豊かな娯楽は死:後編
☆前回のあらすじ☆
───「これは僕がインパしたときの話なんですけどね……」
「いやだなーこわいなー!!いやだなーこわいなー!!いやだなーこわいなー!!」───
スペースマウンテンでまばたきができなかった僕の眼球の水分は全て飛び、陶器のように乾いていた。
義眼のように乾いた眼球、こわばった四肢、無窮動に波打つ動悸、"無"に近づく魂。
確実に死に向かっている。
やはりディズニーランドは煉獄だった。
次から次へと絶叫系を回る神々、それに付いていく僕。
ちなみにスプラッシュマウンテンでもまばたきができなかった結果、水しぶきで眼球はグッショグショに濡れた。これからディズニーランドに行く、という人にオススメしたいのは眼球を渇きや水しぶきから守る水中用ゴーグルだ。眼球を守ることに尽力してほしい。
スプラッシュマウンテンを降り、なんか落ちてる瞬間を捉えた写真をみると恐怖のあまりガチガチに硬直した自分がいた。
そして僕は即決でこの恥ずかしい写真を買ったのである。
──そう。
徐々に楽しくなっていた。
スプラッシュを終える頃にはもう
「スプラッシュの写真?!え~買っちゃおp(^^)q買っちゃう侍、ここに見参!ザシュザシュ!!www」みたいな浮かれた気分になっていたのである。買っちゃう侍って誰だよ
僕にとって根源的恐怖の対象でしかなかったディズニーランドが、アトラクションに乗るたびに楽しく、楽しくなっていく。
しだいに、周りのゲスト(客)たちも心から楽しんで、またそれぞれが見ず知らずのお互いの幸せを喜んでいるように見えてきた。
あれ?
世界平和…?
天国か……?
もしかしてディズニーランドって、楽しいのでは
という倒錯した疑いを持ちつつ過ごし、夜になってシンデレラ城のプロジェクションマッピングを見ている時にはもう、完全に
やべ~~~メッッッチャキレ~~~!!!!うおおおおおおおお楽しいいいいいいいい終わるなあああああああ一生続いてくれ~~~~!!!!!!
と心で叫んでいた。
そう。
過去の"アミューズメント施設に恐怖していた自分"は死に絶え、ディズニーランドという煉獄で"すげー楽しい場所を普通に楽しめる自分"へと生まれ変わったのである。
恨みから「ニンゲン…ユルサナイ。ニンゲン…コロスオキテ。」と言っていた化け物が心優しい人間に触れるうち「オマエ…イイニンゲン。イイニンゲン、クワナイ。」とその生きざまを改めるような、そんな素敵な瞬間に立ち会ったことがあるでしょうか、僕はあります僕がその化け物だからな
それからはもう大変。
閉園時間が近づくにつれ、「帰りたくなぃ。。。ャダ。。。」とグズりだしそうになるのを必死に抑え(ちょっと声に出てたかも知れん)
朝の8時から夜の10時までみっちり
一度も帰りたい…と思わずに完全にランドエンジョイ勢になりました。
チョッッッロ!!!!
ワイ、チョッッッロ!!!!
「折り紙の舟が欲しかったら、手を伸ばしてごらん…?」ニタア……
ぼく「うん!」
「騙されたなァッ!!」ガバァッ!!!!ガシッ
ぼく「ウワアアアアアアア!!!!」
チョッッッロ!!!!
ぼく「ニンゲン!クウ!コロス!」
「やめて!どうしてもここの人を食うなら、私を食べて!!」
ぼく「オマエ、ジブンカラクワレル言ウ…ヘンナ、ニンゲン…」
ぼく「ニンゲン食ベル、今日ハヤメル…」
チョッッッロ!!!!
おわり
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