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“Capeta”に見るタレンティズムの源流

私は神戸の高架下にあった小さな本屋の息子として生まれました。物心がついた頃から父親が毎日持って帰ってきてくれる本を読み、読書が大好きな子供でした。50歳代も半ばになった今でも毎日の読書習慣は続いていて、組織論や経済学の本を読んでは新しい知識や知見を得たり、ドラマティックな小説を手にしては非日常の世界に没頭して忙しい日常ですり減らす心をリセットする効果を得たりしています。
書店経営者だった父親に、「人間誰しも人生はぶっつけ本番の1度きりだが、本を読むことで他の人が生きた人生を体験することができる。読書とは間接経験なんだ。」と教えられました。その言葉に後押しされるかのように、子供の頃から戦国武将や明治維新の英雄達の生き様に触れ、その世界に没入することで人生に対する価値観を形成してきたように思います。自分はなんのためにこの世に生を受けたのか?どんな生きた証を残すのか?と自分探しの旅を始めるきっかけは間違いなく織田信長と徳川家康、黒田如水の影響です。(笑)

オススメ本とオススメられ本

そんな私は、人に読書をよく勧めます。最近、特によくお勧めするのは「次郎物語」の著者として有名な下村湖人の著書「論語物語」です。この本を読むことで難解でとっつきにくい、すぐに寝てしまうと多くの人が敬遠する東洋哲学の巨塔「論語」に親しめることができるようになり、これまでの「金」中心の西洋型強欲資本主義から「人」中心の東洋的な共感型資本社会へと移行する根本的概念を学び取ることが出来る様になります。論語の入門書としてストーリー仕立てになった論語物語は非常に秀逸なのです。以前に書いた詳しい解説はこちら、

オススメられ本

また私は、本をお勧めするのと同時に、その相手のオススメ本を教えてもらうようにしておりまして、強く推された本やマンガは全て購入して読むようにしています。進撃の巨人やキングダムなどの超大作漫画もその流れで大人買い、睡眠時間を削って読破しています。論語物語と論語のセット読みをつい最近お勧めした内藤大悟さんにも非常に喜んでもらったのですが、その流れで、彼から一押の作品として「capeta」なる長編漫画をオススメいただきました。少年誌に連載されていたサーキット系のマンガとのことで、ちょっと子供っぽいストーリーかもなー、と、少し躊躇しましたが、その熱量に押されて購入することにしました。

capeta

山登りにご一緒してそんな本のオススメ合いをした数日後、事業所に段ボール箱の荷物が届きました。開梱してみると内藤さんからの手紙と一緒にそのカペタの漫画全32巻が入っていました。わざわざ取り寄せてお送りいただいたようで、その圧倒的な親切心と情熱の熱さに背中を強く押され、数日間寝る間を惜しんで早速読了した次第です。そのストーリーを乱暴にかいつまんで要約すると、学校ではぱっとしない少年が、カートの世界に触れて「好き」を起点にその世界にのめりこみ、類まれなる才能を発揮しながら、様々な困難を乗り越えてF3のマカオグランプリで優勝し、F1レーサーへの道を歩み出すまでの若者の成長物語です。

オレ、天才かも、

少年誌に10年間も連載し続けられたその超大作の漫画を読み終えて、なぜ良い大人になった内藤さんが未だにそんなに熱心にこの作品を推されるのかを考えました。ふと気付いたのは、自分自身が子供の頃、ひょっとして自分は凄い才能を持っているのではないか?とよく勘違いしていた経験があったことです。すごく早く走れるかも、とか、絵や粘土細工の才能があるかも、とか、めっちゃケンカが強いかも、とか、兎に角、何かにつけて錯覚、勘違いをしまくっており、年齢を重ねると共に挫折や蹉跌を経験し、オレなんか大した事ないとの現実に引き戻されましたが、子供の頃は間違いなく自分を天才かもと思っていたのです。これは多分、私だけではなく、大まか殆どの子供が一度は考えるのでは無いかと思うのです。

タレンティズムの源流

以前のnoteに内藤さんの事業プレゼンの内容をご紹介しましたが、彼は人が誰しも持つ個性、そこから生み出される価値(=才能)を見出し、適材適所を叶えることで社会に価値をもたらすのを事業として取り組まれています。彼の志の源流は漫画カペタの主人公のように「好きこそものの上手なれ」と昔から言われる通り、熱中し情熱を傾けることで誰もが大きな才能を発現する可能性なのだと改めて深く理解出来た気がしました。
金、モノ中心のこれまでの弱肉強食の世界から、人、心に価値をおくこれからの世界にシフトするにはトップダウン式、ヒエラルキー型の社会構造ではなく、全ての人が個性を生かし活躍できるボトムアップ式の社会構造、組織が求められます。それは人が持つ可能性と効果性を信じるところから始まるのであり、カペタのサクセスストーリーは、人は誰しも類い稀な才能を持っている。そう信じるタレンティズムの源流を感じさせられ、希望を見出せる物語でした。(少し長いですが、)ご一読をオススメします。(^^)
ちなみに内藤さんの志はこちらに書いてます。

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タレンティズムに立脚した研修事業やってます。



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