中小企業悪魔のサイクル② 三つの真実と事業承継の突破口 @知的資産Week 2022
昨日に引き続き、先日開催された全国行政書士会の近畿方面のイベントでの気づきというか、気になった事を綴ります。知的資産経営week2022の基調講演に登壇された大学教授の講演で中小企業の事業承継が如何に難しく、上手くいっていないかとのデーターを散々紹介されて暗澹たる気持ちになってしまった件は昨日のnoteに詳しく書きました。今日は悪魔のサイクルに陥ると言われた中小企業の事業承継の取り組みについて自身の実践も含めて書き進めてみます。昨日の記事はこちら、
事業承継!事業承継!事業承継!
今回、全国行政書士会のイベントに私が登壇することになったのは実際に知的資産経営報告書を作成していた流れで、そのサポートを頂いた行政書士の先生方と一緒に壇上に上がり、先生方はサポートしての気づきや感じたこと、私は内容の説明と今回で2回目となる報告書を作ってみた(行政書士目線で見たところの)顧客目線での感想を披露するのが役目でした。知的資産経営報告書というのは社内にある暗黙知を詳らかにすると共にその構造を分かりやすく見えるようにする効果があります。そして、その成果物の内容を説明すると言う事は当然、私たちが行なっている事業内容をさらけ出す事になります。今回、私たちの出番の前の第一部、第二部で事業承継の話題が中心になっており、中小企業の知的資産についてとの本来の趣旨とは少しズレてしまいましたが、私も流れに乗って現在、取り組んでいる真っ最中の事業承継のスキームについても予定以上に時間をとって言及しておきました。
Who→What→How?
そのきっかけになったのは、基調講演に登壇された教授が悪魔のサイクル共に、事業承継する際の手順として、Who(誰に)→What(何を)→How(どのように)承継するかが重要であり、まずWho(誰に)の段階で該当者がいない事業所が多く、全く進まないのが現状だと話された事でした。私はその言葉に大きな違和感を感じて、おいおいおい!と心の中で突っ込んでしまったほどです。昭和、平成のモノが中心の時代じゃあるまいし、企業が提供すべき価値はモノからコトに移行し、今はさらにその先の共感を呼べるか否かが事業を支える時代になったとビジネスモデルの組み立てが圧倒的に変わりつつ今、時代錯誤も甚だしい、とまでは言いませんでしたが、最も重要なのはWhy(なんの為に)事業承継を行わなければならないのか?との問いに対する答えを明確にするべきではないかと持論を述べさせて貰いました。
Whyから始めよう
その問いに対する答えが、代々続いた家業の屋号を残すためとか、先代から引き継いだ事業を自分の代で終わらせる訳にはいかないから、等の内向きな理由ならば、従業員も含めて他人には全く興味も関係も訳で、事業を引き継ごうとも思わないでしょうし、親族の中から承継者を選び、育てたらいい(身内から育てるしかない)と思います。しかし、事業の目的の実現や存在意義。その持続について社員も必要性を感じるならば、共に事業を作ってきた社員に承継したらいいと思うし、そうするべきではないかと私は考えています。事業自体もなんのために?を問う存在意義に対して向き合わずして誰からも共感は得られませんし、事業承継も同じ文脈の中で語られると思うのです。そのような理由から現在、5名のリーダーシップチームのメンバーに対して事業を細分化してそれぞれの担当に振り分け、事業承継を進めています。その際にも最も重要なのは事業自体の存在目的は何か?との問いについての共通認識です。
意外とシンプルな事業承継
上述の大学教授に中小企業の経営者は殆どが事業承継を真剣に考えていないし、なんの準備もしていない。とのデーターを示されたこともあり、現在、私たちが取り組んでいる事業承継の具体的な内容もご紹介しました。「手放す経営Labo」で無料公開されているDXOというテキストを使って事業承継のワークショップを進めており、その前段階で事業をシンプルに細分化、回す(オペレーション)作る(プロダクト)売る(マーケティング)の3つの担当チームを編成し、全体で経営全体を話し合う場を作りました。現在は絶賛、回す(オペレーション)の体制づくりを全社あげて取り組んでおりますが、徐々にその範囲を広げていくタイムラインも設定しています。事業承継というと社長業を引き継ぐことのように思われがちですが、実はそうではなく、事業を本質的に持続可能な体制に作り変えることだと思っています。そもそも、何が起こるのか分からない今の時代、経営者が突然いなくなっても倒れないように平素から事業全体の構造を整えることが必要だと思うのです。
組織改革を進める理由の三つの真実
人間が誰しも逃れることが出来ない3つの真実は、1.人は必ず死ぬ、2.それはいつか誰にも分からない、3.そしてその時は刻一刻と近づいている。だと言われます。これはもちろん、事業所を牽引している経営者にも当てはまることです。この真実に正面から向き合うと、あらゆる事業所は事業承継の取り組みを今直ぐ始める必要があるとなります。昭和、平成時代のトップダウン式の管理型経営、ヒエラルキー組織は実は非常に脆弱で、それはそのまま、私たちのような暮らしのインフラを担保する事業所にとっては顧客との約束を守れない事になります。昨年、私よりも10歳以上年下のサッシ会社の社長が突然亡くなられました。その会社は多くの顧客を持っており、新規営業をしなくても自動的に受注が舞い込む会社だったので、3名の従業員が後を引き継いで営業を続ける事になりましたが、現場実務以外の事を一切教えられておらず、受注したサッシをメーカーに発注するのさえ滞る始末で結局、一月もしないうちに廃業に踏み切られました。文字通り事業自体を忙し毎日に忙殺されてしまった形です。3つの真実に向き合い、今直ぐ、少しずつでも自立分散型の組織への移行と同時に事業承継の準備を始められることを全ての中小企業経営者に強くオススメします!
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自立分散型組織への変革は社員の才能を発揮させるボトムアップから。現場実務者の意識改革の研修行ってます!