忠犬ハチ公ならぬ、忠人ユウジの熱い想い
本業で社会課題の解決を目指す経営者が集まるコミュニティーに参加し始めてかれこれ半年。ビジネスに対する視点や視野を転換させるだけでなく、人生を変えると言っても過言でないくらい、衝撃的な人との出会いが次々とあり、本当にご縁は人生の宝だとしみじみと感じています。昨日も凄い人と出会ってしまいました。(笑)
愛犬共生住宅
その人は、愛犬と共に生きる住宅を社会のインフラにしようと活動されている建築業の若き経営者さんです。ひと昔前から、ペットブームの盛り上がりに呼応する形でペットリフォームなるジャンルの商品が開発されて、私が代表を務めているつむぎ建築舎でもこれまで少なからずペットと一緒に暮らしやすい家づくりのお手伝いをしてきました。私は自分自身を愛犬家だと認識はしておりませんが、事業所にいる時は事務所のテラスに住んでいるアイドル犬チャックとずっと一緒に仕事をしていて、チャックには番犬の役割を与えているのでペットと言うよりは仕事仲間的な感じで仲良く暮らしています。冬の寒い時期の夜は流石に玄関先に入れてますが、今時珍しく犬を外で飼っていて、チャックはペットというより番犬という感じで(もちろん可愛がりますが、)一線を引いている関係です。なので、ペットと共生する暮らしや住宅にあまりピンときていなかったというか、別に否定するつもりはありませんが、大して必要性も感じていませんでした。
犬こそが人と共に生きる存在
しかし、愛犬共生住宅を広めたいと言われるその経営者は、犬は全国で1000万頭(10歳未満の子供の数と同じ!)も飼われていて、その殆どが室内で人と一緒に暮らしているにもかかわらず、人間のことしか考えていない住宅ばかりが建っていることを解決すべき社会課題であると明言されました。外で犬を飼っている私にとっては、あまり腑に落ちませんでしたが、よく説明を聞くと、犬が住みにくい住宅の弊害は、犬の身体的疾患やそれに伴う飼育放棄、それに伴う人の心の痛みに繋がっているとのことで、なるほど、それはあまりよろしくないな、と思いました。ただ、私にすれば犬を家の中で飼う必要を感じていないタイプなのであまり深刻な問題だとは思いませんでした。多分、私があまりしっくり来ていない顔をしていたからだと思いますが、その方は更に犬と一緒に住む事の重要性を熱く語り始め、犬と共生することで精神的な安らぎや癒しを感じたり家族間の人間関係が良くなったりと大きな効果があることが学術的にも証明されているとか、一人世帯の人が増え続ける現代、心のよりどころとなる家族代りのペットの存在の重要性を熱く訴えられました。そして、犬の特性として人と感情的にシンクロする能力を持っていることを挙げられ、犬こそが人間と一緒に共生すべき存在なのだと熱く強く語られました。
猫と犬は違う
実は私の家には猫のニャロが一緒に住んでいて、帰宅すると玄関まで迎えにきてくれるし、夜中遅くに食事をしているとベッドから出てきて戯れてくれるし、お風呂もよく一緒に入ります。私が家で一番多く会話するのは多分ニャロだと思うくらい仲良くしてますし、自宅にいる間、私が口にする言葉は大まか猫語で帰宅したらまず「ただいにゃー」から始まります。ただ、ニャロは悪さもするし、私の言う事もあまりきかないし、第一にいつもそっけないので、仲良くしていると言っても結構冷めた関係です。もちろん、ニャロのために自宅を改装したりするつもりはサラサラありません。猫ってだいたいそんなものなので、猫好きの人はそれも含めて猫を可愛がるのでしょう。上述の愛犬共生社長に言わせると、猫と犬は全く違うとのことでしたが、確かにそれもなんとなく納得できる気がします。
忠犬ハチ公の逆パターン!
人は「何をやっているのか」よりも「なぜそれをやろうと思ったのか」とのストーリーに心を動かされます。その愛犬経営者は若い時、自分が原因でなかなか子供ができずに妻との関係がうまくいかなくなり、離婚の危機に遭遇したことがあったらしく、それが犬と一緒に住むようになって家庭が和み、その危機を回避できたといいます。犬を飼うことによって救われた自分の原経験から、心から犬に感謝しており、犬に恩返しをしたいと考えて愛犬共生住宅の事業を始められたとの事でした。忠犬ハチ公のように、飼い主への恩を忘れない犬の話は聞いたことがありますが、逆パターンを耳にするのは初めてで、こんなピュアな心を持った人がいるのだと大いに衝撃を受けました。そういえば!と思い出したのは、私の子供の頃の夢は焼肉をお腹いっぱい食べることと、動物園の飼育係になることだったことです。大人になって動物を愛でる心が段々と冷えて固まってしまったのかも知れませんが、まだ純粋だった子供の頃は動物と一緒に暮らすことに大きな喜びを感じていたのだと気付かされたのです。
ひとりの人の幸せに向き合ってこその社会課題解決
人の幸せは理論ではなく心で感じるもの。そこに明確なロジックが存在することはなく、感情がそれを判断します。そんな原理原則の観点から観れば、愛犬共生住宅はどんな豪華な装備や美しくデザインされた住宅よりも(愛犬家にとっては)幸せな空間になることは想像に難くありません。そして、社会課題とは目の前の人の課題の集積であり、マイノリティーの課題こそ私達は取り上げ、解決の道を探らなければなりません。一人ひとりの人に向き合い、その人が感じる幸せを探究し、それを実現することが私たち建築事業者の役割であり、責任であるならば、愛犬と共に生きるための住宅づくりは(愛犬家にとっては)唯一無二の素晴らしい住宅になることは間違いありません。私達も今一度、人の気持ちに真摯に寄り添うピュアな心を取り戻して住宅事業に向き合わなければならないと改めて気付かされました。事業とは社会課題の解決を行うこと。人の持つ課題とは何か?もっと深く、細やかに感じる姿勢を持ちたいと思った次第です。池田社長、勉強させて頂きました、ありがとうございました。
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まだ見ぬ素晴らしい体験を一緒につくってます。
建築業界の社会課題解決に向き合っています。
https://www.shokunin-kigyoujyuku.com
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