学ぼう、花のスペシャリストに。水揚げ&花のケア vol.11 |クリスマスローズ
花を長持ちさせるには、花それぞれの特性を知った水揚げや花のケアが必要です。
でも、どうやっていいかわからない。
プロになりたい人、いまさら聞けない人、もっともっと花を楽しみたい人まで、基本から学んじゃいましょう。
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花を長持ちさせるためのテクニックや知識を、実際のお花屋さんの業務の中で研究し、検証してきたフルーロン花佳の薄木健友さんに学びます。
これまでの連載一覧はこちら >> 学ぼう、花のスペシャリストに。水揚げ&花のケア
vol.11 「クリスマスローズ」おすすめの水揚げ法
具体的な品目別のおすすめの水揚げ方法をご紹介しています。今回はクリスマスローズです。
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クリスマスローズ
Helleborus
出回り時期 9月~6月 エチレン感受性 大
バクテリアの影響 大
品質保持剤糖分 有・花店用
双子葉類
特徴
鉢植えでの流通が多いが、切り花も少しずつ増えている。
品種により切り花には不向きのものもあるが、以前よりは水上がりも花保ちも良くなっている。
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おすすめの水揚げ
特に冬の時期は水上がりが悪い。
植物自体が水を吸い上げる力が弱いことと、水道水の温度が低いために吸い上げにくくなる。
もともと、水上がりの良い花とはいえないので、水は40℃程度のぬるま湯を使う。
よく切れるナイフで一度斜めにカットしてから、十文字に縦に裂く(写真)。
焼いたり熱湯を使うと、一時的には水が上がるが、そのあと茎が収縮し水が下がりやすくなるためお勧めしない。
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管理の注意点
切り花として管理する場合は、低い温度が理想。
10℃くらいの冷蔵庫で管理すると非常に長く持つ。
教えてくれたお花屋さん
薄木健友 Taketomo Usuki
札幌の生花店株式会社花佳代表取締役。NPO 法人日本切花装飾普及協会認定カットフラワーアドバイザー。 第1回花のMVP大賞受賞。1988 年札幌市内の生花店に勤務したのち、1993年にフルーロン花佳を開いて独立。JFTD学園講師、切り花の水揚げと鮮度管理に関する講演や雑誌連載など、活動は多岐に渡る。
フルーロン花佳
北海道札幌市西区西野6条3丁目 1 - 1
http://www.hanaka.tv
E-mail:hana@hanaka.tv
もっと詳しく知りたい!「花の扱いのプロになりたい」という人は薄木さんの著書『水揚げ&花のケア 切り花の鮮度保持マニュアル』をご覧ください。
薄木さんの言葉:
家電販売業界から花屋に転向した私は、バラとカーネーションの違 いすらわからない、まったくの素人でした。
先輩たちから花の名前を 教わり、アレンジや花束、葬儀スタンド、祭壇、ブライダルブーケな どひととおりの技術を教わったのですが、ひとつどうしても納得のい かない技術がありました。
それが水揚げです。
キクは湯揚げして!ススキは酢に浸けて!アジサイはミョウバンをすり込んで!どの作業にも驚きましたが、それ以上に「なぜ?」という疑問を持ちました。
先輩たちに質問しても、「水が上がるから」と言われるだけ。
納得できる解答は得られませんでした。
独立後、ほかの花屋さんと交流するようになり、お店によって水揚げ方法が違うことを知り、私の疑問はさらにふくらみました。
いったいどの方法が正解なのか?
そこから 私の水揚げと管理についての模索が始まったのです。
その模索から得たことを、2008年から2年間、雑誌『フローリスト』にて連載させていただきました。
本書はその内容をさらにわかりやすくまとめたものです。
花によって、適する温度や湿度、そして水も違います。
エチレンガスの影響を受けやすい花、バクテリアの影響を受けやすい花など、性質はさまざまです。
それらの管理方法についても具体的に説明しています。
水揚げにはいくつもの方法があり、しっかりと水が上がればその方法は正しかったと言えます。
本書でご紹介するやり方が必ずしもすべ てとは言えません。
あくまでも数ある方法のひとつとして参考にして いただければ幸いです。
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