学ぼう、花のスペシャリストに。水揚げ&花のケア vol.5|アジサイ
花を長持ちさせるには、花それぞれの特性を知った水揚げや花のケアが必要です。
でも、どうやっていいかわからない。
プロになりたい人、いまさら聞けない人、もっともっと花を楽しみたい人まで、
基本から学んじゃいましょう。
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花を長持ちさせるためのテクニックや知識を、実際のお花屋さんの業務の中で研究し、検証してきた
フルーロン花佳の薄木健友さんに学びます。
第一回目は水切りの基本を、
第二回目は湯揚げの方法をお伝えしました。
第三回目は茎を割る、裂く方法を、
第四回目はミョウバン・水揚げ材・ハッカ油などを使う方法をお伝えしました。
vol.5 「アジサイ」おすすめの水揚げ法
今回からは、具体的な品目別のおすすめの水揚げ方法をご紹介します。まず最初はアジサイからです。
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アジサイ
Hydrangea macrophylla
出回り時期 周年
エチレン感受性 中
バクテリアの影響 大
品質保持剤糖分 多・消費者用
双子葉類
特徴
学名のハイドランジアは「水の容器」という意味。
その名のごとく、雨の降った翌日は非常に元気よく凛とするイメージがある。
現在、花店に並んでいるハイドランジアは、日本原産のガクアジサイを品種改良したもの。
ピラミッドアジサイ(ミナヅキ)もハイドランジアと呼ぶ場合がある。
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おすすめの水揚げ
花の湿式輸送(水につけて運ぶ配送方法)の普及により、特別な水揚げをしなくても良くなりました。
しかし、この花は、バクテリアの影響を受けやすいので、水が汚れると水落ちしやすくなります。
昔からミョウバンが良いとされてきたのは、ミョウバンの抗菌力によりバクテリアの影響を受けにくくするからです。
水揚げ時は極力葉を取り除き、切り口は写真のようにV字にカットして、中の綿を取り除きましょう。
水落ちが激しい場合はさらに表面の皮を剥ぐと良いです。
管理の注意点
輸入品は輸送時間が長く、温度変化などのストレスを感じているので水落ちしやすいです。
その場合は、切り口の断面をさらに広くし、深水で管理しましょう。
フレッシュタイプのアジサイは、水揚げ時から糖分が多めの品質保持剤を使用すると、花保ちも発色も良くなります。
秋色アジサイはすでに花が終わっているので、糖分の多い品質保持剤は不要です。
具体的な品目別のおすすめの水揚げ方法、
次回は >>「スイートピー」おすすめの水揚げ法
教えてくれたお花屋さん
薄木健友 Taketomo Usuki
札幌の生花店株式会社花佳代表取締役。NPO 法人日本切花装飾普及協会認定カットフラワーアドバイザー。 第1回花のMVP大賞受賞。1988 年札幌市内の生花店に勤務したのち、1993年にフルーロン花佳を開いて独立。JFTD学園講師、切り花の水揚げと鮮度管理に関する講演や雑誌連載など、活動は多岐に渡る。
フルーロン花佳
北海道札幌市西区西野6条3丁目 1 - 1
http://www.hanaka.tv
E-mail:hana@hanaka.tv
もっと詳しく知りたい!「花の扱いのプロになりたい」という人は薄木さんの著書『水揚げ&花のケア 切り花の鮮度保持マニュアル』をご覧ください。
薄木さんの言葉:
家電販売業界から花屋に転向した私は、バラとカーネーションの違 いすらわからない、まったくの素人でした。
先輩たちから花の名前を 教わり、アレンジや花束、葬儀スタンド、祭壇、ブライダルブーケな どひととおりの技術を教わったのですが、ひとつどうしても納得のい かない技術がありました。
それが水揚げです。
キクは湯揚げして!ススキは酢に浸けて!アジサイはミョウバンをすり込んで!どの作業にも驚きましたが、それ以上に「なぜ?」という疑問を持ちました。
先輩たちに質問しても、「水が上がるから」と言われるだけ。
納得できる解答は得られませんでした。
独立後、ほかの花屋さんと交流するようになり、お店によって水揚げ方法が違うことを知り、私の疑問はさらにふくらみました。
いったいどの方法が正解なのか?
そこから 私の水揚げと管理についての模索が始まったのです。
その模索から得たことを、2008年から2年間、雑誌『フローリスト』にて連載させていただきました。
本書はその内容をさらにわかりやすくまとめたものです。
花によって、適する温度や湿度、そして水も違います。
エチレンガスの影響を受けやすい花、バクテリアの影響を受けやすい花など、性質はさまざまです。
それらの管理方法についても具体的に説明しています。
水揚げにはいくつもの方法があり、しっかりと水が上がればその方法は正しかったと言えます。
本書でご紹介するやり方が必ずしもすべ てとは言えません。
あくまでも数ある方法のひとつとして参考にして いただければ幸いです。
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