太陽のゴッドウィン
太陽の都の盾が言及する太陽とは誰のことだろうか?
この盾は各地の死に生きるものたちとファルム・アズラの獣人スケルトンからドロップする.この盾をドロップするのは全て死に生きるものたちである.
死に生きるものが現れたのは,死王子ゴッドウィンのせいなのだから,ここで太陽とゴッドウィンが結びつけられる.(そして,太陽をゴッドウィンとすれば,太陽の都とはゴッドウィンが埋葬される名もなき永遠の都ではないだろうか.)
(あるいはDLCで明かされる影の地にあるのかもしれない)
ところで,巨人たちの山嶺にあるソールの城砦には蝕まれた太陽に対する信仰がある.
蝕のショーテルに言及される蝕まれ,色を失くした太陽とはなんだろうか?
日蝕教会という言葉からも明らかなように,それは日食の太陽である.
日蝕教会には日食の太陽が描かれた幕が下がっている.
(念の為英語テキストも確認すると,日蝕教会はChurch of the Eclipseであり,蝕のショーテルはEclipse Shotelである.もちろんEclipseは食、日食、月食を意味する.)
蝕まれ,色を失くした太陽が死王子ゴッドウィンと結び付けられているのだから,蝕まれる前の太陽を陰謀の夜の前のゴッドウィンと結びつけるのは自然なことである.
日蝕教会の幻影によれば太陽が蝕まれると魂なき骸(=死王子ゴッドウィン)が再誕するらしいが,これはどういう因果関係だろうか?
作中のテキストにはヒントがないが,日食が何か知っていれば簡単に分かる.ここでは太陽が日食によって隠され,また現れることを神の死と再生になぞらえているのである.
日本人にとって最もわかりやすい例は岩戸隠れ伝説であろう.太陽神である天照大神が天岩戸に隠れ,世界が闇に包まれ,また現れて,世界が再生するこの神話は皆既日食を元にしたものとして有名である.
ゴッドウィンにおいても同じである.太陽として信仰されたゴッドウィンは皆既日食において一度死ぬが,太陽が再び現れるとともに再誕するのである.
さて,ここで問題になるのがラニを象徴する暗月である.
ラニの暗月とは第一義にはマヌスセリスの大教会やラニエンドで見ることができる暗い月のことであろう.(マヌスセリスの大教会では普通の月とは別に,暗い月を見ることできる.)
しかし,一般に暗月と言えば,日食において太陽を隠した月を指す.ソールの城砦で全く言及されないラニが蝕まれた太陽に関係するのは,唐突かもしれないから順を追って説明する.
まずは,陰謀の夜においてラニは肉体だけの死者となり,ゴッドウィンは魂だけの死者となったことを思い起こそう.
フィアイベントで分かるように,ラニの呪痕とゴッドウィンの呪痕を合わせることでゴッドウィンは完全な死者となり,死王子の修復ルーンを得ることができる.
ここで,死の呪痕と蝕のショーテルが似ていること,死王子の修復ルーンと日蝕教会の垂れ幕が似ていることに基づいて,次のように言える.
日蝕において太陽と月が重なると,ゴッドウィン(=太陽)の持つ死の呪痕とラニ(=月)の持つ死の呪痕が組み合わさり,円環をなすのである.それによって,ゴッドウィンは一度完全な死者になり,日食が明けるとともに再誕するのである.
ここまでの考察で,ゴッドウィンの太陽としての信仰からソールの城砦について考察した.その結果,死王子の修復ルーンが皆既日食の太陽を模していることが分かった.
さて,エルデンリングにおいて太陽が言及されるのは他にもう二箇所ある.
一つ目は金仮面卿のマスクである.
明らかにそのデザインは太陽を元にしている.テキストにある輪の似姿とは,金仮面卿イベントの最後に手に入る完全律の修復ルーンのことであろう.
二つ目は糞喰いの太陽である.
テキストにある輪の似姿とは,糞喰いイベントの最後に手に入る忌み呪いの修復ルーンであろう.
3つの修復ルーンが全て太陽であるのは,もはや偶然の一致ではないだろう.ゴッドウィンの死によって女王マリカが狂い,エルデンリングを砕いたことが全ての始まりである.その修復にはゴッドウィンの象徴である太陽が必要になるのである.
結論:生前のゴッドウィンは狭間の地において太陽として信仰されていた.
それにしても,ミケラはソールの城砦で何を企んでいたのだろうか.今はDLCに期待するしかない.