残留決定の日
12月4日。
アウェイでガンバさんの試合。
ベルマーレはやっとの思いでJ1残留を決めた。
「大阪に応援に行ってくるね!!」
「ちなみに日帰りだよー!」
ベルサポの知り合いは「ちょっと近所に散歩してくるわ」くらいの感じでそう言った。
おそらく一般的には「えー!」と思うことなんだろうけど、心のふるさと湘南地域にさっと“帰る”私も同じだよなあと思う(笑)
(笑)、なんて文章を書けるのも、きっと残留を決めることができたからだろう。
西日本在住の私にとって、大阪は湘南に“帰る”よりだいぶ近い。
ただ、この週末はもともと初めから予定が入ってて、その予定もまた私にとって大切なものだったので、その予定のほうに出かけた。
ベルマーレのユニフォームを、いつものバッグの中にこっそり入れた。バッグから何かを出す度に、「絶対残留!!」と念をこめてユニを見る。そして、平然を装ってバッグのファスナーを閉める。
試合時間はちょうど、その用事での移動中で、祈る以外何もできなかったけど、前半途中で経過を知れて、そこから何度か情報を得ることができた。
引き分けだったけど、他会場の結果によってベルマーレはJ1残留!!
あえて特に何かゲン担ぎをすることはほとんどなかったけど、なんとなく残留に縁起が良さそうな行動をしてみたり、逆に降格に近づきそうなことは避けてた。
徳島サポーターさんがベルマーレとの試合の時「不二家のお菓子はベルマーレのホームタウンで作ってるから、試合日までお菓子は不二家しか食べなかった(笑)」と言ってたのを人づてに聞いた私は、食べかけてたカントリーマアムを急いでキッチンのはしっこに大切にしまった。
パッケージの封を開けてしまったのは、なかったことにした(苦笑)
決戦の4日が近づくごとに、本当に落ち着かない何とも言えない気持ちになってたから、残留を知った時、本当に重い“残留”の2文字を実現できたんだと肩の荷が下りた。
パナスタには私も行ったことがある。
とてもいい印象があるスタジアムの一つ。
私がそう思って好きなだけではなく、オリベイラさんが最後にプレーしたという意味でも、特別な場所として胸に刻まれてる。
前節で残留を決めていれば、精神的にはかなり楽だったとは思うけど、オリベイラさんは残留の舞台を自分が最後にプレーしたパナスタにしたかったのかな、と思った。
今年のベルマーレには、大きな壁が2つあった。
1つは、オリベイラさんが亡くなったこと。
人の命が失われるというのは、言葉で表しきれないくらい、悲しくて辛いことだというのを改めて感じた苦しい出来事だった。
もう1つは、これは最終節が終わるまでは書かないと自分の中で決めてたんだけど、徳島さんのサポーターさん1人から、ベルマーレの最終戦セレモニーでオリベイラさんへの追悼の話になってる時に「湘南ありがとう!バイバーイ!」と言われてしまったこと。
私は、できる限りこのことについて無責任に発言はしたくないと思ってきた。それは今でも変わらない。
オリベイラさんが亡くなったことはとても重いことで、それをそういうふざけた言い方はしてほしくはなかったし、人として許せない気持ちは今でも強い。勝ち負け以前に、人の命は他には代えられない。
だけど、そう言った人は徳島さんが発表した処分内容を見てみると1人みたい。
そうであれば、残りの圧倒的大多数の徳島サポーターさんたちは何も悪くないということになる。自分のチームからそのような問題が起こったことに、とても心を痛めてる徳島サポーターさんもたくさんいる。
サッカーに限らず、団体や組織の一人が何か問題を起こせば、まるで全体が悪いかのような見方や評価をされることが多い。
「だから、一人一人がちゃんと自覚を持とう」というのは、実際その通りだと思う。
でも、その問題を起こした人以外の徳島サポーターさんを仕返し的に傷つけることのどこに、解決に繋がる道があるだろうかと思う。
お互いにもめ合って傷つけ合って、1人が起こした問題のせいで徳島さんとベルマーレの溝が深まっても何も解決しないはず。
それに、太陽のように明るく友好的だったオリベイラさんは、絶対にそんなの喜ばない。
だから、私はその問題を起こした人に対して嫌悪感は持っても、徳島さん全体を悪くは思いたくないと思う。
もちろん、これからの再発防止は大切だし、その人を無期限入場禁止にしたならそれは確実に守ってほしいと思うけど、私はその人を見せしめのように処罰することよりも、徳島さんだけでなくJリーグ全体が、断固としてそのような問題は許さないという強い決意を示すことを望んでる。
正直、人としての気持ちを言わせてもらえるなら、今回勝点1差の僅差だったとしてもベルマーレが残留して、「そんなひどいことを言ったら、神様は見てるんだよ」というのを証明したいという気持ちはあった。
オリベイラさんがベルマーレで頑張ってたという事実を傷つけられた思いもあった。降格するわけにはいかない、そんな言葉に屈してたまるかという決意もあった。
でも、見返したいと思ったのは「その発言をした人」に対してだけで、徳島さんを憎らしく思ったり、徳島サポーターさんというだけでまとめて批判したり、そういうことではない。
だって、どこのチームのサポーターでも、自分のところのサポーター全員が自分の知り合いじゃないし、仮に面識があるからといってその人たち全員が絶対に問題を起こさないという確証はない。
ベルマーレのことはもちろん信じてるけど、日本の北から南まで、外国にいるかもしれない人まで、全員の言動を自分が全て見てるわけじゃない以上は、どこのチームでも「うちは絶対に何の問題も起こしません」とは言い切れない。
心の中では思うことがあっても、徳島さんが人物を特定して処分にまで至ってくれた、私はそれを信じたいと思う。
善良な大多数の徳島サポーターさんたちを傷つけたくない。
ベルマーレはこれまで「エレベータークラブ」と呼ばれることも多かった。
降格の悔しさや、それがどれだけ心が痛むかということもよく知ってるクラブ。
その辛さを知ってるのに、相手の立場や状況に寄り添えないのは人として悲しいことだ。
遠くてなかなか応援に行けないし、優勝…までは望まなくてもしょっちゅう残留争いでヒヤヒヤする。
大切に育てた選手が、当たり前のように次のシーズンからベルマーレより規模が大きいチームの、黄緑とは違うユニフォームを着る。種を蒔いて、光を当てて、毎日水をやって、きれいな花を咲かせたのはベルマーレでも(もちろん一番は本人の努力なんだけど)、「おお!この花きれいだね!うちにもらっていくねー!」と、ある時突然引っこ抜かれるような気持ちになる(選手からしたら、ビッグクラブからオファーがあれば行きたいと思う気持ちは理解してるつもりです)。
それでも、私はベルマーレが大好きだし、ベルマーレから学んだことがたくさんあるし、ベルマーレと出会えたからもう一つのふるさともできた(1つどころか9市11町!笑)
ベルサポでいて本当に良かったと思う。
スコアレスドローで残留が決まった後、ガンバサポーターさんも拍手で祝福してくれた話を聞いて、とても心が温かくなった。
ガンバさん、本当にありがとう!!
これからも心を込めてベルマーレを全力で応援していこうと思う。
2022年もJ1。
選手をはじめ、クラブの全ての皆さんに感謝の気持ちを届けたい。
オリベイラ!!残留したよ!!
天国から見守ってくれててありがとう。
来シーズンもよろしくね。