災害が起こったとき、どうすればいいの?『福祉の防災 座談会』【イベントリポートvol.1】
2024年1月1日、能登半島地震が発生し、ふと考えました。私たちの住んでいる地域に大きな災害が起こった時、障がいを持った方やそのご家族はどんな行動を取ったらいいの?同じ地域に住んでいる私たちは何ができるの? ⽇頃、どんな備えをしていたら良いの? そんな疑問や不安を気軽に話し合う場にしたいと思い、 SHOPCAFE Quで企画した座談会。
パネリストに、前橋市防災危機管理課 鈴木さん、前橋市社会福祉協議会ボランティアセンター所長 北川さん、当事者グループ代表としてユニバーサルシートを全国に普及する活動を行っている、笑って子育てロリポップの石川さんをお迎えしました。
鈴木さんからは、前橋市の災害リスク、災害が起きた時に取るべき行動、情報の集め方など防災、災害の基本的なお話。
北川さんからは災害時のボランティアセンターの役割、現在取り組んでいることなど。
ロリポップの石川さんからは、お母さんたちからの声を元に、災害時の対応として取り組み始めていること、地域の方に知っていただきたいことなどお話いただきました。
シリーズで投稿します。
vol.1の今回は、前橋市防災危機管理課の鈴木さんのお話です。
前橋市が震度6以上の災害に見舞われる確率は6.4%だけれど。。。
前橋市の災害リスクについて
鈴木(前橋市防災危機管理課):
<地震>
今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる確率は、50%を超える自治体があるのに比べ、前橋市は6.4%と言われています。
少ないと思われるかもしれませんが、今回大地震が起こった石川県金沢市は6.6%という数字でした。1%でも可能性があるとすれば、備えておくべきであると強く感じています。
市内の最大想定震度は6強。群馬県から埼玉県に横切る巨大な断層帯があり、市内ではとりわけ南部で震度6強の大きな揺れを観測する可能性があります。
<風水害>
過去の事例として、令和元年6月に赤城山山頂付近で発生したゲリラ豪雨があります。急速に発展した雨雲がおよそ2時間にわたって赤城の山頂付近にとどまりました。この時、昭和町付近(平地)では約10mm程度の雨量だったのに対し、山頂付近では約200㎜の雨が降りました。このことから、このゲリラ豪雨がどれだけ局所的で、かつ威力が大きかったのかお分かりいただけると思います。
この時の市の対応を当時の動きをタイムラインにして紹介します。
6月21日
23時半:大雨警報(土砂災害)が突然発表
それから3時間の間に2度の記録的短時間大雨情報が発表
1時33分:土砂災害の危険性が高まっていることを表す
土砂災害警戒情報が発表
2時20分:宮城地区と富士見地区に避難勧告(現在では避難指示に名称変更)
このことからも、ゲリラ豪雨の恐ろしさはその突発性であることが分かります。
風水害は現在の知識や技術で1週間~3日ぐらい前から大体予測がつけられますが、当時このゲリラ豪雨は6月21日の夕方時点でも予報が出ていませんでした。
山頂では200㎜、平地ではわずか10㎜でも、上で降った雨は必ず下に流れます。
上で雨が降っているから下は関係ないだろうではなく、上で降ったら必ず下に影響が来るという事を覚えておいてください。
このように、前橋市においても、地震、風水害どちらも発生する可能性があること、発生していた過去があることを認識していただき、災害に備える必要性を感じていただけけたかと思います。
防災マップ知っていますか?
災害が起こった時に取るべき行動
前橋市の各家庭に配布されている洪水・土砂災害ハザードマップ(前橋市総合防災マップ)
その見方を教えていただきました。
防災マップを見るポイントは3つ
1. 自宅、職場、学校など自分たちが生活している場所の
ハザードリスクの確認
2. 1で確認したリスクに応じた避難行動がどんなものがあるかを確認
(想定されるリスクによって取るべき避難行動は大きく変わる)
3. 近隣避難所の位置と経路の確認
鈴木:前橋市の防災マップは、両面で北部と南部で分かれています。
地理的な特徴として、北部は土砂災害、南部は浸水、洪水害が起こりやすいことが挙げられます。
北部は土砂災害に関するハザードリスクが高い。
土砂災害に関する想定リスクの範囲内に自宅がある場合は、早期の立ち退き避難が必ず必要になるため、あらかじめ避難する場所、タイミングの確認が必要です。
南部は浸水、洪水災害による影響を受ける想定の地域が多い。
利根川沿いから南部全域にかけて浸水想定の高いエリアが広がります。浸水想定に含まれている場合の避難に関する考え方として、浸水深が3メートルを超えるかどうかがポイントになります。
3メートルを超える場合は2階まで水が浸かってしまいます。有無を言わさず立ち退き避難が必要です。一方、3メートルを超えない場合は、2階への避難。いわゆる垂直避難が可能な場所になります。
高齢者や障害をお持ちの方であれば、慣れない避難所での生活や避難所までの道中で思いがけない二次被害などのリスクも想定されます。まずはご自宅の浸水深をよく確認していただいて、2階への垂直避難ができるかどうか、できる場合であっても垂直避難することが望ましいのか、家族と一緒に確認をしてください。
垂直避難をするということは、1階まで水が浸かるということ。外に出られない為、それに応じた備蓄をしておく必要があります。
垂直避難ができるからいいやという考えでは、逆に危険になってしまうリスクもあるため、ご家族の備蓄状況等と比べ合わせながら、垂直避難ができる場合でも垂直避難をするべきかどうか、それとも早期にどこか遠くの避難所、知人のところに避難するのがいいのかどうか、そういったところまで深く考えていただけるといいかと思います。
また、災害によって開く避難所、開かない避難所を事前に知っておくことも大切です。
例えば、浸水、洪水に関して言えば、避難所自体が浸水してしまうというケースが前橋市の地形上発生します。例えば敷島小を見ていただくと、洪水の場合は×になっています。では、敷島小の近隣に住んでいる方で一番近い他の避難所で〇がついているところは、第三中学校になります。
つまり、利根川が氾濫しました。巨大台風が来ました、という時に敷島小に避難しても開いていない。その時は、少し距離は発生しますが、第三中学校へ避難するということになります。
距離が発生するので、早めの避難が必要になります。
一方で、地震が発生した場合は敷島小も開いていますので、地震の時は1番近くの避難所へ避難します。
そして、その時にどういう人と一緒に逃げるのか(高齢者なのか、障害者なのか、妊婦なのか、子どもなのか)という点からも避難に必要な時間は変わります。避難するタイミングから逆算して作成する行動計画(マイタイムライン)を作っておくことをおすすめしています。
災害時は情報が命
鈴木:災害が発生しているとき、どれだけの情報を入手できるかが命の安全に直結しています。
災害が発生していない時に災害に関する情報や、情報をどう集めたらいいかをあらかじめ知っておくことがとても大切になります。
前橋市の防災危機管理課で発信している災害情報ツールがあります。
防災マップにもこの情報ツールは掲載されています。
災害時の情報収集で大切なことは、出来るだけ多くの情報収集手段を確保しておくことになります。
災害時には、何がいつ使えなくなるか分かりません。なので、1つや2つに絞らずに出来るだけたくさんのツールから情報を収集できるようにしておいてください。
情報ツールの種類
・自動的に入ってくる情報
・自分から取りに行く情報
・音声による情報
・文字による情報
・多言語による情報
これらを組み合わせて、常に情報を取得できるようにしておいていただければと思います。
前橋市防災ポータルサイトには、様々な情報取得手段が掲載されています。
最後に。。。
鈴木:災害そのものを防ぐ手立てはありません。市の使命は災害被害を最小限に抑えることです。
そのためにも、市民の皆様には災害を正しく理解していただいて、正しく恐れていただき、そしてそれに対して正しく備えていただきたい。この3つをお願いしたいと思います。
いざという時に行動ができるように日頃から防災マップを活用していただいて自分のリスク、自分の避難先、自分が避難するタイミングをよく確認するようにお願い致します。
千木良(司会):
ちなみに、ここ道の駅まえばし赤城は指定緊急避難場所に指定されています。
大体2,000名の方が3日間避難をしていただける備えがあります。
太陽光とガスで自家発電をすることによって、温浴施設の利用も可能。
3日間の避難拠点の後は、自衛隊の拠点や災害支援物資の輸送拠点になり、
ヘリポートも有ります。
避難所のお話でもう一つ、福祉避難所のことについてですが、前橋市では115の施設が福祉避難所として指定されています。本日は福祉避難所に指定されている、社会福祉法人前橋あそか会赤城野荘の深津さんがいらしていただいていますので、お話を伺います。
福祉避難所とは
前橋市では115の施設が福祉避難所として指定されています。
深津(福)前橋あそか会:
福祉避難所は、避難の段差等による移動の困難さや、身体的状況等により、一般の避難所での生活が困難な方を2次的に受け入れる避難所です。福祉避難所の対象者は、高齢者、障害者、妊産婦及び乳幼児等のうち、避難生活において何らかの特別な配慮を必要とする方です。一方で一般の避難所での生活が困難な方、災害時、配慮者を要する家族を含みます。
あそか会の中の事業所それぞれが福祉避難所として指定を受けています。
その中で、私がおります赤城野荘のことになりますが、福祉避難スペースとしては、玄関から入ったところで、普段は会議室として使っています。
避難スペースとしては91㎡。想定収容人数は、27.6名程度。要介助者、介護の方も併せ、ご本人とご家族で2,3名と考えますと、想定としては9組~13組のご家族をお受けできるかなというところです。
3日間の食料品、備蓄品を備えております。
コロナも経験しまして、衛生用品の備品等も備えをしております。
(つづく)
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