見出し画像

(野球)決死の闘い

デブとサイコパスの再来です。皆さん覚えているでしょうか。僕の友人の、人生いつまでだっても下り坂「サイコパス」と人生いつまでたっても上り坂(幻覚)の「デブ」です。

この夜も、彼ら二人と、血肉はじけ飛ぶ激しい戦を繰り広げました。その模様をお伝えします。

最初はただただラーメンを食べに行く予定だった仲の良い僕たちでしたが、道中、たまたまバッティングセンターを見つけてしまい、そうなった以上、相手をバッドで叩き潰したくなるのが、我らの性というものです。

先陣を切るのはこの男、サイコパス。今日も、ネットで買ったらしい怪しいパーカーを嬉しそうに着ている狂気の人間です。
我々三人は、実のところ野球は極めて初心者です。素振りをしろと言われると、間違いなくデブはバットを縦に振ります。あいつにとっての野球は、人を殴るものなのかもしれません。
そんな僕たちの中で、強いて最も野球に造詣が深い人物をあげるなら、サイコパスです。こいつは毎年最下位の誇るべき弱小チーム、「ドラゴンズ」の試合に何度か足を運んでいますし、野球好きな友人も何人かいます。
この勝負、サイコパスに若干有利か……僕とデブは危機感を持って彼を見つめました。
実際、サイコパス自身も、見る者をもれなく怒りで狂わせるような挑発的な表情でバッターボックスに入っていきました。

するとどうでしょう。彼のバッドはボールとかすりもしないではありませんか。惜しい、と思える瞬間すらありません。それもそのはず、彼のスイングは、素人が見ても百歳の老人が畑でヨロヨロとクワを動かしているようにしか見えない、人類史上最も情けないのスイングだったのです。彼はプロ野球を見て何を学んだのでしょう。腰は落ち、目は明後日の方向を向き、腕は垂れ下がり、バッドはヘビのようにクネクネしています。笑止千万、話になりません。こんな体たらくじゃあ、二度とプロ野球を見る権利は与えられないでしょうね。
25球中、0本のヒットです。

ならばデブはどうなのだ。認めたくありませんが、デブは3人の中で最も物理的な力を持っています。常に僕とサイコパスの倍以上の米を食べ、倍以上の時間寝て、僕たちが必死に仕事や勉強をして体力を削っている間も、こいつは部屋でダラダラと漫画を読んで、体力の消費を最小限に抑えています。こんなやつが、打たないわけがないのです。例え、野球という競技を一切知らなくとも。
力技で強引にボールを飛ばす様子は、まさに猪突猛進の猪を彷彿とさせます。
もちろん、こいつは猪以下の脳ミソですから、ペース配分という言葉を理解していません。25球中、半分くらいいったところで腕が痛いと言い始め、最終的には、見るも無残な肉片と化したのでした……


では誰が勝ったのか。もちろん僕です。僕はかのいのやんに野球の申し子と言われた男です。こんな雑魚二人のバッティングに敗北するわけがありません。圧勝です。僕がこの二人に何かで負けるということは、永久にありません。人には必ず死が訪れるのと同様の、不変の真理です。

ちなみに、このあとサイコパスは、やめておけばいいのに、追加で300円を払い、バッティングのリベンジに挑みました。皆さんもわかるように、恥の上塗りで終わりました。50球中、50球の空振りです。打率0。カス。
プロ野球を見ているとは思えない数値ですが、なるほど確かに、どこかに守備はいいけれど、攻撃陣が全く打てない青色のチームがあったような気がしますね。あのチームを見ていたなら、この結果も納得です。

なんなら、サイコパスがドラフト1位指名でドラゴンズに入ることもありえるでしょう。(ファンの皆様大変申し訳ございません)

続く



いいなと思ったら応援しよう!