手塚治虫の漫画について語るだけの夜。by MW
手塚治虫の漫画と言えば何が思い浮かぶたろう?
「鉄腕アトム」、「ブラック・ジャック」、「火の鳥」などの数々の有名な作品がある。
その中でも僕がオススメしたいのは「MW(ムウ)」である。
この作品との出会いは僕が中学一年生の頃。
flumpoolが好きだった僕は、「MW」の実写映画の主題歌をflumpoolが担当していたことを知り、主題歌自体をとても気に入っていたことから原作にも興味を持つようになった。
家から近い本屋とリサイクルショップに探しに行ったが見つからず、最終的にはあるあるCityのまんだらけで購入した。
人生で初めて漫画の単行本を買った喜びと、作品の内容をイメージしながらホクホク顔で帰ったのは良い思い出。
しかし、読み始めて数ページでホクホク顔は無くなってしまった。
主人公の結城美知夫と賀来巌は、少年時代にとある島で起きた毒ガス流出事件で唯一生き残った者だった。
死には至らなかったものの、結城美知夫は幼い身体に受けた毒ガスの影響により、心身ともに蝕まれモラルと良心を無くし、後に凶悪な知能犯となる。
一方、毒ガスの影響を身体的には受けることのなかった賀来巌は、毒ガス流出事件の時に見た犠牲者の断末魔に苦しみ、神に救いを求めるために自ら神父になることを決意する。
犯罪を繰り返す結城美知夫に、賀来は法的ではなく魂から救いたいと思い、色々と行動するが結城に先読みされてしまい、結果的に彼の犯罪を手助けしてしまうことになる。
そして2人は、友人とは一線を超えた関係なのである。
少年時代に、島で二人きりだった時に、まるで女の子のような可愛さの結城に賀来は気持ちが抑えられなくなり襲ってしまう。
それ以降結城は同性愛に目覚め、賀来を誘惑し肉体を求めるようになる。
とにかく情報量が多すぎて、当時の僕の脳では処理しきれなかった。
それでも不思議と読み進めていき、最後のページを読み終えたところで「面白かった。」と呟いていた。
ここでこの漫画の一番の魅力である主人公の結城美知夫のついて語りたいと思う。
結城美知夫は前述のでも書いたとおり、凶悪な知能犯であり、沢山の殺人を犯したり、自ら殺した人になりすまし(主に女性)、男だろうが女だろうが関係なく肉体的関係を持ち、時には強引に襲ったりするとんでもない男である。
ここまで肩入れできない主人公っているのか?って思うほど、救いようがない。
そんな彼でも唯一心に残ったシーンがある。
拉致していたアメリカ人からの言動が逆鱗にふれ、思わず激昂したシーンだ。
普段、見た目や中身をコロコロ変えて、どれが本当の結城美知夫なのかと疑ってしまうほど人間らしさを感じられない彼だが、この瞬間の言動と表情は紛れもなく人間らしかった。
毒ガス事件により、ショッキングな光景を目の当たりして、寿命は縮み、人生に絶望して復讐の道を選んだ結城であったが、やはり人間としての普通の幸せを欲していてたのだ。
このシーンがあまりにも心に刺さり、結城の結末がどうなっていくのか目が離せなくなった。
そして結末はかなり衝撃的なものだった。
割とぶっ飛んでるストーリーが多い手塚治虫の作品の中でも突き抜けてぶっ飛んでる「MW」。
この機会にぜひ読んでみてください。
賀来についてはまたそのうち書こうかな。
MW 1 https://www.amazon.co.jp/dp/B00JPXESQK/ref=cm_sw_r_cp_api_i_mdQVEb8QB6A4J