じゃわめげ経営者達! 〜共感ビジネスと最新学歴〜
3日間の青森出張から帰神しました。今回の出張の目的は大きく2つ、初めて青森で開催されるソーシャルカンパニーフォーラムin弘前に出席して青森から社会を変える!と言い放つ熱い経営者達の生の声を聴いてその熱を感じることと、縄文時代から日本の中央権力と異なった文化圏を脈々と、受け継がれてきた青森の文化にじっくりと触れたいとの思いです。両方のミッションコンプリートとなる、非常に学びの深い、深く考えさせられる事の多い、とても良い出張となりました。書き残しておきたいコンセプトが数多くありますが、今日はその中から非営利株式会社eumo 代表取締役新井和宏氏による基調講演での気づきについて書いておきます。青森でのSCFに行きたかった、でも行けなかったー、という方の参考になれば幸いです。
ソーシャルカンパニーフォーラム2023in青森
ちなみに、基調講演だけではなく、経営実践研究会の会員によるプレゼンテーション、遥々青森にお集まり頂いたアドバイザーの方々によるパネルディスカッションも非常に素晴らしく、この世界をより良いものにして持続させる数多くのヒントが散りばめられていたのは書くまでもありません。登壇された方だけでなく、企画運営をされた東北メンバーの皆様には心から感謝申し上げます。今回のイベントオーダーは以下の通り、本当に皆様、素晴らしい方々ばかりでした。
キレイゴトが罷り通る世界
基調講演を頂いた新井社長は、ベストセラー作家として随分と以前から存じ上げておりまして、私達、株式会社四方継で地域通貨の実証実験に取り組むにあたり、デジタル地域通貨eumoは随分と参考にさせて頂きました。また、共同代表者の武井さんのご紹介で実務の担当者同士を繋げて頂いてアドバイスまで頂いており、大変お世話になっている方です。アドバイザーを務めて頂いている経営実践研究会の会合だけではなく、受刑者再犯防止の取り組みをされているコミュニティーでのトークイベントや、限界集落を復活させる活動を熱心に行われている、共有の知り合いでもある細羽氏とのオンラインイベン等、様々な場所でご一緒させて頂いており、その切れ味の良いトークと、キレイゴトが罷り通るいい世界への変革を本気で目指している活動家として尊敬している方です。
その基調講演の中で、いくつかの重要な新しい時代に適応するための考え方や概念を披露頂きました。以下に端的なまとめを挙げておきますので、ヒントとなるキーワードだと思って頂き、詳しく知りたいなー、と思われる方はお気軽に高橋までご連絡ください。
共感は一朝一夕にてならず
まず初めに切り出されたのは「共感の重さ」についてです。新井社長が書籍にも書かれている通り、欧米型、金融資本主義経済が行き詰まりを見せる中、これからは共感資本社会へと移行すべきとの論調は随分と多くの人に認知されるようになって来たと感じます。ただ、共感の大安売りではないですが、自分軸で考え、これならユーザーに共感されるだろうと考えてビジネスモデルを組み立てるのは愚の骨頂なのは誰もが気付くことのはずなのに、軽い共感のやりとりが今の世の中に増えて来ているのではないか?との危惧と、「共感」の再考、再定義を行うべきとの提言を頂きました。
ずっしりと重い共感を得るには、昨日今日に思いつきで始めたアクションでは話にならないのは自明、強い想いと執着を持って、簡単に人に真似ができないくらいの行動の積み重ねこそが深い共感を呼び起こす。と、「ア コモンビート」なる100人の素人が集まって100日で作り上げるミュージカルを例として挙げれその圧倒的な影響力を示唆されました。11月に(なんと58期!)大阪公演があるようなので、そこに参加して体感してこようと思います。
共鳴ではなく、共感を求めろ
これからの世界をより良く変える為には絶対に重要だとされる、共感の重さの重要性を語られた後で、もう少し具体的に噛み砕いた説明がありました。
共感は万能ではなく、やもすれば強制的な共感も生まれます。これまでの人類の歴史でファシズムが台頭し、ありえないほどの悲劇が繰り返されました。実は、ファシズムも入り口は共感です。成熟した社会を目指すには、そこへの留意は絶対に必要で、共感の逆に排他主義が結びついてはなりません。そんな例として、AI研究の第一人者がシンギュラリティを抑止する研究を続けられており、ロボットに道徳を教える取り組みを挙げられました。
ロボットに教え込む道徳とは、①人を傷つけない、②嘘をつかない、③奪わない。のたった3つだけでそれ以上に条件付けを行うと、対立と分断の芽を出す事になってしまうとの研究結果を発表されているとのことでした。
人類は多様であり、価値観も世界観もそれぞれ。地球上の様々な地域には様々な正義と倫理、道徳が存在し、何よりもお互いを認め合うことが大切だとのことでした。「共鳴までいらない共感でいい」とのシンプルな言葉にまとめられましたが、確かにその通りだとつい正義を振りかざし、熱くなりがちな自分を諌めました。
最終ではなく最新学歴を更新せよ!
最後に伝えられた3つ目の概念は、(時代にあった)最新の学びを継続し続けることの重要性です。自己紹介やプロフィールを提示したりする際によく最終学歴を示しますが、こんなに世の中は大きく変わり、しかも凄いスピード感で動いている真っ最中に生きていて、それは全くもって意味を成さない。示すならば、最終学歴ではなく最新学歴であるはずで、それを聞いて
人はその人の実力を測るのだと語られました。奇しくも、最近、私が経営実践研究会及び、そこで生み出されたプロジェクトの説明会で話している内容とぴったり同じ意図があり、あちこちでご一緒する新井社長とはやっぱり同じ指向性を持っているのだと嬉しくなると共に、当日、250名を超える経営者が聴講しており、これが広がり、世間の常識になれば、世界は大きく変わるかも、との可能性を感じました。
そして、最新の学びとはやっぱり、「ソーシャルビジネス」と言われる社会性の強いモデルであり、CSV経営(社会課題解決型モデル)へのシフトチェンジこそが現在の全ての事業所に求められると締め括られました。また、その特色は多くの人と繋がれることであり、多くの地域企業が最新の学びを実践に落とし込むことで様々なムーブメントが巻き起こることを示唆されてマイクを置かれました。東北を中心に日本全国から集まっていた経営者は皆さん、じゃわめいたのではないかと感じた次第です。素晴らしいフォーラムをありがとうございました。
*「じゃわめぐ」……津軽弁で、「震える、ぞくぞくする、心騒ぐ」というような意味。
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CSV経営とそのシフトをボトムアップから行う研修事業を行っています。