Leica M11に120万円の価値はあるのか? スタジオ編1
果たしてLeica M11に120万円の価値はあるのか?
M11が気になった人・買った人の頭から離れないことかと思います
今回はスタジオ・ポートレートで検証してみました
結論「最高のボデーとしてM11は価値あり」
具体的には
階調のライカM11ボデー
マイクロコントラストのBatis
色再現はお好み
ただしM11の場合、現代レンズと手ブレしないオペレーションが必要
Leicaの良さはボデーの階調表現のなだらかさ
というのも
1(a7s+Elmarit-M) は白っぽいものが真白、黒っぽいものが真黒に傾きがち。一方、2 (M11+Elmarit-M) は真白から真黒まで、偏りなく階調変化がなだらか
3 (a7s+Batis)でも、階調表現の傾向は同様に真白と真黒に傾きがち
4 (M11+Summarit) では、白と黒の差は3に同じですが、どちらかに傾くことなくなだらか
これはa7sのような低画素機ではドット間の差異を捉えられない、というミクロの話ではなく、センサーとプロセッサというマクロの問題
マイクロコントラストはCarl ZeissのBatis
3のBatisと4のSummaritを比べると、3の方が肌の毛羽立ちなど情報量は多い
4はピンが若干甘いことを差し引いても、Batisほどのマイクロコントラストはない
マイクロコントラストとは、画素間の微妙な陰影の差です。これがあると画面から被写体が飛び出てくるような立体感が得られます。
色再現はa7Sの方が忠実だけど、お好きなのはどちら?
1(M11+Elmarit-M135)と2(a7S+Elmarit-M)では、2の方が目視に近い
3 (a7S+Batis)はさらに目視に近い
4 (M11+Summarit)はYellowとMagendaが強いが、健康な印象
4が健康そうに見える原因はM11の階調の良さの影響の可能性もありますが、それにしてもだいぶa7Sと違って見えます。想像ですが、この健康そうなタンカラー(日に焼いた小麦色)が、白色系の肌を持つ人が多い欧米で好まれる肌表現なのかもしれません
結論をもう一度
ボデーの画質だけを考えると、M11には階調で優位性があるように見えます
一方でレンズだけ見ると、よりマイクロコントラストが高くて、立体感があるのはSummaritよりもCarlZeissのBatis。
今後試す点
以下の課題は検証して、お知らせして行ければ。
M11+Apoレンズならば、色表現が実は適正になるか
新機種Sony+Batisならば、階調表現がなだらかになるか
そもそもMF+1/125以上という縛りがあるM11でスタジオ撮影できるか
色味が小麦色になるのはボデーでなくレンズの可能性もあります。となると、Apoタイプのレンズで検証が必要ですね。具体的には以下当たりでしょうか。
LeicaのApoは死ぬほど高いので、気軽に試せるApo-Lanthar 50mmあたりを借りてみようと思います
階調表現がセンサーとプロセッサの問題とすると、SONYでもa7S発売の2014年から大きく進化した可能性は否めません。M11とほぼ同じセンサーを積んでいるa1かa7R4あたりを検証すると、階調表現がメーカーの味付け問題なのかわかる気がします
画質以外にも、スタジオ撮影ではオペレーションの容易さも重要。しかし試した感じだとM11は以下のような制約がありました
ガチ三脚でも1/60以下は接眼しない限り手ブレする
ISOは800以下にしたいし、被写体の前後移動を考えるとf値も8以下に絞りたい
でも500Wのアイランプですら、f5.6, SS1/60, ISO800が適正露出なので余裕がない
加えて、次の問題もあります
単焦点レンズだと会場サイズ次第では引ききれない(被写体の端が切れる)
最新のMFズームレンズは存在しない
Vario-Elmar-RやVario-Sonnarなどは、少しオールドレンズ風味になるので、用途が異なる
とはいえ、本体価格 1/10以下で、8年前発売のa7Sがここまで素晴らしいというのは、恐ろしい。エクストリームに画質を追求するのでなければ、a7Sで十分な気はします苦笑