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あの人気キャラ同士が驚異のマッシュアップ! 『インフィニティ・ワープス』大解剖
2022年11月25日にオープンしたShoPro Booksの公式オンラインストアから、流通限定商品第2弾としてお届けするのが、本作『インフィニティ・ワープス』です! 2018年の大イベント『インフィニティ・ウォーズ』の外伝であり、『ホワット・イフ?』的な短編集(「もしもスパイダーマンとムーンナイトが融合したら……?」など)としても楽しめる本作の魅力を紹介します!
文:石川裕人
文字通りの『マーベル2イン1』!
『インフィニティ・カウントダウン』と『インフィニティ・ウォーズ』、21世紀の「インフィニティ・ガントレット」とも言うべき両作を補完する姉妹編であると同時に、シリーズの白眉とも言えるのが『インフィニティ・ワープス』だ。
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ジェリー・ダガン他[作] アダム・キューバート他[画] 石川 裕人[訳]
※電子書籍も同時発売
消滅したはずのインフィニティ・ストーンの復活を機に、全てのストーンを手にして宇宙を思いのままに作り変えようと願うガモーラは、その障害となり得るスーパーヒーローの力を削ぐべく、世界を折り畳む(ワープする)ことで、二つの魂を一つに融合させる。つまり、二人のヒーローを一人に融合させ、彼らを殺すことなくその力を半減させたのだ。
オリジナルと言うべき「インフィニティ・ガントレット」では、サノスのいわゆる“指パッチン”で有無を言わさず半減させたところを、同じ効果を発揮しながら、新たなキャラクターまで生み出してしまうのだから、実に見事なアイデアである。
こうして誕生した「ワープワールド」のヒーロー達は、『インフィニティ・ウォーズ』にも顔を見せたが、顔見せ程度でそのオリジンや背景はほとんど語られなかった。それら気になるヒーロー達が存分に活躍できる場として用意されたのが、シリーズのタイインである、全12話の『インフィニティ・ワープス』なのだ。
5人のヒーローごとに2話ずつ。さらに複数のヒーローが登場するアンソロジーが2冊という構成で、作品ごとに別々のスタッフが担当しているため、実にバラエティに富んだ内容となっている。
キャップ+ストレンジ『ソルジャー・スプリーム』
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キャプテン・アメリカとドクター・ストレンジが融合した存在で、ワープワールドのヒーロー達の柱とも言えるヒーロー。正史の超人兵士血清に代わって魔法で超人に生まれ変わったという設定で、キャプテンの世界観を基本に、大戦終結直前に彼が姿を消した理由など、節目ごとに魔法が絡んでくるのが見どころ。
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正史と同じく、元はひ弱な坊やだったものの、その頃からストレンジばりの口髭を蓄えているのが、妙に新鮮だ。
アイアンマン+ソー『アイアンハンマー』
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アイアンマンとソーが融合。「もしもトニー・スタークがソーだったら……?」というイメージで、そこにアーマー製作のオリジン・エピソードを上手く絡めた手腕がお見事。北欧神話の世界とハイテクアーマーという相容れなそうな要素が、予想以上にすんなりと結びついている。
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アイアンマンもソーも父親には苦労をかけられているという意味では、共通点のある二人なのかもしれない。
スパイディ+ムーンナイト『アラクナイト』
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スパイダーマンとムーンナイトが融合。コスチュームはともかく、その個性の基本はほぼスパイダーマンで、ムーンナイトの特徴である多重人格に、スーパーヒーロー、CEO、科学オタクなど、ピーターの様々な顔を当てはめている。そもそもスパイダーマンとピーターも同一人物とは思えないふり幅があるので、適役と言えるだろう。
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敵はグリーンゴブリン+ウェアウルフ・バイ・ナイトで、ムーンナイトのデビューが『ウェアルフ』誌だったことに由来するマニアックな人選。
ウルヴァリン+ワンダ『ウェポン・ヘックス』
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スカーレット・ウィッチとウルヴァリン(X-23)が融合。魔王降臨の依代となるために造られたクローンとの設定で、最も正史版とかけ離れている印象。スカーレット・ウィッチのヘックス・パワーを備えることからこの名がついたもので、ウィッチ同様、必要に応じた効果を発揮する便利さが特徴。
最も独自性が強いというか、やたらと血生臭いバトルは、90年代の「グリム&グリッティ」作品を思わせて、どこか懐かしい。
ゴーストライダー+ブラックパンサー『ゴーストパンサー』
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ブラックパンサーとゴーストライダーが融合。父王との軋轢からワカンダを飛び出したティチャラが、アメリカに渡ってスタントライダーになり、大事故をきっかけに悪魔と契約という意外過ぎる流れだけでなく、その前に立ちはだかるのが、映画でもおなじみのキルモンガーに“キル”繋がりで、異色のSFヒーロー、キルレイブンを組み合わせるという、意表の突きっぷりが凄い。
文字面だけでは伝わらないと思うので、ぜひ本編と解説を目にしてほしい。
まだまだ続く『インフィニティ・ワープス』
短編6本を収録。スクイレルガールとムーンガールを融合させた「ムーンスクイレル」は、やたらと注釈の多い作風までスクイレルガール準拠。ブラック・ウィドウとシーハルクが融合した「グリーン・ウィドウ」は、この説明の通りの内容。ミスター・ファンタスティックとインビジブルガールが融合したミスター・インビジブルに、ヒューマントーチとシングが融合したホットロックスの二人組「テリフィック・ツー」は、逆に違和感がなさ過ぎて、二人足りないファンタスティック・フォーに見えてしまうかも。
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さらに、映画化で話題の征服者カーンと、カマラ・カーンことミズ・マーベルを融合させた「ミズ・カーン」。お子様ヒーロー、パワー・パックとパニッシャーが融合した結果、やさぐれた幼児4人組になってしまった「パニッシャー・パック」。『インフィニティ・ウォーズ』にも登場したウルヴァリン(ローガン)とエマ・フロストの融合体である「ダイアモンド・パッチ」と、ページ数が短い分、インパクト強めのラインナップとなっている。
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ヒーロー同士のマッシュアップといえば……
ところで、ヒーロー同士の融合というアイデアには実は結構な歴史があり、1955年の『ワールズ・ファイネスト』#74に登場した「スーパーバットマン」がその嚆矢とされる(ヒーローに憧れる宇宙人が、スーパーマンとバットマンのどちらを真似ようか迷ったあげく、両方!ということになったというオチ)。
以降は、ヒーローチームの敵として、ヒーローらのパワーを併せ持ったヴィランが登場。7人のジャスティス・リーグメンバー全員のパワーを備える「アメイゾ」。スーパーマン+バットマンの「コンポジット・スーパーマン」。ファンタスティック・フォー全員のパワーを兼ね備えた「スーパースクラル」。そのアベンジャーズ版の「スーパーアダプトイド」。そのX-MEN版である「ミミック」と、強敵感が出しやすいのか、かつてのチームものには欠かせない要素となっていた。
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また、MCUでアニメ化された『ホワット・イフ…?』における、「もしティチャラがスター・ロードになったら?」のパターンも、このアイデアの変形と言えるだろう。この手のストーリーは、両方のキャラクターに詳しければ詳しいほど楽しめる作りになっており、MCUの浸透度あってこその企画だと言えるだろう。
だが、世界観も含めたヒーロー同士の融合と言えば、まず浮かんでくるのが、1996年のクロスオーバー大作『DC VS.マーベル』から生まれた「アマルガムユニバース」だろう。DCとマーベル、両ユニバースの存亡を懸けたバトルの結果、両方の世界を存続させるために造り出された世界で、バットマンとウルヴァリンという、当時の両者の人気ナンバー1が融合した「ダーククロー」。スーパーマンとキャプテン・アメリカが融合した「スーパーソルジャー」など、趣向を凝らしたキャラクターが目白押しで、大きな話題となったものだった。
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今や映画界でも鎬を削る両者だけに再登場は難しい状況だが、それなら、マーベルキャラクターだって数千はいるのだから、自前でやってしまえというのが、本作『インフィニティ・ワープス』の出発点かもしれない。
好評を博した『インフィニティ・ワープス』は、続編が発表され、「スパイダーバース」最新作にアラクナイトが登場したり、ネットゲーム『マーベル・フューチャーファイト』にもアイアンハンマーらが登場している。
肩の力を抜いて楽しめる文字通りの娯楽作だけに、ぜひ『インフィニティ・カウントダウン』『インフィニティ・ウォーズ』と併せてお楽しみいただきたい。
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