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サクちゃん聞いて!!(前編)
生まれてはじめて人と話すためにお金を払った。
推しのライブに行く。
偉い人のセミナーを聴講する。
とかじゃなくて、
「私が」「話す」
ためにお金を払った。
今までの私は、きっとそういう人ではなかったと思う。
学生の頃、ガールズバーでアルバイトをしてたことがあるんだけど、
人間関係の悩みや仕事の愚痴をこぼすおっちゃんがおって、
そんな人たちに対して、
「この人、友だちおらんのかなぁ。」
「家族とうまくいってないのかなぁ。」
なんて思ってたことがある。
ぶっちゃけ、哀れんでいた。
家族や友人を何より信頼していた私は、自分の中で悩みや不安があったら真っ先に相談していたので、
このおっちゃんにはそういう人がいないんだなぁ。可哀想だなぁ。
なんて、偉そうに考えていた。
で、
社会人になって気づいたんだけど、
どうやら人間ってそういう欲があるっぽい。
今までの自分のことを知らない人に、自分のことを話したい。というか、
自分のことをよく知った人の思いやりのあるアドバイス。
じゃなくて、
バイアスのないフラットな目線でただ話を聞いてほしい。
みたいな
おっちゃん達がそこまで考えて私と喋ってたかは微妙だし、友だちの有無とか家族とうまくいってたかとか実際聞いてないから知らんけど、
社会人になった私には確かにそういう欲が芽生えた。
(って話を友人にしたら、やまホストとかハマりそうだねって言われたから、気をつけようと思った。)
サクちゃんのことを知ったのはたしか3年前。フジテレビ系列の「セブンルール」っていうテレビ番組。
働く女性に密着取材するドキュメンタリー番組なんだけど、基本「私らしい生き方!キラキラ!」って感じで。
当時そういう働き方に憧れてた私にとっては最高の番組だったのだけど、
サクちゃんの回は良い意味であまりキラキラしていなかった気がする。
でも、どの回よりも衝撃的で、何となくこの人の考え方好きだなぁって思ってしまった。
そして、気づいたらTwitterをフォローしてて、気づいたらnoteのアカウントを作ってて、気づいたら書籍を購入していた。
書籍なんて好きすぎて、もう3回は読んだ。
読書が苦手な私にとっては一大快挙である。
列記としたファンと言っても過言ではないのかもしれない。
そんな大好きなサクちゃんがお話を聞いてくれるらしい。と、知ったのは今年の夏。
いつもは都内のカフェとかでやっていた雑談企画が、ご時世のおかげで、オンライン開催になったのだ。
真っ先に応募したし、何となく抽選には当たる気がした。
案の定当たったし、運が良いとかじゃなくて、私がお話できるのは必然だと思った。(なんの自信かは知らんけど)
こうして大好きなサクちゃんが私の話を聞いてくれることになった。
8月某日。
大好きな人とお話するのだから早めに起きてお洒落でもしようかと思っていたのだけど、
案の定寝坊をして、シャワーを浴びるだけで精一杯だった。
でも何となくサクちゃんならすっぴんでも許してくれるだろうと思ってしまった自分もいた気がする。
気持ち程度にお気に入りのクリームソーダのTシャツを着た。これが一番自分らしい姿だと思った。
時間になったので、今流行りのzoomを起動すると、
今までテレビ画面越しにしか見たことがなかった大好きな人が私のスマホ画面に映った。
画面が映ってから私はなんと、しばらくサクちゃんに見とれてしまった。
本当に心から綺麗な人だなぁって思った。
美しいって外見が綺麗なのはもちろんなんだけど、なんかこう、内面からにじみ出る美しさってこういうことなんだなぁって思った。
ついつい私はうっとりしてしまったから、
そんな美しくて大好きな人の声がまったく聞こえてないことにしばらく気づかなかった。
(つづく)