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時代の幕引きを高校生に問うてみた。

平成の終わりくらいから令和にかけて時代が大きな転換期に入っているとよく耳にしましたが、まさに1つの時代が終わっていくのだと最近つくづく感じます。日本の最大派閥の領袖である安倍元総理、日本経済界で生きる伝説と崇められてきた稲盛和夫氏、そして、世界中の国家元首が一堂に会して追悼したエリザベス女王と時代を象徴してきた人物が次々にこの世を去りました。まさに時代の幕引きを感じずにはいられません。

資本主義の申し子、超大国の終焉

特に、70年間と言う長きに渡りイギリス連邦の君主として多くの国の国主の座に君臨し続けてきたエリザベス女王がその生涯を閉じられたのは大きな意味があると感じました。現在の行き過ぎた資本主義によって生み出された数々の社会課題や環境問題の元凶を生み出したイギリスと言う超大国がいよいよ求心力を失い、本格的な崩壊に向かう兆しが垣間見えるのは、大きな社会システムの変革のきっかけになるのではないかと思います。エリザベス女王崩御の報を受けて早速、イギリス連邦の君主制から離脱して共和制へと移行する国が現れたとネットでもニュースになっておりましたが、今後、雪崩の様にイギリスの植民地支配の名残りであるイギリス国王を君主と定めている世界中の国々が本当の独立へと向かうのは想像に難くありません。

イギリス連邦の崩壊

新しい世界に生きる意味

現代に広がり続ける格差と分断の象徴として引用される南アフリカの空撮写真。まるで映画のセットのようなスラム街と庭付きプール付きの豪邸が道路で分断された画像を先日、高校生向けに授業に行った際に紹介しました。その写真を見て高校生たちに感想を聞いたところ、ひど過ぎる、ありえない、信じられない、と驚きと怒りの声が次々に上がりました。程度の差はあれどもこの傾向が世界中に広がり、私たちが住まう日本でもそれは例外ではないのだとトマ・ピケティーが「21世紀の資本論」で証明した格差拡大の法則も一緒に説明をしておきました。大航海時代の植民地政策に端を発している資本主義がもたらした大きな悲しみと怒りの歴史に触れて学生たちも新しい時代に生きる意味を少しわかってくれたようでした。

格差と分断が進む世界

悪虐非道が富のルーツ

差別と分断を産んだ白人至上主義の植民地政策は、イギリスを地球規模の世界国家に押し上げ、ピーク時には地球の全陸地面積の5分の1を支配するに至りました。圧倒的な財を築いた根源である肌の色の違う人を奴隷として拘束し、無償で働かするばかりでなく商品として売買の対象としてきた歴史は今や語られることも無く、学校で教えられません。しかし、決して許されるものではありませんし、忘れてはならないと思っています。抵抗する奴隷に対して手首を切断して見せしめにした植民地で西欧人が行ったエピソードは有名ですが、その延長線上で今も南アフリカに広がる映画のワンシーンのような差別と分断、格差が広がった風景を生み出しました。その元になった思想と、人を人と思わぬ所業が西洋型資本主義の本質である事は私たちは今一度、しっかりと認識するべきではないかと思うのです。

抵抗したら手首を切られるのが掟になっていた

共生の思想と共感型資本社会

これまでの延長線上では解決がすることができないと言われる、深刻かつ膨大な量の社会課題は現在も加速度的に増え続けており、その元凶は奴隷制度を元手に栄えた強欲資本主義である事を踏まえて、私たちは大きな方向転換をしなければならないと思っています。それは、日本が大切にしてきた東洋的な自然や人との共生の思想と、共感と信頼を資本に据える共感型資本主義社会ではないかと思うのです。西洋型の強欲資本主義に毒された「今だけ、金だけ、自分だけ良ければ良い」と言う考え方を規模の大小にかかわらず経済活動を行う事業所の舵を取る経営者は捨て去る道を選び、未来に向けて、人と人とのつながりや人の幸せを考え、他者貢献を事業そのものへと組み込んだビジネスモデルを刷新するべきだと思うのです。

商品として扱われた奴隷が莫大な資本となった

お天道様はみている。の世界

お天道様に恥じることのない、良き行いを積み重ねる良き事業は必ず人々に支持され、共感され、応援されて持続可能な経済を循環させる仕組みとして機能する様になるべきだし、ならなければならないと思います。これができなければ、地球環境は悪化の一途をたどり、野生生物は全て絶滅し、強欲資本主義経済が生み出す格差はどこまでも広がって、奴隷制度と変わらない状況が再び生まれかねません。イギリス連邦の国主の死をきっかけにして、時代が幕を閉じる瞬間を多くの人が感じ、これから未来について考え、行動に移すことが何より重要な時期にきていると思います。これ以上、課題や問題の棚上げ、先送りをしていては人類は奪い合いや殺し合いを加速させ、終末を迎えることになってしまうは誰しもが感じているのではないでしょうか。

たくさんの人が政治を知る機会を作る!

真実と真理を学び実践する

私が特別講師として登壇した高校での授業の最後に小グループに分かれてディスカッションとブレインストーミングのワークを行い、「世の中を良くするには何をすべきか?」との問いを投げかけると、「もっと政治に興味を持って知ることだ。」と、これからの社会への関心を示したチームや、「SDGsの取り組みに真剣になるべきだ。」と書かれたチームもありました。彼ら、彼女達は気づいているのです。私たち大人がもっとファクト(事実)に向き合い、真実や真理を若者達に伝え、一緒に考えていくことで未来は開けるのだと一条の光を見たように感じました。今だけ、金だけ、自分だけの価値観をすべての大人が捨て去るのは簡単ではありませんが、私たちが学び、実践することでたとえ少しずつでも、諦めることなく影響の輪を広げて行きたいと思った次第です。

SDGsをもっと広めて実現に近づける!

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高校生への授業も行っています。

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