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カジノでは共通言語が必須——スタッフが使う言語のルール
今回は、カジノ内で使用される言語についてお話しします。
これはあくまで私が働いてきたカジノにおける話であり、国やカジノによってルールが異なる可能性があることを前提に読んでいただければと思います。
カジノでの共通言語の重要性
私が経験したカジノの多くは英語圏にあり、基本的にカジノ内の共通言語は英語でした。特に移民や外国人スタッフが多く働く国では、スタッフ間の意思疎通をスムーズにするためにも、英語が使われています。そして、カジノにおいて共通言語を使用することは非常に重要なルールとなっています。
その理由は、カジノスタッフも常に監視されているからです。
カジノは大金が動く場所であり、不正防止のためにスタッフの行動の透明性が求められます。カジノ内には至るところに監視カメラが設置され、すべての行動が記録されている(リアルタイムで常に監視されているわけではありませんが、後で映像を確認できる状態になっています)。怪しい動きがあれば、すぐに現場の上司に報告が入ります。
また、スーパーバイザーやマネージャーも、スタッフの行動を正しく理解する必要があります。その一環として、スタッフ同士やプレイヤーとの会話内容も把握することが求められるのです。
周囲が理解できない言語の使用はNG
例えば、私がカジノのテーブルで、周囲に理解されない言語でプレイヤーと会話していたとしたらどうでしょう?
• プレイヤーと共謀して不正を行っているかもしれない
• カジノの内部情報を漏らしているかもしれない
こうしたリスクを防ぐために、スタッフは周囲の人が理解できる言語を使わなければならないのです。
もちろん、カジノによってはそこまで厳しく管理していない場合もありますが、本来はそうあるべきルールと考えられています。
プレイヤーが英語を話せない場合の対応
では、英語が話せない日本人プレイヤーから、日本語でルール説明を求められた場合はどうするのか?
この場合、私はまず現場の上司に英語で状況を説明し、「これからこのプレイヤーに日本語で説明をします」と報告します。上司が「Okay」と許可を出せば、日本語での対応が認められます。
一見すると面倒な手続きのように思えますが、これは自分の潔白を守るための重要なルールでもあります。
ルールを守ることが自分の身を守ることにつながる
仮に、上司の許可を得ずに日本語でプレイヤーと話したとします。
厳しい上司であればその場で注意されるかもしれませんが、特に何も言われずに済むこともあるでしょう。しかし、もしその後、そのプレイヤーが大勝ちしたらどうなるでしょう?
「さっき、日本語で何か話していたな。何を話していたんだ?」と、不正の疑いをかけられる可能性が出てきます。さらに、もしその金額が大きければ、カジノ側はよりセンシティブになります。そうなれば、私は非常に居心地の悪い状況に追い込まれることになります。
しかも、後から潔白を証明するのはほぼ不可能です。どんなに説明しても、信じるかどうかは相手次第。だからこそ、あらかじめ上司の許可を得ることで、疑われるリスクを未然に防ぐことができるのです。
カジノで働く上で最も重要なこと
証拠の有無に関わらず、自分の身は自分で守る。
これはカジノで働く上で非常に重要な考え方です。
カジノのルールは単なる規則ではなく、すべてのスタッフが気持ちよく働ける環境を守るために存在するもの。これを理解し、しっかり守ることが、結果的に自分を守ることにつながるのです。
もちろん、会社のルールを守ることの重要性は、カジノに限った話ではありません。ただ、カジノの場合はお金が直接関わる仕事であるため、ルールの重要度が他の職種よりもはるかに高いということを、今回はお伝えしてみました。