豊かな娯楽は死:中編

☆前回のあらすじ☆

───二人のペニーワイズ、そして神と共にディズニーランドと呼ばれる煉獄に新たなる生を授かりに行く日になった私!いったいどうなっちゃうの~~~??!───

朝の8時にディズニーランドの入口で集合とのこと。

舞浜駅に近づくにつれ、電車は超満員になっていく。平日で。下りの電車が。満員…だと…?!

アミューズメント施設って、休日のお昼とかにいっぱい人が来るんじゃないの…?

ランドガチ勢の女子がごった返す満員電車の中で、僕はフェデリコ・モンポウのピアノ小品を聴いて心を落ち着かせていた。フェデリコ・モンポウはいい。その音楽の寡黙さは痛烈に心に訴えかけてくるものがある。沈黙の音楽、と称される彼の作品には

あ、モンポウじゃないディズニーランドの話だ

そんなこんなで舞浜も目前になって、神に「ディズニーリゾートラインに乗り換えます!」と連絡したら「徒歩で行けるよwwww」と返ってきた。神も草生やすんだな~

ここで二度目のなん…だと…?!を味わい朝の8時から早速追い詰められた黒崎一護、もとい僕はなんとかディズニーランドに到着。黒山の人だかりから友人を捜しだし四人全員が集合した。

ちなみに初対面という理由からペニーワイズばりの恐ろしさを想像していた二人は、ペニーワイズとは言っても「あ、ジョージお舟落としたよ。はい、気を付けてね。」と言って普通に舟を返すレベルで優しく、しどろもどろな僕の話を聞いてくれる素晴らしく大人な人たちでした。ペニーワイズって優しいんだな~

ディズニーランドの検閲を何とかくぐり抜け(マジで入口で止められるんじゃないかとヒヤヒヤしてた)、夢の国に足を踏み入れたのである。

ランドに入り、僕を除く三人が最初にとった行動、それは──

"ディズニーランドのアプリを開く"だった。

え…ディズニーランドってアプリあんの?しかもアトラクションの待ち時間や順路や空き具合までアプリひとつで全部見れちゃうしケータイかざすだけでチケット替わりになる……!なん…だと…?!

露骨にステマ臭い驚きを見せた僕の中のチャド。

驚きもつかの間、三人の神々は次から次へファストパス(未だにファストパスのシステムが分からん)を取っていき、一日のスケジュールが分単位で埋まっていく。この辺は創世神話の出来事のように思えた

この人たちに付いていけば大丈夫かな…と安心しきっていた僕。しかし重大な見落としをしていた。

ランドには「絶叫系」があるのだ。
マジのガチでジェットコースターに類いするものに乗ったことがない僕は、確実に訪れる未知の恐怖にうち震えていた。

アミューズメント施設なのに。

こんなに怖いことってありますか。

スペースマウンテンと言う一番怖いというおふれのヤツに並んでいる間は体温と血圧と血糖値が限界まで下がり、笑っていた。本当に恐怖するときに、人は笑ってしまうというのをこの場で知ることになるとは。

スペースマウンテンの待ち時間(マジで待ち時間の事しか書いてないな)、どんどんと断頭台に近付いていく中で僕はインド仏教について思いを馳せていた。そう、本質は"無"であり、僕と世界とは"全一"の関係にある。そう、アストラル体を感じ、プラーナをヤーマして

あ、ヨーガの話じゃないディズニーランドの話だ

肝心の絶叫系はというと、もう一回もまばたきできなかった。まばたきすると見えなくて怖いからである。

ズアアアアアア……

ガコンガコンガコンガコン ギギギギ……

「いやだなーこわいなー!!いやだなーこわいなー!!いやだなーこわいなー!!」(バグった稲川淳二)

ギギギギ…ギギ………

ズボボボァアアアアアア!!!!!!!
グン!!!!バインバインバインバインっ!!!!
バィィィィィイィイィン!!!!??!!!

「………ッッッ!!??!」(ウワアアアアアアアア)

みたいな感じ。
あまりのスピードに振り回され硬直した僕の指は友人のTシャツにがっしりしがみついていた。
これがデートならマジで選ばれしぶりっ子の天才であった、僕はアラサーのオッサンだが。

つづく↓

豊かな娯楽は死:後編|Hasesho @at_lavatory #note https://note.com/shonta22/n/n9c56183287c3

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