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経済合理性の外も課題を事業に引き入れるパタンランゲージ

私はかれこれ10年以上、毎月無料の勉強会を主宰しています。始めた当初は原理原則系のマーケティング理論を紐解いておりましたが、時代の変化と共に少しずつ内容もブラッシュアップして、現在はCSVモデル、社会課題解決型ビジネスの構造化を実践する会として運営しています。
元々、独立思考を持っている社員の大工たちの独立支援、アントレプレナーシップの共有だったことから「職人事業塾」との名称で始めましたが、今では業種を問わず経営者が参加されるようになり、持続可能性を経営の本質だと定めて受け継がれる価値を創出する事業を目指して「継塾」と定め直しました。

ビジネスの課題を解決する特別熱い席

その継塾では3ヶ月に一度、ホットシートなるメンバーの一人をピックアップして、特別熱い席に座ってもらい、ご自身の事業が目指す未来や障壁となっている課題について話してもらっています。それを聴いた参加者全員で、ビジネスのブラッシュアップや課題解決のための提案を練ります。短い時間のワークショップなので、飛び抜けてすごいアイデアが生まれ、即ビジネスが大転換する。とまでは言えませんが、それでもこれまでの長きにわたって行ってきた中で、実際にワークショップの内容にヒントを得て、事業として実装したり、動き出した提案は数知れずあります。
自分が行っておる事業に対して、業界の垣根を飛び越えて、様々な業種の人の意見を幅広く機会は滅多にありません。その分、意外とこれまで気付いていなかった視点を見出したり、提供する価値や自社が持つリソースの再発見があったりします。

シェアすべきは魚ではなく、魚を釣る力

実は、ホットシートとは世界一のマーケターと言われたジェイ・エイブラハムの高額セミナーで壇上に上がって公開個別コンサルを受けるサービスから由来しています。私が行っているホットシートは、決してコンサルティングではなく、ワークショップであり、ジェイの様なカリスマがいなくても、誰もが再現できるパターンを踏襲しています。ホットシートに座っていない人にも、持続可能性の高いビジネスモデルの構築ができるパターンを掴んでもらえる仕組みになっています。
昨日開催した継塾でも起業まもない、事業モデル構築に悩みを抱えている経営者が参加されて、流れやパターン、そして「ワクワクの未来」が見えたとの感想をいただきました。以下にその流れを簡単にまとめておきたいと思います。

①マーケットの真実

ビジネスモデル構築のワークショップでは、まず初めに、マーケットの真実に向き合うことから始めます。それは、事業の目的自体が多くの人から共感を得られる事業は存続するし、否定されたら長続きするはずが無いとのシンプルなロジックです。
表面上、いくら綺麗事を並べても、本音の部分で今だけ、金だけ、自分だけ、の価値観の利己主義的な欲求を満たしたい。との意図が透けて見えるとその事業は顧客だけではなく、スタッフをはじめとするステークホルダー全員から見放されます。
自分の暮らし、家族を守ることは非常に重要で、最低限クリアしなければならないのは自明の理ですが、事業を起こすなら、やはり明るい未来を創れるように、金銭だけではなく、信頼や信用、文化や伝統など、目に見えない価値を生み出して、世の為人の為になる取り組みを目指すべきです。

②共感から生まれる熱量ある集合知

次に共有するのはSECIモデルと呼ばれる概念です。
一人の熱い想い、善き意図、志を多くの人に伝えて(表出化)共有し、知的コンバットと言われるほど、激しく、真剣にその志の実現に向けて議論を戦わせる(連結化)、その上でブラッシュアップされたプロトタイプを各人が深く思考し、もしくは実践に落としこみ(内面化)その結果をまた共有して更なる最適解へと導くプロセスです。一人きりでシコシコ考えているのとは、レベルの違うアイデアが生まれるのは誰もが理解されると思います。
これが、まず共感がなければ成り立たない、世の中にインパクトを与える様なビジネスモデルは初めに高い志が絶対に必要な理由です。

https://www.dodadsj.com/content/230427_seci-model/より拝借

③ユーザーの再設定から始めるフレームワーク

3つ目に重要視するのは、ビジネスにおける全てのコストはユーザーが負担する原則です。上述の目的を踏まえて、改めてユーザーに焦点を当て直し、「顧客は誰か?」の問いを深く、細やかに考え直すことで根本的に事業の方向性が変わることが少なからずあります。顧客の再設定を終えたら、顧客に提供する価値は何か?情報やサービス、もしくは商品をどのように届けるのか?顧客との関係は?と、5年ほど前にUXデザインの世界で大きな話題になったビジネスモデルキャンバスのフレームに従って、ユーザーに提供する体験をデザインしていくと、思いの外スムースに新たなビジネスの種やイノベーションのヒントが浮かび上がってきます。このフレームをSECIモデルを意識して多くのメンバーでディスカッションすることで、ビジネスモデル構築のパターンそのものを共有することにもなっています。

https://www.sansokan.jp/mng/keiei-column/017/より拝借

経済合理性の外の課題をビジネスで解決する

現代の日本に溢れかえる社会課題。それは、戦後から経済重視を通り越して経済一辺倒の社会構造、人々の意識が生み出しました。
「金儲けにならんことはやらん。」とのスタンスは数々の弊害を生み出しています。私が長年取り組んでいる建築業界の職人不足もその一つで、素人の坊主を時間と費用をかけて一人前にすること自体が経済合理性の追求から外れているから、誰も職人育成を行わなくなり、その結果、圧倒的に職人はいなくなりました。
しかし、そのまま放置していては日本の国自体が成り立たなくなります。経済合理性曲線の外に取り残された課題を解決するなら持続可能な事業として成り立たせる必要があります。決して簡単ではありませんが、パタンランゲージと言われる集合知の活用によって、その活路が開けると私は考えており、そんな私塾を続けています。参加費は無料、zoomを使ったオンラインでも公開しておりますので、ご興味があればお気軽にご連絡ください。
志をなんとしてでも実現したい、熱い心を持った人を応援します。

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末業は建築や研修、地域活性化の事業、本業は高等学校の校長をやっています。

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