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複雑な事はシンプルに、簡単な事は深く考える。

この世の中は複雑怪奇でとても面倒にできている。と言う人がいます。逆に、世の中は至ってシンプルだ。と言われる人もいます。それらの人は全く逆のパラダイムで世界を見ているように受け取れますが、実は同じようなことを言ってるのではないかと私は感じていて、世の中はすべからず表裏一体で、逆もまた正なりではないかと常々思っています。
今日はたまたま、複雑そうに見えてもシンプルだと説明することと、シンプルだからこそもっと深く考えるべきだとアドバイスすることがありました。

イメージがわかない事は絶対にできない法則

今朝は早朝から定例の大工スタッフとの1to1ミーティングの日で、上半期を終えた後の個人目標の決算の振り返りと、今後の見通し等の報告を聞きました。その彼は現在絶賛取り組み中の5年後の事業承継に向けてのプロジェクトメンバーと言うこともあり、私から事業を引き継いで経営者層の1人として会社を引っ張ってもらうにあたり、どのように感じているかと意見を聞いてみたところ、「社長の代わりをチームで務めるのは難しい、全くイメージがわかない」と何度も繰り返して、今後どうしたものかと頭を抱えておりました。「何が難しいのか?」と質してみても、問題点や課題が明確に示される事はなく、なんとなくぼんやりと難しいの一点張りで、私としては何に困っているのか全く要領を得ず、事業を行う、会社を経営する事に対して全く自信がないことだけはよく伝わりました。イメージしても全く実感がわかない事は絶対にうまくできない法則があり、確かに頭を抱えるよな、と変に納得してしまいました。

全体を見れば量に負ける。

彼の頭の中を(イメージで)覗きに行ってみると、事業の根幹であるマネジメント(回す)とマーケティング(売る)とプロダクト(作る)とコーポレートガバナンス(支える)の全てがコンガラがっており、経営と言うひとくくりでそれらが1つにまとまって、どこから手をつけていいか全くわからなくなっているようでした。
ここ最近の事業承継の取り組みで私が提唱しているのは、1つずつ課題を分解して確実に片付けていこうと言うことで、まず個々が担当する現場と会社全体のスケジュール管理をリーダーチームで話し合いながら完璧にできるようになろうと、マネージメント(回す)に注力するように伝えています。そこについては一定の理解を示しつつも、頭の中が混乱していると言うのは、目の前の事の向こう側に透けて見える事業運営の全体を見て複雑怪奇で難しいものだとぼんやりと思い込んでいるようでした。

事業とは単純な4つの仕組みの組み合わせ

私としては、事業承継のプロジェクトをスタートする際に、私から引き継いでもらうタスクについての全体像と小割りにして承継していく順序を示したつもりでしたが、全く伝わっていないことに気がついて、改めてシンプルに事業とは何を行うのかを説明し直しました。
複雑そうに思える事業経営の全体像を大きく大別すると、作る、売る、回す、支えるの4つに集約される非常にシンプルな構成です。しかも我々の行ってきたビジネスモデルはもう10年以上、宣伝広告や販売促進を行わずに事業を行ってきており、売り込みせずに売り上げを作る仕組みを作ってきました。「作る」に関しては、昨年のリブランディングを皮切りに、設計と大工が協力して次世代に引き継がれる丁寧にものづくりをしようと絶賛取り組み中で、既に流れができつつあります。支えると言うガバナンスの部分についても20年間の蓄積でそれなりに体制が整っており、後は「回す」と言うマネージメントを全員で取り組めば事業としての形態は大まか維持できる段階になっています。と、説明をしてみたところ、事業全体を小割にして考えて、それぞれの状態を冷静に見ればそんなに経営者の役割の継承はそんなに複雑な事はなく、シンプルな構造になっているのが少しはわかってもらえたようです。

シンプルな事は深く掘り下げる

昼からは、空き家ビジネスに取り組んでいる若者から「明日、地主さんに初めてプレゼンテーションをするのでアドバイスをもらいたい」とのオファーを受けて、オンラインで1to1ミーティングを行いました。その彼は、人のため、地域のためになるようなやりがいのある仕事をしたいと高い志を掲げて今年に入って1部上場企業を退職して借り手がつかないようなぼろい空き家を借り受けて、自分自身でDIYを行う新しいビジネスを立ち上げられました、はじめは趣味の延長線上のような感じで始めたDIYですが、古いながらも味のあるおしゃれな家に改装することによって、全く活用されていなかった空き家を再生する事に価値を感じて意味のある仕事ができるのではないかと起業されました。彼の構想するビジネスモデルはマネタイズもできてないし、顧客も曖昧だし、不確定要素がありすぎる荒削りなものではありますが、その潔い心意気に打たれて私は陰ながら応援しています。そんな彼のデビュー戦とも言えるプレゼンテーションを聞いてみると、そもそもDIYが楽しくて、共感してくれる人たちがいるから、そういう人たちとコミュニティーを作りながら活用されずに朽ち果てるようとしている空き家を再生したい、その結果、家やコミュニティーの人たちに貢献できれば良い。と言うシンプルな意図に反して、世界の流れがどうとか、地域のニーズがどうのと非常にスケールが大きく、誰に対して話しているのかさえわからないような、ぼんやりとした複雑なものになってしまっていました。シンプルなものは広げてかっこつけるのではなく、深く掘り下げるべきだよとアドバイスした次第です。

(イメージの中で)見に行く能力

もともとはシンプルなものを必要以上に複雑に考えてしまう。もしくは、ぼんやりと複雑なものに圧倒されて思考を停止してしまうと言うのは、見に行く能力の欠如ではないかと私は思っています。「見に行く」とは頭の中でイメージを詳細に作り上げ、細かなところまでシミュレーションをしてみることを指しており、平たく言うとイメージ力です。そしてそれは能力と言う言葉を使いましたが、本当は誰にでも備わっているもので、見に行く意思があるかないかだけのことだと思うのです。人とのコミュニケーションを取る際に、この人にこんなことを言ったら怒られるとか、悲しまれるとか、断られるなんて事は少しイメージすれば誰でもわかる事がほとんどです。しかし、相手の立場に立って考えると言うコミュニケーションの基本をすっかり忘れ、おざなりな言動をしてしまう人が世の中にはあまりにも多くおり、相手のことを慮る人の方が珍しいような状況になってしまっています。忖度と言う言葉が権力者に媚びるような使い方をされて、悪い印象になってしまっていますが、本来、コミニケーションの基本は相手のことを思いやる、それを汲み取ってみなまで言わずとも先に整えておく気持ちがあってこそです。その意識を持つ事を私は「見に行く能力」と呼んでいます。

人生を切り開く能力は誰もが既に持っている

未来のことを細かくイメージして自分の選択や行動を鑑みて、どのような結果を導くかを詳しくシミュレーションする。私が見に行く力と呼ぶその能力は、お客さんにプレゼンテーションをするにしても、契約をもらうクロージングの際にも、実際に工事を行うでも、あらゆる人との人間関係を構築するでも、何にでも使える非常に汎用性の高いしかも重要な力です。時間も、詳細にイメージすることで細かなタイムスケジュールを組むことも可能になり、簡単そうで難しいタイムマネージメントができる能力にもつながっています。予定を立てて、その通り実行することができるようになれば、あらゆる課題を解決できるようになります。見に行く力とはそれぐらい絶大な効果性と影響力を持っています。ただ、シミュレーションを行うには、ケーススタディーを繰り返した経験が必要であることも実際のところで、ある程度場数を踏まないと見えてこないこともたくさんあると思います。それでもこれから未来を切り開いていこうとする若者には、できるだけ早い段階で見に行くと言う習慣を身に付けてもらいたいと思うのです。
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そんな人生を大きく変えるイメージを作って細部まで見に行く力を手っ取り早く身に付けるには、職人起業塾の研修カリキュラムの中にも組み込まれているアクティブブレインセミナーを受講されることを強くお勧めします。

イメージ力を実務に落とし込む実践研修やってます。

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