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人の心はどこにあるのか 〜損得勘定の是非と塩梅〜

(もちろん私を含めて)人は何かを選択する時、損得勘定で判断をしてしまいます。少し残念な気もするし、それが人の判断基準としての本質とは思いたくありませんが、弱肉強食、金が価値観の中心にある資本主義社会の中で生きている限り仕方のないことかもしれません。しかし、目先の損得だけで物事を判断するのはあまり良くない結果を招くのも事実だし、それは誰もが知るところ。人生は選択によって作られていくことを考えれば、損得勘定の良い塩梅を知ることがとても大事なことだと思います。

損得勘定での判断の是非

損得勘定で物事を判断する。と聞くと少し残念な印象が否めませんが、私は決して悪いことだとは思いません。痛みを避けて快楽を求めるのは逃れられない人間の本能でもありますし、むしろ、何の意味も価値もないことを選択し、行動するのは無駄なことであり、誰の得にもならないことを繰り返すのは愚の骨頂です。しかし、利己主義に陥り、自分だけの利益を追求する人に人は誰も共感しませんし、人が集まらないところに結局お金も集まりません。そのように考えると、得を取る様で実は損になってしまうこと、逆に損をしているようで得になっていることも少なからずあると思います。また、得と言う言葉は幅広い意味があり、仏教の世界ではポジティブな意味で使われます。問題は損得という判断軸ではなく、視野の広さや視座の高さだと思うのです。

とく【得】

〘名〙
① 得ること。なすことの叶うこと。成就すること。
※讚岐典侍(1108頃)上「一とせの行幸の後、又見参らせばやと、ゆかしくおもひ参らするに、そのとくなければ」 〔春秋左伝‐定公九年〕
② (「徳」とも) もうけ。利益。利得。
※落窪(10C後)一「時の受領は、世にとく有物といへば、只今そのほどなめれば、つかうまつらむ」
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉一「我儘をするやうでゐて、実は帳場に得(トク)の附くやうにする」 〔漢書‐項籍伝〕
③ (形動) 有利であること。便利であること。また、そのさま。
④ (prāpti の訳語) 仏語。衆生(しゅじょう)が身に得たものを失われないようにつなぎとめておく力をいう。逆に身から離れさせる力を非得という。〔倶舎論‐四〕
⑤ 仏語。真宗で、因位のとき得ることを獲というのに対し、果位において得ることをさしていう。信を得るのは獲、極楽往生してさとりを得るのは得である。
出典:コトバンク

人の心の在りか

誰にとっての得か、と言うことはさておき、得があると思うことに人は惹かれ行動します。そしてそれは目先の金銭だけのことでは決してなく、人それぞれに視点の違い、視座の高さが違います。そのように考えれば、この世の中で社会生活を円満に、機嫌よく送るには、相対する人に合った得とは何かを考えて、それを渡したり伝えたりすることが非常に重要で、経営実践研究会の研修で藤岡会長がしょっちゅう口にされる「人の心はどこにあるのか?」との問いは非常に本質的で奥が深い設問だと感じます。人の心、すなわちその人の視座のレベルに合わせて得だと感じる事を渡すことで共感を得ることができるし、その入り口に立った上で志や事業の目的を共有することができるならば、人の心のありかを探す行為はセールスやマーケティングに功を奏するだけでなく一緒にムーブメントを起こす仲間を集める力になるかもしれません。人一人の力は無力です。何かを成したい時、成すべき事がある時に仲間を集め、応援者を募るにはまず考えるべきは人の心がどこにあるのかを考えることなのだと思うのです。

丸太の在庫が激減した製材所

損得感情が生み出す悲劇

人は視座の高さによって損得の判断は大きく変わると上述しました。自利に囚われて目先の損得だけで物事を判断する人やコミュニティーと深く関わり、その世界観に埋没する人が大多数を占めてしまってはこの世はろくなものになりません。また、個人的な利害だけではなく、コミュニティーや国家など、もう少し広い視野を持っていたとしても、第三者の犠牲をいとわなければこの世から争いはなくならず、現在ウクライナで起こっているような悲劇が何度も繰り返されます。戦争が起こるのは国益や宗教にとっての得を最優先にするからであり、それは視座の低い正義と正義のぶつかり合いに他なりません。言うなればこれも人が下す損得勘定に対する選択の結果です。

銃を取って戦うウクライナ市民

全体最適と四方良し

私は社内のミーティングでよく「全体最適」と言う言葉を使います。自分だけが良ければ良いのではなく、周りの人がみんな良くなるように仕事をしようと言うのが、私たち株式会社四方継が掲げているスローガンであり、それは個人から社内、自分たちからプロジェクトに関わる取引先、お客様、地域社会、建築業界、日本、そして世界へと視野を広げていくべきだと言い続けています。四方良しの世界の実現はそんなにたやすくはありませんし、私たちのような世界の片隅で小さな事業を営んでいるものにそれを叶える影響力は持ち合わせていません。しかし、例えば日本の事業所の97%を占める中小企業がそこで働くスタッフを含め皆で全体最適を考えるようになり、段階的にでも視野を広げ、視座を高めることに取り組めばひょっとしたら日本は変わるかもしれないし、世界にその影響が広がる可能性も少なくないと思うのです。

未来創造企業認定研修

視野を広め、視座を高める学びの機会

視野を広げるには幅広い情報を収集する必要があり、視座を高めるには高い志を持った人からの学びが必要です。私たちが現在取り組んでいる未来創造企業の認定は地域や社会全体、地球環境などの全体最適を目指す視点と視座をスタッフ全員と共有し、それを実際のビジネスに落とし込む取り組みです。そんな実践を通して私たちが目指しているのは、これまでの競合他社に打ち勝つためのブランディングや外部環境に影響されにくい独自の市場を構築するマーケティングと一線を画す、地域や社会と共生し循環型経済の一端を担う一員となる、社会課題解決型モデルの事業所への変容です。自社が行う本業を通して社会課題を解決しようと取り組む志しの高い事業所が巷に溢れるようになれば、地域も日本も、そしてひょっとしたら世界が変わるきっかけになるのではないかと思っています。自分たちだけが得をすれば良いのではなく、この世の中、地球全体が得をするようなそんな選択と行動を事業を通じて続けていきたいと思っています。行き過ぎた資本主義へのアンチテーゼが広がり、グレートリセットが叫ばれる現在、これからの社会に適応する新たなビジネスモデル(社会課題解決型モデル)の構築に興味がある方はお気軽にご連絡ください。未来創造企業認定取得への道のりをお伝えします。

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志を掲げ、志を立てることの大切さを伝える研修をしています。

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