の心をくじくような事件が、本巻の後半で待ち受けています……。
キングピン
一方、暗黒街の帝王キングピンことウィルソン・フィスク市長は、「自身の急所」と形容してきたデアデビルがいなくなったことで、我が世の春を満喫しています。ですが、一流のビジネスマンである彼は、「成功者は満足すべきではない」との信念の元、野望の拡大を目論みます。手始めに彼は、自身が束ねるギャング組織の解散を宣言する一方、市長という立場を利用し、「大麻の合法化」という、莫大なカネを生む計画に乗り出すのでした。
キングピンの配下たち
キングピンが公権力を活用した、新たな犯罪に手を伸ばした結果、それまで彼に従っていたギャング組織は、そこそこ自由に活動ができるようになります。特に、前巻でデアデビルに取り引きを妨害されていたオウルは、自身の勢力を回復しようとやっきになります。彼はヘルズキッチンでクスリの売買や、みかじめ料の請求を始め、同地区を縄張りとするイジー・リブリスと対立します(なおリブリス・ファミリーもキングピン傘下であり、オウルはキングピンによる「仲間同士の縄張り争いの禁止」の命令に公然と背くことになります)。
そしてこの2つの組織の抗争に、マットも意外な形で巻き込まれていくのでした……。
ヘルズキッチンの住民
ニューヨークの下町、「ヘルズキッチン」は、市内でも特別に治安の悪い地域でしたが、デアデビルら地元在住のヴィジランテによって、長年に渡り平和が守られてきました。——まあ、過去には悪魔に憑りつかれたデアデビルによって、ヘルズキッチンが邪悪の拠点と化したりもしましたが(2010年のイベント「シャドウランド」での出来事)。デアデビルがいなくなって8週間、徐々にオウルの配下がヘルズキッチンに食指を伸ばし始めたことで、同地区の治安は一気に不安定になります。
そんな中、ヘルズキッチンで働く女性が、ギャングにみかじめ料を請求されていた知り合いの店主(ジョークグッズ・ショップを経営)を、デアデビルのマスクを被って助けるという事件が起きます。
以来、ヘルズキッチンではデアデビルの扮装をした市民が、思い思いに悪と戦うことが流行していきます。そのことを知ったマットは、取り返しのつかないことが起きる前に、この危険な流行が終わることを願わずにはいられませんでした(ですが……)。
ミンディ
ミンディは、今巻で初登場する、ヘルズキッチンの古書店の店主です。
マットは、友人のフォギー・ネルソンの誕生日に送る本を求め、たまたま彼女の店を訪れたのですが、盲目の彼に好奇の視線を向けない彼女の人柄に好意を抱きます。
ちなみに直後にミンディは人妻だということが判明するのですが、それでも、彼女の朗らかな笑顔は、平穏な日々を送るマットの日常に、更なる彩りを与えてくれるのでした(しばらくの間は……)。
さて、こうした多数の登場人物が登場する『デアデビル:ノー・デビルズ、オンリー・ゴッド』。それぞれの登場人物の思惑、そして行動は、主人公であるマットにどのような影響を与えていくのでしょうか?
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