未来創造企業認定のススメ
昨日、私が所属し、世話人としての役を拝命している経営実践研究会の新規メンバー向けのオリエンテーションが開催されました。事業を通して社会の課題を解決したいとの熱い志を持って新しく入会されたメンバーに研究会の全体像と活動のガイダンスを行うイベントです。入会後の流れとして、同じ情報と価値観を共有しリテラシーを揃えるのと、全国の同期メンバーとの交流を深めるべーシックコースなる5回構成の学びの機会があります。私としては、その後にガバナンスを整え、地域や社会への貢献、地球環境への配慮をしている「いい会社」の認定を受ける未来創造企業の研修(全5回)への申請を強くお勧めしています。私が代表を務める株式会社四方継でも第5期未来創造企業認定を受けており、ちょうど認定企業が掲載される冊子の原稿依頼があったので、未来創造企業の説明を兼ねて以下に転載しておきます。
本物だけが生き残れる時代に既に突入していると言われますが、これからの時代の荒波を乗り越えていくには本当に良い意図を持って事業を行っている証明は必要な認定制度だと思います。新たな時代への適応を考えておられる方のご参考になれば幸いです。
現在の事業内容
つむぎ建築舎 受け継がれる価値のある丁寧なモノづくりをコンセプトに自社設計士と自社大工による木と暮らしをデザイン、「幸せな体験」を実現する技術者集団、女性建築設計士と大工によるUXデザインの思想、観察調査からインサイトを紡ぎ出す細やかなコミュニケーションと専門家としての提案、計画〜施工プロセスの見える化で、世代を超えて受け継がれる価値ある建築を実現します。
つない堂 つない堂では、あらゆる分野で卓越した知見を持つ「人」「事業所」「サービス」を発掘し、リアルなネットワークを構築しています。そのネットワークを地域のみなさまと共有することで、インターネット検索を必要としない安心な循環地域型社会のハブとなり、いい街を次世代に継ぐことを事業の存在目的に掲げています。
社会課題解決に向けた事業
私たちの事業の根本的な価値観は持続可能な地域社会を構築することです。建築事業では地元の山で育てられた桧や杉を使った建築を材の生産から林業事業者と繋がって行うことで収益を山に循環させています。また、地域コミュニティ事業のベースとして地域に開放しているスタジオは地元の桧を使ったショールームにもなっており、地材地消の啓蒙施設としての役割も担っています。つない堂では地域通貨発行、流通の実証実験を行っており、貨幣を介さずに地域でモノやサービスを交換し合うことで経済が循環する仕組みを整えつつあります。また、つむぎ建築舎に職人が所属しているリソースを活用して、つない堂では地域の有料会員へのサービスとして定期的なメンテナンスやインスペクション(住まいの健康診断)を行い、地震や台風による自然災害への備えやリスクの低減を実現し、安心して暮らせる地域の実現に寄与しています。これら株式会社四方継の複合的な事業は全て職人と設計士の内製化と育成を基盤としており、モノづくりの人材育成からこれまでに無かった新しい地域工務店の在り方を示す取り組みです。地域との繋がり、信頼を基軸にした持続可能なビジネスモデルの構築は関連企業である一般社団法人職人起業塾の活動を通して全国の建築事業所向けに職人育成の重要性と、そこから生み出される大きな可能性を提示して、建築業界の喫緊かつ重大な問題になっている職人不足を根本から解決する提案へと昇華させています。創業の志である「職人の地位向上」を自社から実現することで建築業界のみならず日本の課題解決への礎となる活動を続けています。
未来創造企業の認定取得の理由
創業20周年を迎えた2020年、私達はリブランディングに取り組み、社名及び事業ドメインの転換を行ないました。それまでの建築事業から業態変容を行い、環境に配慮し、地域と共生するコミュニティーモノづくり企業へと生まれ変わったのは、激しい時代の変化に適応しながら、以前から取り組んできた持続可能な循環型ビジネスモデルをさらに進化させる取り組みでした。それはまさしく未来を創造する事業所へと変容を遂げるコミットメントであり、地域の方々に支えられた御恩に報いるべく、私達が出来る限りの地域貢献を事業そのものに組み込む変態です。未来創造企業の認定条件、その定義を知った際、これこそ私たちが取り組んで来た事業所のカタチそのものだと感じて、社内外に私達の在り方を具体的かつ明確に示すことが出来る制度だと感じて認定の申請を行いました。
未来創造企業認定への挑戦を通しての変化
未来創造企業の認定の要件の殆どは2年前から取り組んで来た事業に当てはまるものでした。また、事業の取り組み状況を数値化して進捗を確認出来たのは、事業再構築を行った意味や意義を社内メンバー全員と再認識する非常にいい機会になりました。認定までの流れと合わせてSDGsの具体的な目標設定を行う機会にもなり、今まで以上に社内メンバーと事業の目的や存在意義を共有することが出来ました。
今後のビジョン
私達の事業は地域と共にあり、地域のインフラを守る責任を負っています。事業の持続可能性を高める事こそ顧客や地域の住民の方々との約束を守る事であり、事業目的そのものでもあります。現在、2027年に予定している事業承継のプロジェクトを5名のマネージメント層のメンバーと進めています。創業からこれまでのピラミッド型の組織から、プロフェッショナルとして自立した「個」のメンバーが自己実現を達成しながら合議制で全体最適を目指して事業全体を運営する体制を目指しています。今後、5年間の時間をかけて自律分散型組織への転換を進め、生物のように新陳代謝を繰り返しながら組織の存在意義を持続させる取り組みです。ひと、まち、くらし、文化を繋ぎ、四方良しの世界を実現すべく、次世代を担う若者の育成と、組織・経営を永年に渡り継げる状態を整える。それが私達の目指す未来のあるべき姿です。
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ひと、まち、くらし、文化を繋ぎ、四方良しの世界を実現します。
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