ライフコーチと死生観
先日、ひょんなご縁をいただいて、若い女性のコーチにセッションしてもらえる機会を頂きました。実は、私は15年前からコーチングを受けており、ビジネスコーチとのやりとりの中でその時々に抱えているあらゆる課題に対して正面から向き合いアクションを起こす習慣を身に付けました。徒手空拳から起業して20年以上事業を継続し、3つの法人を運営している今の私があるのは間違いなくコーチとの出会いがあったからだと思ってますし、コーチングは誰もが持っている隠れた才能を引き出すことができる最高のツールだと言っても過言ではないと思ってます。それぐらい絶大な効果性を秘めているコーチングですが、私の身の回りの経営者もしくは経営幹部で、ビジネスコーチを雇っていない、もしくはセッションを受けたことがない人が意外に多く、とても残念に思っています。なので、今回は、自分自身がコーチングを新たに受けると言うよりは、良いコーチを見つけて多くの人に紹介したいと常日頃から思っていたこともあり、お試しのセッションをお願いしてみた次第です。
ライフコーチの意図
本日お願いしていたセッションは残念ながらお互いの自己紹介や雑談?で終わってしまい、ちゃんとしたコーチングセッションにはなりませんでしたが、まず初めにラポール(信頼の架け橋)を築くのがコーチングの世界ではセオリーとされており、その意味ではお互いのことを知る時間が取れたのは決して悪くなかったと思っています。そんなセッションの終わりに私が彼女に訊いた質問は「コーチングの仕事を通して実現したい事はありますか?」との問いでした。「実はあるんです、」と食い気味に彼女から返ってきた答えは「人が目指す目標に導くお手伝いをすることで、1人でも多くの人に素晴らしい人生を感じて欲しい。」との素晴らしいもので、ライフコーチと名乗る肩書きは伊達じゃないのだと深く感じいった次第です。
そんなエマさんのサイトはこちら、
共感の源は死生観
セッションが終わった後、SNSでつながった流れで彼女が書いたブログを拝見すると、なんでも大病を患ったことがあるらしく、死を目前にして人生を省みたところから視点が大きく変わり、好きなこと、やりたい事を存分にやる人生から、人のためになることにシフトして、コーチングをなりわいとするライフコーチと言う道を選択したと書かれていました。それを読んでなるほど、と妙に納得しました。今日のセッションではオンラインでパソコンの画面越しでの対話をしただけでしたが、若い女性とは思えない強いオーラというか雰囲気を感じて、その強さの奥には一体何があるのかしら?と疑問に感じていたからです。その答えは死生観だったのだと深く腹に落ちました。とにかく、コーチングの持つ絶大な効果性を認識している以外にも共感、共鳴する分が確かにあったと感じたのです。
誰も逃れられない3つの真実
何人たりとも逃れられない人間が抱える3つの真実とは「必ず死ぬ」「それはいつかわからない」「毎日確実に死に近づいている」です。どれも当たり前すぎる真実ではありますが、それに対して正面から真摯に向き合って生きている人はそんなに多くありません。スティーブ・ジョブズが毎朝鏡に向かって今日人生の終わりを迎えても悔いが残らないか?と自問したと言う話は有名で、それを引用して素晴らしいと称える人をよく見かけますし、その覚悟を持って毎日を生きるべきだとの話も耳にすることがよくあります。しかし、とは言え確率論からすると不慮の事故や事件に巻き込まれて突然死するなんて事はそうそうあるわけでもありません。きっと明日も生きていると思ってしまうのが人情ですし、残念ながら私もその例に漏れません。
苛烈な生き方への憧憬と後悔
「人間五十年、下天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり。」 織田信長が桶狭間出陣に際し吟じて舞った「敦盛」の一節は非常に有名です。中学生時代に歴史小説を読みまくっていた私は戦国武将の激しい生き様に憧れ、特に乱世を切り取って天下をその手に収めた織田信長には深く傾倒しました。安定した道を歩むよりも、短命でもドラマティックな人生を生き切りたいと子供心に思っていて、そんな影響もあってか、真面目に学校に通わずに警察のご厄介になるような馬鹿なことばかりを繰り返していました。今になって振り返ると赤面してしまう恥ずかしい過去ですが、そんな学歴社会から完全にドロップアウトしてしまった私は、17歳で社会に飛び出してからどうしようもないクズ生活を送り、挙句、若くして肝臓をつぶしてしまいました。その当時運び込まれた病院の医師に「君は40歳から50歳までに必ず肝臓がんか肝硬変で命を落とす。」と死亡予告されたのはさすがに堪え、なんてバカな人生を送っているんだと深く反省したものです。
死線からの離脱
それから月日が経ち、死亡予告を受けた40歳を過ぎた頃、私の顔はどす黒く、いかにも不健康そうにむくみ、やっぱりあの医師が言った事は正しかったのだと感じ始めていた頃、自分の体力が決定的に落ちていると感じる事件がありました。その時、間近に迫った死を改めて認識し、やり残した事の多さ、と言うよりも自分の人生がたいした価値を生み出せていないことにに愕然とさせられました。このまますんなりと死を受け入れるわけにはいかないと思い、一念発起してそれまで全く向き合ってこなかった健康に対してワンチャンス取り組んでみようと思い立ち、毎日5分程度のほんの少しの筋トレと週に1度、2時間ほどの時間を割いてランニングの習慣を持つようになりました。2年ほど地道に運動をし続けた結果、奇跡的に肝臓の数値は標準値まで下がり、ぶくぶくと太っていた体は20キロ以上体重が落ちて、なんとフルマラソンを完走できるまでになりました。ここ数年は法定健康診断に行くたびに全く何の問題もない結果が報告されるようになりました。今では体内年齢38歳と標準的な50代の男性よりも体力がある状態を維持しており、ひとまず目の前に迫っていた死の恐怖から抜け出すことができています。
人生二度なし。
1度は失いかけていた命を取り戻せたことで、1度きりの、しかもいつ終わるかもわからない人生をいかに生きるべきか、どんな価値を残せるかと深く考える機会を天から与えられたと思っています。死の呪縛から解放されたのは奇しくも50歳、天命を知る年齢でもあります。人生2度なし。1回きりのぶっつけ本番で生きる限られた時間は、自分のための人生ではなく、世の中に少しでも良い影響を残して人生を全うできるように考え、行動したいと思っています。生きる事は死に近づいていくこと。人が抱える3つの真実を忘れることなく、目の前の人から、事業所、地域、業界、社会へと少しずつ輪を広げて課題解決のために自分にできることを精一杯取り組んでいきたいと思っています。そして、同じような価値観や世界観の人たちと力を合わせながら少しでも良い世の中を次世代に継たいと思うのです。
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ひと、まち、暮らし、文化を継いで四方良しの世界の実現を目指してます。