2023年1〜2月のa16zの投資
こんにちは。Skylandの松本です。最近私用でしっかりとweb3関連を追えていなかった部分があり、来週のあれこれへ向けてここ数ヶ月の動きを追うため速攻でリサーチしています。こういうときには簡単なアウトプットを社内共有することになるのですが、どうせググったら出てくる情報なのでまとめたものをnoteで公開しちゃおうかなと思います。
今回はa16zの投資についてです。VCの説明は割愛。
a16z
Towns
概要 : 分散型グループチャットプロトコル
投資発表日 : 2/23
調達額 : $25M (Series A)
フォロー投資家 : Benchmark, Framework Ventures
Web3SNSの一つ。プロダクトは一般に公開されていないので深ぼらなかったが、Discordのようなものだと想像できる。Space Contractというブロックチェーン上のコントラクトがコミュニティの管理機能を持つ。Townsには以下4つの特徴がある。
- Onchain Ownership
- smart contractを利用することによるコンポーザビリティ
- End-to-end encryption (第三者の検閲が存在しない)
- full decentralization and open-source (将来的に)
Townsは下から順に、①Towns Protocol, ②appTowns, ③ daoTownsというレイヤーによって構成される。
① Towns Protocol : Ethereum上のスマートコントラクトと、matrix protocolを利用した分散型の通信ネットワークの2つに分かれる。Towns protocolで定義されるコントラクト (Space Contract) は、コミュニティのアイデンティティやルールそのものである。チャンネルを作ったり、一定の権限を与えたり、ロールの作成・付与を行ったりというコミュティのロジックを定義している。通信ネットワークは、PoSの仕組みを利用した、P2Pの通信ネットワークであり、高い秘匿性と検閲耐性を持つ。
② appTowns : アプリケーションレイヤー。①で定義したSpace Contractをオープンソースかつ、E2EE (End-to-end-encrypted) のチャットツール体験として提供する。Townsが公開するアプリは最初のappTownsであるにすぎず、オンチェーンにあるロジックを参考にしてクライアントの構築が行われるため、必要に応じて自分たちのクライアントを開発することが推奨されている。
③dao Towns
TownsはTowns DAOというDAOによって管理され、ロードマップやトレジャリーの管理など、重要な決定はDAOの投票を介して行われる。
第三者に依存しないチャットツール。SNSにおけるプライバシー保護の問題を解決する可能性のある、p2pのネットワークやブロックチェーンの活用に期待が持てる。コミュニティの権利を売り買いすることなどもできることは、DAOに貢献する新たなインセンティブになる可能性も秘めており、Townsにより作られるDAOにも注目が必須。
現在は事前登録した人のみが参加できるα版が公開される。
AZRA
概要 : Web3ゲームディベロッパー
投資発表日 : 2/21 (追加投資, 昨年5月にシード投資済み)
調達額 : $10M (Pre SeriesA, シードでは$15M)
フォロー投資家 : NFX, Coinbase Ventures, Play Ventures, and Franklin Templeton.
過去にSTAR WARSのモバイルゲームを手掛けたことなどで有名なゲームスタジオがWeb3ゲームの開発にコミットしている。現在はLEGIONS & LEGENDSというアクションRPGがメインで開発中のタイトルで、α版のリリースが直近の目標となる。2月には"The Story of Arcanas"という、世界観の設定を公開した。YoutubeやHPでは既に一部のゲームプレイを見ることができる。彼らは何よりも少年時代に戻ったかのような没入感のあるゲーム体験にこだわりを持っており、その前提から逆算して様々なブロックチェーンを利用したアセットや体験をデザインしている。その中の一つである、彼らのLAND NFTの概念はその思想や特徴が記事として紹介されている。
Alongside
概要 : Index Tokenの開発・運営
投資発表日 : 2/16
調達額 : $11M
フォロー投資家 : Coinbase Ventures, Franklin Templeton Investments, Village Global, Not Boring Capital
$AMKTという、クリプトの時価総額上位25通貨 (ステーブルコイン, セキュリティに問題のあるコインを除く) によって完全に担保されたIndex Tokenの発行を行っている。
PLAI LABS
web3 × AI ソーシャルプラットフォーム
投資日 1/19
調達額 : $32M
フォロー投資家 : 不明 (単独?)
2000年代に人気になった音楽配信プラットフォーム兼SNSであるMySpace、ハリー・ポッターのモバイルアプリ等を手掛けるJAM CITYの創業者であるChris DeWolfe と Aber Whitcombが創業した。これまでの成功で得たソーシャルメディア・ゲームメカニクス・先端技術に関する経験・治験を活かして、数億人に利用されるプロダクトを開発する、というビジョンを掲げる。
現在は、"CHAMPIONS ASCENSION"というゲームタイトルの開発が進行中。PRIME ETERNALSというNFTも販売されている (深く掘るつもりはないが多分Genesis Passみたいなものだろう) 。ゲーム自体はPrivateのEVM互換のブロックチェーンで行われるらしく、ガス代がゼロかつ、EthereumとのBridgeも簡単にできるようだ。
まとめ
今回はa16z Cryptoと、a16zの中でも仮想通貨関連の投資についてまとめました。
投資件数 : 4件
平均投資額 : 19.5億
投資領域 : ソーシャル・ゲーム・インデックストークン・ソーシャル
a16z Cyptoの投資は全てゲーム、ソーシャルのどちらかに関連するプロジェクトでした。E2EEの分散型Chat ProtocolであるTownsは結構面白そうですね。ステートとロジックがオンチェーンに乗っていて、クライアントサイドがユーザーに委ねられるプロダクトについては前回のノートでも紹介しましたが、非常に面白いことができそうで個人的に好きです。ゲーム系はいわゆるクリプトネイティブなゲームではなく、web2で結果を残したチームがweb3に挑戦する、という文脈でしたね。AZRA GamesのLandに関する考え方を記した記事は、歴史や自分たちの成功体験が根拠となっており、非常に説得力のある文章だ、と感じました。是非読んでみてください。
それでは今回はここまでです。お読みいただきありがとうございました。
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