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木樵

先週末、神戸で封切りされた「木樵」なる映画を観て来ました。この映画を制作されているプロデューサーの益田さんは10年来の友人で、以前に彼女が制作された作品の「平成職人の挑戦」を私が音頭を取って神戸で自主上映会を開催したこともあります。その際は映画の上映だけではなく、益田さんのプチ講演会も行ったりして、とても懇意にして貰っており、ご自身が関わられた映画をいつも案内してくれます。また、映画のテーマが私の事業に関連する際は封切り時の舞台挨拶に招かれる事もあります。今回も元大工の私としては木樵と切っても切れない関係という事で舞台挨拶に声をかけて頂きました。

美しい自然とカッコイイ木樵の生き様に秘められた問題提起

木樵」は山と共に生きる人たちの何気ない日々の暮らしを描いたドキュメンタリー映画です。チェーンソーを使って木を伐り倒す大迫力の映像と木樵飯と呼ばれる曲げわっぱに詰められた特徴的な弁当を頬張るシーンを中心に飛騨高山の壮大な自然と共に生きる素のままの木樵の暮らしぶりをリアルに描き出していました。木樵という職業は職人の世界の中でもその厳しさと危険さが広く知られており、職人業界の例に漏れず若手不足、後継者不足が深刻な問題になっています。映画自体は終始、美しい山の映像と共に穏やかな木樵の親方の表情で和やかな雰囲気の映像が流れるのですが、その合間に挟まれる、若手の育成の課題、請負師としての木樵としての厳しい環境、国産材の伐採と出荷は増えたがバイオマスの燃料として燃やされている事実、木材の単価が上がらない構造的問題など、実は数多くの問題提起がなされている作品になっていました。

職人に職人が育てられない構造

私が立たせてもらった舞台挨拶では、職人育成の現状と課題についてプロデューサーの益田さんから話を振られ、木樵だけではなく建築業界も含めて職人不足が日本全体の喫緊で重大な問題である旨の説明を付け加えました。映画の中でも木樵の後継者を育成するのに、材木卸の企業が社員を木樵に育てるべく親方に預けていると言った件がありましたが、職人が後継の職人を育てるのではなく、企業がその責任を負って若者が安心して働ける環境を整えながら職人を育成するしかないのは業界を超えてどこも同じなのだと感じたと共に、私たちが現在取り組んでいる職人育成の学校の紹介もして、林業でも同じスキームを使っての人材育成を行える可能性を示しておきました。舞台挨拶が終わった後に、複数名の林業関係の方が挨拶に来られて、皆さん口を揃えて人材難を訴えておられたのはとても印象的でした。

山と共に生きる幸せ

建築業や林業に携わっていない一般の方にとって、木樵という職業、その生態に触れることは多分一生ないと思います。それでも、家を建てるには木材が必要で、木樵なくして大工の仕事も建築工事もあり得ません。実は木樵は川上で人々の暮らしのインフラを支える生活に密接に関わる大切な仕事です。そんな観点で、木樵の生き様というか、暮らしぶりを垣間見れるこの作品は非常に意義が深いと思いましたし、多くの人に観て頂きたいと思います。映画の中で木樵の親方も若衆も口にされていましたが、山で暮らす、山と共に生きる事はとても素晴らしく、やめようと思わない、やめられなくなる程、いい職業のようです。全国の林業全体で後継者不足が危惧される今、出来るだけ多くの人にこの作品が届けばと思います。シネリーブル神戸では11月6日までは上映しているとのことです。是非お運びください。

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職人不足問題の根本的解決を図る職人採用と育成のサポートを行なっています。

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