事業の目的と社会課題解決の一体論 〜未来創造企業認定チャレンジとその理由〜
私が代表を務める株式会社四方継では来年、未来創造企業(サスティナブルソーシャルカンパニー)の認定にチャレンジすることになりました。現在、リーダーシップチームへの事業承継プロジェクトの真っ最中と言うこともあり、元来私たちが目指してきた持続可能な自律循環型ビジネスモデルと組織作りを見える化して外部から認証してもらうことで、社内外の認識を再度統一するのが主たる目的です。
未来創造企業とは
SSC(サステナブル・ソーシャル・カンパニー)未来創造企業とは「本業を通じた継続的な社会課題の解決」を事業目的の第一に掲げ、その実践により社会の価値や人々の幸福度を向上させ、よりよい社会を創り出すだけでなく、実践の結果生まれる利益を適切に分配(従業員等へ)・再投資することで企業の持続的な発展に努める企業」です。未来創造企業の推進を図ろうとする意欲のある中小企業を、一般社団法人日本未来企業研究所が「SSC(サステナブル・ソーシャル・カンパニー)未来創造企業」として認定する制度です。」
事業は目的の達成のためにある
未来創造企業(サスティナブルソーシャルカンパニー)の認定にエントリーされている企業はその名称の通り、持続可能な社会への変革を目指して本業で社会課題の解決に取り組む事業所ばかりです。そんな志が高い人達が集まる場にまみれる事でスタッフが自社で取り組んできた事業の目的や存在意義について改めて認識してもらえれば良いと考えました。
毎年、年頭に行う事業計画発表の際に私が言い続けているのは「事業は目的の達成が全て。」と言うことで、私たちが目指す四方良しの世界の実現のためにすべての事業を計画し実行するのだと言い続けています。それはすなわち、私たちが持っている建築技術と20年間にわたり地域で培ってきた信頼を糧にして周りの全ての人たちに貢献する、社会課題の解決を目指すと言う事でもあります。
人と暮らし、環境に寄与する事業
そもそも、事業計画とは事業の目的を達成するためのプランです。株式会社四方継で目指す四方良しの世界に辿り着くために、建築事業部のつむぎ建築舎ではハコを作るのではなく、暮らしを支える、安全で快適な暮らしを継続してもらうことを目指して、「次世代に受け継がれる価値のある丁寧なモノづくり」をコンセプトに環境負荷の少ない地元産の木材と自然素材をふんだんに利用した高性能で健康的な家づくりを提供しています。また、阪神淡路大震災で多くの人が建物の下敷きになって尊い命を落とした教訓を胸に、耐震性能を高める取り組みは新築住宅のみではなく既存住宅の改修でも積極的に取り組んでいます。
地域の活性化が事業の目的
地域コミュニティーサービスを提供しているつない堂では、GoogleやAmazon、UVERなどのプラットフォームを運営するグローバル企業に全てのビジネスの収益が吸収されて地域が空洞化するのを少しでも防ぐためにインターネット検索が不要な世界を目指して信頼の輪をベースに人と人を繋ぎ、地域で頑張っておられる人や事業所をマッチングしたり、コラボレーションしたイベントの企画運営を行うことで地域の活性化に貢献することを事業の柱にしています。「人を繋ぎ、ご縁を紡ぎ、良い街を継ぐ」をコンセプトに建築の枠を飛び越して地域のために私たちに出来ることを模索しています。要するに両方の事業部共、社会課題の解決が事業そのものという位置付けです。
事業関連団体での活動
私たちは四方継の単体の事業に絡めて他にも関連団体での事業も多く手がけ、それを実業にフィードバックしています。発足以来、私が代表を務めてきた「ひょうご木づかい王国学校」では山と街を繋いで地元産木材の利活用の啓蒙活動を推し進めてきました。本社3階にあるTUGIスタジオは産地直送で仕入れる多可町産ヒノキのフローリングのショールームになっていますし、会員制コワーキングスパースとして解放している事務所は屋久島地杉のショールームとなっています、これも屋久島の林業生産者に利益が還流する仕組みです。
つむぎ建築舎で行ってきた職人育成の取り組みは、一般社団法人職人起業塾として事業化して全国の同業者に向けて研修やキャリアプラン構築などの支援を行っています。現場価値の創造をテーマに職人の社会的地位の向上を目指しながら建築業界において喫緊で重大な職人不足問題を根本的に解決するスキームを提供しています。JBN(全国工務店協会)の下部組織、京阪神木造住宅協議会では現在、若手大工育成の研修事業を国交相からの支援を貰って行っています。NPO法人ひょうご安心リフォーム推進委員会では地域住民に安心して住宅の保全、快適な暮らしを実現するリフォーム環境を整える取り組みを行っており、ユーザーにも事業者にもまだまだ認知が不足している長期優良リフォームの啓蒙活動と共に実務的なサポートも行っています。これらの活動は全て、株式会社四方継が目指す四方良しの世界の実現のために私たちが出来る目の前の課題解決への取り組みに他なりません。
イマカネジブンからの脱却
このように、私たちが行っている活動は(当然と言えば当然ですが、)全てが社会課題解決のための事業になっています。これまで、社外活動については代表の私が中心になって取り組みを続けてきましたが、全体的な意味や本業との位置付けを明確にすることで、今後はそれぞれの活動も徐々にスタッフに委譲していきたいと思っており、折しも現在、社名変更後初めての知的資産経営報告書(社内の暗黙知を見える化して経営資源として認知するための報告書)の作成に取り掛かっていることもあり、未来創造企業の認定にチャレンジするのは非常に良い機会になると思ったのです。
事業の全ては目的の達成、それまでの課題解決の為と少し大袈裟に書きましたが、実はその根本にあるのは「自分だけ良ければ良いのではない」という誰もが持つごく当たり前の良心です。起業した頃はまず自分たちが安定した暮らしが出来るように、その次は未来への不安を払拭出来る様にと必死になって事業に取り組んできて、顧客や取引先、職人さん達のおかげで20年間も事業を継続することができ、先の見通しも立つようになってきました。そんな多くの方への御恩に報いたいという気持ちもあり、多方面で地域に貢献できる取り組みを広げてきました。一昨年から昨年にかけて行ったリブランディングからは建築のカテゴリーを飛び出して地域社会の課題解決こそが私たちの存在意義だと再定義して事業ドメインも変更しています。私たちが目指す世界観を社内だけではなく、顧客やステークホルダーにもご理解頂くためにも未来創造起業の認定を取得したいと思っています。それが世界の大きな変化への適応でもあり、同時に私達の持続可能性を高めることに繋がると思うのです。
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四方良しの世界を目指して活動しています。
建築業界の課題解決に貢献します