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琉球処分とジャッキーのテンガロンステーキ

沖縄実践研修day3

年末も押し迫る12月下旬に(無理矢理)日程を調整して参加してきた経営実践研究会の実践研修@沖縄の最終日は第二次世界大戦で唯一の本土決戦の地、住民からすると鉄の暴風に見舞われた沖縄でも最も過酷な戦場であり、戦没者慰霊と平和への祈りの地となっている南部の糸満市に足を運びました。先の大戦で日本が無条件降伏をしてアメリカの植民地になったのは75年前で、当時の凄惨な体験を語れる人も随分と少なくなっておりますが、沖縄の本土返還からはたった50年、すでに私がこの世に生を受けてからの話でそんなに昔のことではありません。

慰霊の街

今回、経営実践研究会の研修の一環としてメンバーの方々と共に改めて平和記念公園とひめゆりの塔を訪問し、ゆっくりと時間をとって悲惨な戦争体験を後世に伝えるべく展示されている写真や映像、説明パネルや捕虜として生き残った人たちのインタビュー記事などを見てきました。平和記念公園では資料館の見学を終えた後、地元のガイドさんに公園内を案内頂きました。広大な公園内を1時間程度散策しながら、改めて説明を聞いてみると、全国の都道府県別に慰霊碑が立っているとか、戦時下の沖縄県知事が兵庫県からやってきて命を落としたことからいまだに沖縄と兵庫県とは関わりが深いとか改めて知ることも多くあり非常に興味深い話を聞かせてもらうことができました。

沖縄のもう一つの存在意義

どんなことがあっても戦争による国家間の紛争解決は絶対にあってはならない。理屈の上では世界中の誰しもがそんな事はわかっていると思いますが、第二次世界大戦終結の後も多くの地域で武力紛争や戦争は続いています。それは結局、戦争へと踏み切る判断を誰かがしたわけで、またその判断を周りの人も誰も止められなかった結果です。愚かな選択によってもたらされた悲惨な結果は国や人種を超えて誰しもが絶対に肯定できないものであり、それを直接体験した人たちの生々しい声を集め、資料館にまとめて展示し、多くの人が目にすることは大きな意義があるのは間違いがありません。沖縄の観光産業が盛り上がり、世界中から人が集まるようになるのは同時に絶対に戦争はダメだとの平和思想を啓蒙することにつながるのかもしれません。暖かくて美しい沖縄の地を多くの人が訪れるようになる事は経済効果以外にも深い意味と意義があると再認識した次第です。

島人のスタンス

今回改めて平和記念資料館をゆっくりと時間をかけて見学して感じたことがありました。それは、展示パネルに書かれている言葉を発している人の立ち位置、スタンスです。歴史と言うものは事実は1つのはずですが、解釈は100万通あり、第二次世界大戦にしても、大日本帝国の軍の暴走による愚行であると一刀両断する論調もあれば、アメリカの策略にはまって致し方なく始めさせられた戦争だと主張される方もおられます。また、西欧諸国に植民地とされ、搾取されまくっていた東南アジアを解放するための聖戦だったと言われる方もおられます。私としては理由や背景はさておき、絶対に戦争による国家間の紛争解決はあってはならないと思っていますが、沖縄の資料館の展示物に書かれている文言も立ち位置も私の考え方と同じような空気を醸していました。しかも、同じ日本人が犯した過ちと言うよりは、大和人の暴挙に巻き込まれて鉄の暴風に見舞われた。と言う少し距離のある第三者的な視点を感じました。

琉球処分の記憶

そのスタンスは、戦争のことだけにとどまらず、琉球王国からの沖縄の歴史を紐解くパネルには、琉球王国はもともと中国と盛んに交易を交わしており、中国の属国として平和に暮らしていたのに琉球処分で無理矢理大和の国に組み込まれたとの書き方をされており、その結果が島全体が鉄の暴風に見舞われて島民の半分が命を落とす前代未聞の大惨事ににつながったとの論調でした。沖縄返還から50年経った今、戦争を知らない若者達は多分、日本国民として自分自身を認識されていると思いますが、私より年配の人たちは歴史の荒波に翻弄されながら様々な国から干渉や支配を受け続けてきた小さな独立国家としての琉球王国の末裔だと言う意識が強くあったのではないかと想像します。

沖縄にある強烈な個性とエネルギー

一時期、父親と弟が沖縄の首里に住んでおり、実家が沖縄だったこともあって私は沖縄と沖縄の人が大好きで、(プライベートの旅行ではなかなか行けませんが)仕事でことあるごとに沖縄に足を運ぶようにしています。その大好きな理由は気候が良いこと、美しい景色が見れることはもちろんですが、非常に熱量の高い人がいること、土地そのものにパワーを感じることがあります。沖縄には強烈な個性がたくさんあってそこに触れることで大きな刺激をもらえるのが期待になっており訪沖のモチベーションにつながっているのだと思います。そしてその個性とは平和記念公園の資料館で感じた独立したスタンスから生まれているのか、独立心と深い関係があるのではないかと感じた次第です。

テンガロンステーキの魅力

最終日、那覇空港から飛び立つ前にせっかくなので最後に沖縄名物の食事をしてから帰ろうと言うことになり、訪れたのは有名ステーキハウスのジャッキーでした。週末に行けば1時間位の行列に並ぶことが必至な予約不可の人気店ですが運良く少しの待ち時間で入ることができました。ソーキそば、ラフテーと共に沖縄3大名物として知られる沖縄のステーキ(私調べ)はもちろん沖縄で育てられた牛ではなく輸入品です。味付けも別段大きな特色があるわけではないし、飛び抜けて価格が低いわけではありません。しかし、名物として認められているのは、味がほとんどついていないステーキを自分で味付けするとか、薄味のポタージュスープとセットであるとか、タコスと一緒に注文する等が1つのスタイルとして確立されてあり、それがスタンダードだと認められているからに他なりません。それが足を運ぶべきお店の個性だと認知されているのだと思うのです。

タレントの磨き方

現在の沖縄はアメリカの統治下から日本へと返還されて半世紀が経ちました。今の若い島人は自分たちが日本国民である事に対して大きな違和感を感じられていないと思いますし、私たち大和人も全く何の差別も区別もする事はありません。しかし、沖縄には間違いなく日本でもアメリカーでもない、沖縄独自の文化とその両方を掛け合わせ、混ぜあわせた独特の個性が熟成されており、それが沖縄の大きな魅力の1つになっているのは間違いありません。現在、ピラミッド型の中央集権の世の中から、フラットなボトムアップで誰もが活躍する世界へと変わろうとしている今、タレンティズムと呼ばれる才能、個性を重要視する考え方が世界中に広がっています。今回の沖縄訪問で感じたのは、個性は確かに自分の中に存在しますが、外の世界と深く激しく交わることで磨いたり変容させたりしてのではないかという仮説です。当分の間、その仮説を検証すべく(時間が許す限り)多くのコミュニティーでたくさんの人と深く交わることを意識したいと思います。____________________________

戦争がないだけではなく、四方の皆さんが皆良くなるような社会を目指して事業に取り組んでいます。


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