一緒に「ひと休み」することは、ケアにつながる―グラフィックデザイナー寺澤由樹さん
3月21日、前橋市田口町の道の駅まえばし赤城内にオープンした、ショップカフェQu。【Quインタビューシリーズ】では、立ち上げに関わった方たちに思いを聞いていきます。記念すべき第1弾は、ロゴを作ったグラフィックデザイナーの寺澤由樹さん!実は、障がいのある方たちとの関わりで、価値観が変化した経験があるそうです(※インタビュー末尾に、トークイベントのお知らせがあります!)
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店名「Qu(きゅう)」には休憩、クオリティ、クエスチョンなどの意味が込められています。ロゴデザインでは「休憩」に焦点を当て、人が木に寄りかかって休む様子をピクトグラムに落とし込みました。ひと休みすることは人生において大切で、原始的な行為です。この場がたくさんの人の拠りどころになってほしいと思います。ロゴの色は、赤城山周辺の落ち着いた自然を表す深緑、そして「ここから何かが始まり、育っていく」という意味を込め、若葉色を使っています。
大学でプロダクトデザインを勉強し、卒業後はデザイン事務所に勤務。その後知り合いのアーティストに誘われ、障害がある方たちの芸術活動に取り組む「NPO法人工房あかね」(高崎市)で1年ほど働きました。でも利用者を「支援」したという体感はありませんし、何かを教えたわけでもありません。ただ一緒に時間を過ごし、彼らが「やりたい」と思ったことを一緒にやりました。人に無理強いすることがない分、自分も素直になれて、張りつめていたものが徐々にほどかれていくような感覚でした。仕事というより心の休息に近くて、むしろ僕のほうがケアされていた気がします。
僕がそうだったように、福祉が遠い世界のように思える人にも身近に感じてほしいと思い、今回のロゴデザインを考えました。今まで福祉のイメージは、色で例えると淡くて優しい、控えめなものでした。でも僕が工房あかねで目の当たりにしたアート制作の光景は、もっとエネルギーやパッションがあふれる、三原色のようなもので、自分の中にあった「こうでなければいけない」というステレオタイプを和らげてくれました。今回のロゴデザインにも、大きく影響しています。
「福祉施設で作られた商品を買いに行こう」と出かけるのもいいけど、「面白そうな場所があって、行ってみたら福祉施設の店だった」という体験をしてもらえたら、とても嬉しいです。何なら、福祉関連だと気づかなくても良いんです。色々な人と同じ空間で過ごす面白さを、ぜひ肌身で感じてください。また、さまざまな発信や表現の場であってほしいと思います。今回
作ったロゴが、その入り口の一つになったら幸せです。
■プロフィール
寺澤由樹 1990年、前橋市生まれ。2012年に東京造形大卒業。デザイン事務所や工房あかね、まちづくりの企業を経て現職。
取材・執筆:原菜月
オープントークイベント開催します!!!
2023年3月25日(土)18:15~19:15
場所 SHOP CAFE Qu 参加費 無料
素敵なロゴを生み出してくださったデザイナーさん、Quの空間を創り出してくださった建築士さん、施設の商品作りアドバイスから、店舗全体をまとめあげてくださったコンサルタントの方、市の職員の方々…このチームが、どんなことを想い、どんな工夫をしてQuを生み出していったのか、Quのようなお店が道の駅にできる意味、これからの福祉と地域のつながりについて、などなどをお話します。ぜひ、お気軽にご参加ください。
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