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テングリ信仰とは

テングリ信仰は、中央アジアやシベリアのトルコ系およびモンゴル系の遊牧民によって古くから信仰されてきた自然宗教です。この信仰は、天(テングリ)を最高神とし、自然崇拝や祖先崇拝を含む多神教的な要素を持っています。以下にテングリ信仰の主要な特徴を説明します。

【テングリ(Tengri)】
天の神(テングリ)は、空や天を象徴する最高神であり、全ての存在を支配するとされます。テングリは創造主であり、宇宙の秩序を維持する力を持つと信じられています。
雷や嵐、風などの自然現象もテングリの力の表れと見なされます。

【自然崇拝】
自然の精霊(山、川、木、石)など自然界のあらゆる要素には精霊が宿っているとされ、それらの精霊を崇拝します。
特に重要な動物、例えば狼や鷹などは、神聖視されることがあります。

【祖先崇拝】
祖先の魂は死後も家族や部族を見守り、助けると信じられています。祖先への供物や儀式が重要視されます。

【シャーマニズム】
シャーマンは、霊的な指導者であり、病気治療や予言、儀式の執行などの役割を果たします。シャーマンはトランス状態に入り、霊界と交信するとされています。
シャーマンによる儀式は、神や精霊とのコミュニケーション手段として重要視されます。これにはドラムや歌、踊りが含まれます。

【宇宙観】
テングリ信仰では、宇宙は天界(上)、地上界(中)、地下界(下)の三層に分かれていると考えられています。天界にはテングリをはじめとする神々が住み、地上界は人間の世界、地下界には死者や悪霊が住むとされます。

【儀式と祭り】
春や秋の祭りなど、季節の変わり目に行われる儀式が重要です。これらは豊穣や繁栄を祈る目的で行われます。
神々や精霊、祖先に対する供物として、食物や動物が捧げられます。

テングリ信仰は、自然と人間、そして霊的な世界との調和を重視する宗教であり、これらの要素が複雑に絡み合った信仰体系を形成しています。

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