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怒れる教師が語るのは・・・

事業とは社会の課題を解決してその価値提供の見返りを得ること。人の苦しみや悲しみ、生きづらさや不便を解消し、その存在意義に対して対価が支払われる。はず。
金儲けがしたいなら金を貸して金利を取ったり、不動産を貸して家賃を取ったり、掻き集めてきた人夫を出して掠りを取ったりした方がずっと儲かる。しかし、それだけでは本質的には何も生み出さないし、金儲けの為の金儲けなどなんの意味もない。せっかく一度切りの人生を生きるのなら意味や意義があることがしたい。と私は本気で思っています。
せっかくこの世に生を受けて、限られた時間を生きるなら、ただ食って飲んでセックスをして享楽に溺れることを目的にするなんて勿体なさ過ぎるし、歴史に名を残すまでは言わないにしても、事業を行い、ほんの少しでもこの世界を良きものにして次の世代に渡したい。ほんの数人でいいから、命を閉じたときに感謝されたい。天命を知る50歳代を過ぎてからその想いが強くなりました。

致良知の教育理念

世の中を見渡すと際限の無いくらい多くの社会課題が存在し、しかもそれらは複雑に絡み合い、深く社会システムに食い込んで根を張ってしまっています。解決困難だよな、と絶望を感じてしまいそうになります。何者でもない一市民の私が巨大な問題の数々を解きほぐし、全てを解決するなんて出来る訳は無いのですが、解決の糸口を次世代に継ぐことくらいは出来るはず。そんな風に考えて前向きに様々なことに取り組んでいます。
人として、目の前で苦しむ人を見て見ぬふりを決め込む訳にはいきません。苦しんでいる人、困っている人を見かけたら自分に何か出来ないか?と誰しもが考えると思いますし、手を差し伸べる行動に出ると思います。孟子は「惻隠の情」との概念を示して、どんな悪人でも古井戸に落ちかけている子供を見かけたら咄嗟に助ける。誰しも必ず良知を備えているとの性善説を唱え、それを社会の成り立ちの全ての根本に据えました。資金力や影響力を持つ、持たざるに関係なく誰もが持つi良心に従うことで世の中は少し良くなるとの理論です。

強欲を教育する社会

誰もが良知に至る生き方をすれば、随分と世の中は良きものになるのは想像に難くありません。しかし、現実は世界のあちこちで戦争や紛争が起こり、日本では若者の死因の一位は自死ですし、せっかく宿したも生まれる前に殺される中絶は年間130,000件とも言われます。今の日本は生きるに値する世界だと認めていない人がものすごい数いると言う証左です。
溢れかえる社会課題の発生と蔓延の根本的な原因は、人が生まれながらに持っている良知を活かしきれていないことに起因すると私は思っており、それを突き詰めると教育の問題に突き当たります。
オギャーと生まれた赤ん坊が、人を騙すことや、嘘をつくこと、人を押し退けて、踏みつけて、自分の立場を良くすること。金だけ儲かれば、他の事には関心がないとか、思っているわけもないし、そうすることが得になると考えているわけでもありません。にもかかわらず、学校を卒業して社会に出る頃になると、一銭の金にもならない人のために汗水流す事に対して、なぜそんなことをするのか?と疑問を持つようになります。経済的な合理性が全てだと子供の頃から叩き込まれてしまうのです。このように考えると、現在世の中に溢れ、かえる社会課題の根本原因は教育にあるとしか思えません。

根本解決は教育しかない

私は2年前からCSV経営を学ぶコミュニティー、経営実践研究会に参画し、様々な業種、業態の経営者の方と交わりながら、それぞれが抱える社会課題について学ぶ機会を得ました。現在、そこに休まる、1000社の経営者たちが本業と社会課題の解決を一元化して、自社と地域社会、いわゆる世間様との共有価値の創造を行う経営にシフトされています。分かりやすい言葉で言い換えると近江商人から始まり、日本中に綿々と受け継がれてきた三方良しの経営スタイルです。しかし、そこで気づいたのは(10社も含めて)、それらの殆どは課題に対する対処であり、根本的な問題解決や、予防的措置になっていないことです。
今だけ、彼だけ、自分だけのパラダイムから脱出して、CSVモデルの経営を行うには、何より、未来への視点と取り組みが重要な意味を持ちます。そもそも、経営を研究するとは、経糸を営むあり方とやり方を体得することに他なりません。
この定義を持って、社会課題の解決に目を受けると根本的な解決に最も必要な事は、教育を立て直すことにしかなりません。なので、私は50歳を半ば過ぎてから指導とながら、教育業界に足を踏み入れミニマムな私立の高校の運営を行うようになりました。中卒の元不良少年、大工上りの経営者が校長先生として熱心に活動を行っています。

怒れる教師

先日、夜回り先生として有名な水谷先生の講演を聞く機会に恵まれました。横浜の、最も荒れ果てた、学校と言われた定時制高校の生徒を1人もこぼすことなく、卒業に導き、悪の道に落ちかけている若者や、夜の世界に生まれかけている子供たちを数多くすくいあげたことで、とみに有名な先生です。
今も日本全国で夜の街を回っては、子供たちを闇の世界から光の世界へと引き戻す活動を続けておられます。呼ばわりをする際には、10周の暴力団の事務所に事前に挨拶に行き、夜回りをするから不都合なことがあるなら、引っ込めておけと忠告をするとのことで、ドラッグの販売、や売春ができなくなるマイナスの経済効果はものすごい額になると言われてました。当然、恨みも買うし、指をつぶされたり、ドスで刺されたりを繰り返しながら、そんな活動を35年間続けてこられたとのことです。水谷先生先生自身、何度もがんの手術を受けて、体中切り刻んでいるにもかかわらずです。
そんな水谷先生先生の講演では、会場の学生たちも引きつけて離さない、ウィットに富んだお話をされ、時折笑いも起こりました。しかし、基本的に、水谷先生先生は終始怒ってました。それは、若者に無関心、もしくは、若者を食い物にする下衆な大人たちで、この世が埋め尽くされていること、そしてそれにうすうす気づいていながら見て見ぬふりをする。お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんあらゆる社会人に対して彼は怒りをあらわにしました。

奴隷からの脱却、もしくは解放

今、経済大国から脱落し、太らせた豚をまるで食い散らかすかのような、アメリカからの圧倒的な搾取に陥り、政府も民主主義も機能しなくなってしまったこの国はやっぱり植民地だったのだと今更ながら気づかされます。
国民の所得は全く上がらず、むしろ下がり続けている上に若者や1人親家庭など弱者の貧困率が増え続けています。
ちなみに、大手上場企業のトップ30社を見てみると、増え続けているのは内部留保と株主配当です。汗水流して働いて、収益を生み出しているはずの社員には還元されず、金持ちの株主に尻尾を振って嫌われないように配当を増やし続けています。そして、日本で多くの資金を運用している投資会社はほとんど外資系になっており、表面上は日本の企業と言うことになっていますが、実は過半数の収益はアメリカに吸い上げられているのが実情です。日本人は金融と言う暴力で縛られた奴隷になり下がってしまっています。敗戦国なので致し方ない。と諦めるのではなく、今一度、日本の国民が主権を取り戻さないとこの国に未来はありません。令和に民主主義を復活させ、実現するには、今だけ金だけ自分だけの奴隷思考を大人達が捨て去り、子供達に対して、未来を見据え、信頼や愛情、思いやり、信念や哲学、文化や伝統などの目に見えない価値を大切にして、世の為人の為に傍を楽にする働きを示す必要とそれを模範として教え、育む姿勢が必要です。怒れる先生の声に耳を澄まし、社会全体が教育する在り方を取り戻すべきなのです。私も教育者の端くれとして怒れる先生、水谷先生の後を追いかけたいと思います。

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論理や大学などの古典を紐解き、人の在り方を問いかける職人育成の高等学校を運営しています。

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