見出し画像

時代の大転換期に職人が活躍する理由

私は職人上がりの現役工務店経営者にして全国で研修講師を行っている珍しい経歴を持つ者として、良く講演やセミナーの講師を依頼されます。その殆どはもちろん建設・建築関係の団体や企業からで、コロナの影響で団体での活動が全般的に少なくなったとはいえ、今でもひと月に数回は登壇する機会を頂いてます。それが今週は何故か集中してなんと3日間連続での登壇になりました。

職人あがりの現役経営者だから出来ること

3日間連続での登壇と言っても、その形態もオーディエンスの対象も様々で、1日目は事業所単体で社員さんを全員集めて事業所としてチャレンジされることになった未来創造企業への認定と私が推し進めている新しい職人学校プロジェクトへの参画の説明を行いました。2日目は名古屋から浜松までをエリアとしている工務店の協力業者会での100人以上の職人が集まってのオンラインの研修会。3日目は大阪の中之島中央公会堂に600人が集まる建設業界団体GCUのイベントでのパネルディスカッションと3日とも全く違う形で人前に立って話させて頂きました。これらの共通点はどれも話を聴いて貰う対象が職人、建設・建築関係の経営者と経営幹部だという事で職人上がりの現役経営者の特長を存分に生かしてます。

超難易度の高い講演

2日目の協力業者会での講演は新型コロナの再拡大の影響を受けて当初名古屋の会場で対面形式で行う予定でしたが、オンライン開催に変更となりました。実は、様々な業種の職人が一堂に集う協力業者会の講演は数あるジャンルの中でも特筆すべきほど非常に難しいとされています。それは、普段現場で汗を流して働いている職人達は基本的に長時間の座学の場に触れる機会などほぼなく、しかも日中に体を動かして働いているので夕方に開催される講演会では少しつまらないと感じたらすぐに寝てしまいます。私自身、若かりし頃、ハウスメーカーの下請け工事を行っていた時は業者会の会長を拝命していたにもかかわらず、毎回ぐっすり寝ていた覚えがあります。とにかく、スピーカーとしては非常にハードルの高い難しい仕事になるのですが、これがオンラインになると場の空気感が分かりづらくその難しさが更に倍増します。正直、今回も渋々オンライン開催に踏み切ったというのが実情でした。

時代に対する認識について

学びは学ぶ側の状態に由来する

今回、協力業者会の講演依頼を頂いた株式会社アイジーコンサルティングは創業から100年を超える、浜松に本社を構え、建築、不動産事業を中心に豊橋、名古屋とその営業エリアを広げて大きく活躍されており、地球環境への負荷を低減した、先進的な事業にも取り組まれ、住まい手の暮らしに寄り添った本物の家作りを標榜して、大きな活躍をされている超有名工務店さんです。モノづくりの本質に正面から向き合い、職人向けの教育や研修にも非常に熱心に取り組まれているだけあって、今回のオンライン研修でも皆さん非常に熱心に聴いて下さいました。協力業社が集う会をアイジーワークスと名付け、熱心に定期的な研修を行われているだけあって上述した職人を集めての講演の難しさは今回はあまり感じることなく私の想いを届けられたように思っています。普段から意識を整える取り組みをされているのは流石だと大いに感心した次第です。

タレンティズムについて

時代の大転換期に職人が活躍する理由

今回の研修で私が伝えた内容の流れは以下の通りです。

①大きな転換期を迎えている現状への認識の共有
②誰もが持っている才能、タレンティズムの説明
③現場から未来を作ることができる現場主義
④現場実務者が同じ意識を協力すればムーブメントを起こせる

新しい世界で生み出す現場価値より
現場で生み出す未来について

時代が大きな転換期を迎えている今は、今までの常識が通用しなくなり、まるで逆転のパラダイムの世界で生きていかなければならない状況です。対面コミュニケーションは悪、公共交通機関の利用はやめろ、団体行動は非国民と人と会えなくなり、コロナによる先行きの不透明さはwork sharingより解雇を選択する事業者が増え、大手では採用の中止が続出し、新卒学生邪魔者扱いされる事態になりました。これまでの成長戦略の軸のように扱われてきたインバウンドはヤバイ、飲食業では街中は閑散として壊滅的な打撃を受けましたが、ローカルはあまり影響を受けずに繁盛したりとこれまでの価値観がすっかりひっくり返りました。そして逆転の世界ではトップダウンからボトムアップが主流となり、目に見えるモノではなく目に見えないモノ(意図や想い)が重要視されます。建築現場という末端で働く志を持った職人が良知を開き、活躍するべき時代になってというのが私の持論であり、しかもそれがモノづくりの本質だと思っています。今回の講演で現場実務者の皆さんに少しでもそれが伝わり、未来に希望を持って新たなチャレンジに取り組まれ、ムーブメントを起こされれるのを心から祈っています。

ムーブメントを起こす取り組みについて

_______________

タレンティズムと逆転のパラダイムに基づいた職人・現場実務者向けの講演、セミナーも行っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?