Lumoz (Opside) ~zkRAASの意義とその未来を学ぶ~
皆さんこんにちは、Skyland Venturesの松本です。
本日はプレスリリースにて公開された新しいSkyland Venturesの投資先である、Lumoz (旧Opside) の解説記事を執筆しましたので公開します。
プレスリリース
Lumozは、zkRAAS (Rollup-As-A-Service) と呼ばれるミドルウェア・インフラストラクチャで、イーサリアムやポリゴン、BNBチェーンなどの「ベースチェーン」の上に「誰もが簡単に」Layer2のブロックチェーンを構築できるようになります。構築したブロックチェーンは、いわゆる"zk-Rollup"に対応しており、ゼロ知識証明を利用した、ベースチェーン上でのトランザクションの検証が可能になってます。
zkRAASは、モジュラーブロックチェーンと呼ばれる現在トレンドの概念において重要な意味を持ちます。モジュラーブロックチェーンは、これまで一つのブロックチェーンが機能としてもっていた「Execution」「Settlement」「Consensus」「Data Availability」という4つの役割を、それぞれ別のブロックチェーンが担当する、という概念です。
一言で説明すれば、一つのブロックチェーン上で全てのことをやるより (モノリシックブロックチェーン) 、適切な仲介者 (ミドルウェア) を挟んでそれぞれの役割に特化した方がいいよね、という感じです。
Lumozを使うと、「Execution」と「Settlement」を担当するレイヤー2ブロックチェーンを開発者が構築する際に、「Consensus」、「Data Availability」を担当する他のブロックチェーン (前者はEthereum, 後者はCelestia) などと接続する部分を全て任せることができます。
OptimismベースのRAASとしては、OP-stackなどが良く活用されていますが、zkベースのRAASに関してはまだ勝者が決まっているという状況ではなく、これからの動向に注目が必要です。
Lumozとは何か
Lumozは分散型のzkRAASプラットフォームです。もう少し詳しく説明すると、「zkRollupを利用したLayer2ブロックチェーンを誰でも作れるツール (SDK + フロント) と、そのzkRollupの安全性を担保するための分散型ネットワーク」になります。実際に彼らのデモを触ってみましたが、わずか数分、ノーコードでzkEVMのLayer2ブロックチェーンを立ち上げることができました。
Lumozの大きな特徴は、そのコンセンサスアルゴリズムがPoWとPoSを両立しているところです。RollupのZKP生成のためにコンピューティングパワーが必要であるが故に、PoSだけではなくPoWを一部利用しています。
Lumozを実際に使ってみる
Lumozは、オリジナルのブロックチェーン (Lumoz) とEthereum、Polygon、BNB Chainのテストネット上で既にデモを公開しています。デモを触りながら全体の流れを追ってみましょう。
以下のURLから実際にテストネット上でLumozを使ったL2ブロックチェーンをデプロイすることができます。
https://lumoz.org/rollup/create
ページを開いてみると、以下の画面に遷移します。Lumozでは5つの要素を選択することでインスタントにブロックチェーンを作ることができます。
1. ベースレイヤーの選択
セキュリティを依存するベースレイヤー (Security Layer) を選択します。Lumozはzk-EVMに対応したzk-Rollupなので、選択できるブロックチェーンは全てEVM互換のものになります。全てテストネットで、Lumozだけではなく、Goeri (Ethreum testnet) / Munbai (Polygon Testnet) / BNB Testnetもベースレイヤーとして利用可能です。今回はLumozを選択しました。
2. zkEVMのタイプ選択
現在、Lumozは4つのタイプのzkEVMを開発できます。Polygon Hermez、zkSync、Scroll、StarkNetの4つです。今後ユースケースが増加するにつれ、ここも増えていく予定です。
3. Gasトークンの選択
Lumozで開発したzkEVMは、Gas代に使用するトークンを自由に選ぶ事ができます。下の画像のように "Customize"を選択して、Tokenのアドレスを入力するだけで、利用可能です。
4. DAレイヤーの選択
Lumozでは、DAレイヤーも自由に選択することができます。今回はLumozを選択しているので、Lumoz DAしか表示されていませんが、Goeriを選択した場合は以下のように様々なDAレイヤーから一つを選んで選択することが可能です。
5. シーケンサの選択
シーケンサは、RollupにおいてL2から送信されるトランザクションの順序を決定しブロック構築の役割を果たします。シーケンサは現在Lumoz自身のネットワークとEspressoのみが利用可能ですが、今後随時追加されていく予定です。
zkRAASの意義
zkRAASは、Layer2ブロックチェーンの開発・運用コストを大きく削減するソリューションとして注目されています。OptimisticのRAASには現在スタンダードとなっている選択肢としてOP-stackがありますが、ZKの分野はまだ未開拓です。
RAASはそもそも、Layer2ブロックチェーンを開発・運用するコストを削減するために開発されています。RAASを使ってブロックチェーンを作る場合、最短数分で開発を完了することができます。また、本来運営が負担するzkpの生成にかかるコンピューティングパワーやシーケンサ、DAレイヤーのサーバーコスト等のハードウェアコストを大きく削減することができるようになります。
ビジネスモデルとしては、RAASを利用して開発したブロックチェーン上でユーザーが支払った手数料の一部を取得するというものになるので、基本的に大きな収益を生み出すためは「開発されたブロックチェーンが人気になる」必要があります。
Layer2ブロックチェーンの需要は直感的には分かりづらいですが、App-specific Chain等の概念が、dydxの台頭 (dydxはOP-StackとCosmosSDKを使用) や、モジュラーブロックチェーンのトレンドによって今後加速する可能性が大いにあり、Lumozを利用する開発者もそうした場合増えていくでしょう。
各種URL
Website: https://opsi.de/
Twitter: https://twitter.com/opsideZK
Mirror: https://mirror.xyz/opsidezk.eth
Discord: https://discord.gg/opside
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