見出し画像

令和6年度 犯罪被害者週間 中央イベントに参加してきました

こんにちは。ハナです。
ご存じの方もいらっしゃるのではないかと思いますが、毎年、12月1日以前の1週間(11月25日から「犯罪被害者等基本法」の成立日である12月1日まで)が「犯罪被害者週間」と定められています。
その期間を中心に、犯罪による被害に遭われた方等への支援を呼びかけるイベントなどが催されており、私たちShoPro矯正教育事業グループの面々は、ご縁もあって警察庁が主催されているイベントに4年ほど前から毎年参加しています。
イベントでは、被害者の方だけでなく、被害者への支援をされている方のお話などもお聞きすることができます。
加害者側の更生にかかわる仕事をしている私たちにとって、犯罪被害を受けた方のことを考えることは非常に重要で、毎回気持ちの引き締まる機会となっています。
今日は、そのイベントがどういうものだったか、参加した私たちが何を思ったのかをレポートしたいと思います。


イベントの概要

イベントは、以下のような内容でした。

 ・主催者挨拶
 ・表彰式(標語、作文)
 ・基調講演(被害者遺族の方のお話)
 ・パネルディスカッション(支援のあり方についてのお話)
 ・閉会挨拶

表彰式は、警察庁が開催している標語や作文コンクールの優秀作品の表彰が行われました。皆さんの中にも、夏休みの宿題などで参加された方がいらっしゃるかもしれませんね。
基調講演は、当時大学生だったお子さんの命を犯罪によって奪われてしまったご遺族によるお話でした。事件から長い時間が経っていますが、深い深い痛みや悲しみを今も抱えておられ、ご遺族にとって事件は今も続いていることをまざまざと感じるお話でした。
パネルディスカッションでは、被害者支援にかかわっておられる方を中心に、基調講演でお話された被害者の方も交えながら、被害に遭った方に対してどういった支援が可能なのかが話し合われました。
支援制度のお話だけではなく、「もし身近な人が犯罪被害に遭ってしまったら、どうしたら良いか」という視点でも話が進みました。

振り返り会

このイベントに参加した後は、毎年、振り返り会をしています。
イベントでのお話や、聞いたときに感じた感情などを、とてもそのまま各自で抱えて帰ることができないので、可能なメンバーはその後も集まって、感じたことや考えたことをシェアし合います。
個人として感じたことと、加害者の改善更生に携わる立場として感じたこと。それぞれに、お話を聞いて感じたことを話し合いました。

何のために私たちの仕事があるのか

まず話題に上がったのは、やはり基調講演での被害者のご遺族のお話についてでした。
犯罪の被害によってご家族を亡くされた方のお話を伺うと、私たちも、ただただ一人の人間として茫然とします。
他者の命を奪うことの罪深さ、業の深さ。被害者のご遺族が抱えておられる深い悲しみ。加害者への憎しみ。
今年はお子さんを亡くされた方のお話だったこともあり、とりわけ子どものいる参加メンバーの中には、話しながらお話を思い出し、涙ぐんでしまうような瞬間もありました。

被害を受けた方が抱える悲しみや苦しみについて振り返った後には、自分たちが担っている矯正教育事業というものが果たす役割とはいったい何なのか、毎回議論になります。
今回のようなお話を聞くと、日ごろの業務で目指している「出所者が再犯せずに社会復帰する」という理想と、被害者の悲しみとの間で、引き裂かれるような思いになることもあります。
誰かを深く傷つけた人は、どうやって罪を償っていくべきなのか。本当に社会に復帰することなどできるのか。
すっきりとした正解が導き出せるような議論ではなく、話は尽きません。
しかし、メンバーのなかから、こんなコメントがありました。

「出所後に社会復帰ができずに再犯をすれば、新たな被害者が生まれることは確か。それを止めるために自分たちの仕事がある。それは、自分たちのような第3者の立場の人間だからこそできることではないか。」

この言葉には、参加した誰もがうなずきました。

私たちの携わる矯正教育事業は、「再犯」という負の連鎖を断ち切り、新たな被害者を生まないためにあります。それが、社会全体の安心と安全にもつながっていると信じています。
今回のイベント参加を通じて、私たちの仕事の原点を改めて認識しなおす機会となりました。

もし身近な人が犯罪の被害に遭ってしまったら

今回のイベントにおけるもう一つの大きなテーマは、「犯罪の被害に遭った人に対して、周囲は何ができるのか」ということでした。

犯罪の被害に遭ってしまった方は、大きな悲しみに襲われるだけでなく、裁判などの膨大な手続きに時間もエネルギーもかかります。
事件について何度も説明しなければならなかったり、慣れない裁判に出たり、マスコミの取材を受けることになったり・・・。どれも大きなストレスになります。
そんな中で、周囲の言動によってさらに傷ついてしまうことも多いそうです。
 ・近所の知人や友人が今まで通りに接してくれない
 ・いろいろな人から事件について声を掛けられる
 ・噂話をされる
など。
中には、良かれと思ってかけた言葉に深く傷つく場合も。
そういった場合は、声をかけた本人に悪気がないことが分かるだけに、当事者の方も相手に何も言えずに辛さを溜め込み、人と会うこと自体を避けるようになってしまう場合もあるそうです。

最後のパネルディスカッションでは、被害者支援にかかわる方が参加され、周囲の方がどのように被害者を支えていけばよいか、お話をされました。

身近な人が犯罪被害に遭ったらどうしたらいいか、なかなか想像が難しいかもしれません。でも、いつだれが犯罪に巻き込まれるのかは誰にもわかりませんので、一度は考えておきたいものです。

人の受け取り方はそれぞれですので、絶対に傷つけない接し方というのは非常に難しいですが、接し方のヒントがわかりやすく説明されている動画が警察庁のHPに掲載されていましたので、リンクを貼らせていただきます。

また、もしご自身が被害に遭ってしまったら・・・?
これも、決して他人ごとではありません。
犯罪被害に遭った方のための相談窓口が全国に設置されていますので、こちらもリンクをご紹介させていただきたいと思います。

ご縁がないことが一番ですが、もしもの時にはこういった相談窓口があることを知っておいていただければと思います。

おわりに

ShoPro矯正教育事業グループのメンバーにとって非常に重要なイベントの一つでしたので、皆様にもシェアさせていただきました。
記事をお読みになった皆様、きっと色々な想いを持たれたかと思います。
私たちメンバーも、それぞれ色々な想いを持ちながら、そして自分たちにできることは何かを考え続けながら、この先もより良い仕事を目指していけたらと考えています。

長い記事になってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。